生物の最新入試動向と対策
各大学医学部の生物の入試問題についての分析結果
岩手医科大学の生物
記述式の大問3題
解答は計算問題や論述問題、描画問題など多岐にわたる。試験時間は2科目90分。
幅広い基礎学力が必要、教科書内容を取りこぼしなく
教科書の内容をおさえていれば答えられる問題ばかりだが、幅広い項目にわたって正誤問題や訂正問題が出題されるため全分野において正確な知識が必要。うち、タンパク質と生物体、動物の反応、遺伝などが比較的頻出といえる。また過去の出題と相似のある問題がよく出題されるので、過去問演習も効果的だ。
自治医科大学の生物
1題1問形式、25問のマークシート
生物Ⅰからの出題で、設問ごとに5つの選択肢が与えられている。試験時間は2科目で80分、スピードを要求される。
時間を考えると難物の試験、とれる問題を確実に
問題自体の難易度は標準的だが、問題数と要する手順に対して時間が非常に短いため、教科書範囲を完璧に理解したうえで、消去法も使いつつできるだけ多くの問題を解くという取捨選択が必要になる。細胞小器官、植物ホルモンが頻出のほか、遺伝分野の計算問題もよく出題される。また教科書や資料集掲載の有名な実験についての詳細な理解を求められることがある。
獨協医科大学の生物
全問マークシートの大問5題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題で、組み合わせ選択問題、正誤問題、計算問題が主。試験時間は2科目で100分、問題量に対してやや短め。
一部難問あり、医学関連分野で対策を
問題の多くは教科書レベルだが、計算や思考を必要とするものもあり単純ではない。また図やグラフを正しく読み解く問題が毎年出題されている。ほか、より深い知識や応用力を求められる難問が数問含まれ、ここが合否のカギを握るといえる。タンパク質、生物体、動物の反応、遺伝といった医学と関連のある分野からの出題に比重がみられるので重点的な対策が必要。
埼玉医科大学の生物
全問マークシートの大問4題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目で100分、問題量・難易度に対して余裕あり。
基礎〜標準、動物の反応が頻出
これまで最も出題されている動物の反応についてまずマスターしよう。ほか、タンパク質と生物体、遺伝などが頻出。実験データの読み取りなども出題される。総合問題においては正誤を問う小問で出題範囲をほぼ網羅しており、どれも基礎レベルなだけに、取りこぼしをなくさないため教科書をすみずみまで完璧にしておくことが求められる。
杏林大学の生物
慶應義塾大学の生物
大問3題、論述多し
〜からの出題。試験時間は2科目120分で、問題内容に対して短い。
字数制限のない論述問題(複数)、記述・選択、描図問題などで構成されており、時間的にも厳しいなかでの解答となる。頻出分野は遺伝情報、動物の反応、分類・進化など。動物の反応では、恒常性やホルモンなどがよく出題される。近年増加しているのはタンパク質関連。難易度は総じて高く、正確な理解力と論述力、計算力を兼ね備えて初めて解ける問題が多い。
順天堂大学の生物
マークシートと記述式の大問2題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目120分。
多くが基本〜標準、一部やや難
マークシート方式の大問1題は小問3題からなる。出題は、動物の反応、タンパク質と生物体、C4植物・CAM植物の光合成、植物群落に関する問題など幅広く、遺伝子分野からの出題も多く見られる。問題は8割がた基本〜標準レベルで、残りの2割で細部をつつく問題や考察問題が出される。論述は例年20〜80字程度で、出題分野に偏りはない。
昭和大学の生物
多様な記述式、大問3〜4題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目140分で、問題量に対してやや短め。
医学関連分野から出題、教科書+資料集で学習を
動物の反応、タンパク質と生物体、生物の集団、分類・進化などからの出題が多め。医学的専門知識を要する問題がコンスタントに出され、全体的に難易度は高めだが、それだけに教科書範囲からの取りこぼしは絶対に避けたい。教科書をマスターした上で、図説や資料集を用いて詳細な知識をできるだけ取り入れよう。医療時事からの論述問題があるので、日々のニュースもチェックしておくこと。
帝京大学の生物
記述式、5題の大問から4題を選択
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は3科目で180分。
標準〜やや難、複合問題に対応せよ
毎年、動物の反応からの出題があるほか、生殖・発生、遺伝分野からの問題が頻出。解答はほぼ選択式で、近年は論述問題がみられない。まずは教科書の内容をきっちり理解し、煩雑な計算問題にも慣れておくこと。また、生物Ⅰのなかでさまざまな系統や生体分野にまたがった出題があるので、それぞれの特徴を対比しながら理解するくせをつけておくとよい。
東京医科大学の生物
全問マークシートの大問4題
総合問題1題を含めた大問4題。選択肢による解答形式。試験時間は2科目120分。
難易度高し、総合的な理解と知識を
高校の教科書だけでは対応できない問題が3割近くにのぼる、かなり高度な内容。知識だけにたよらず、考察によって解答を導き出せるような応用力を求められている。教科書の内容をすみからすみまで完璧に理解し、加えて普段から新聞や雑誌などで生物関連のトピックをチェックし、生物に関して考察する習慣をつけ問題解決能力向上につなげていきたい。
東京慈恵会医科大学の生物
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。空所補充、選択、論述など。試験時間は2科目120分で、問題内容に対して短め。
頻出分野は動物の反応、分類・進化、遺伝、タンパク質と生物体など。教科書に忠実な問題がほとんどだが、ときに専門性の高い問題が含まれる。生物用語やしくみ、規則性などについて説明させる論述問題が多く、教科書の重要項目について50字程度で説明する練習をしておきたい。実験や探究学習についてもひととおりおさえること。
東京女子医科大学の生物
マークシート・記述式の大問3〜9題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目120分で、問題内容に対して短め。
難易度は標準的、多様な問題に対応を
問題数には近年ばらつきがあるので、試験当日に動揺しないよう様々な備えをしておくことが必要。ただ、問題数が少ない場合には描図や複雑な計算、論述が扱われるためいずれにせよボリュームがあり、時間的には厳しい。図形は教科書の代表的なものをおさえ、計算問題では腎臓の再吸収率、遺伝などを重点的に学習しよう。実験考察問題も頻出。
東邦大学の生物
全問マークシートの大問5題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目120分で、問題数に対してやや短め。
医学部らしく、タンパク質と生物体、動物の反応、生殖・発生、遺伝などからの出題が目立つ。分類・進化、生物の集団からも毎年のように出題されるほか、実験考察問題も頻出。遺伝分野では計算問題を重点的にケアしたい。難易度は標準的だが、考えさせる問題が多く、知識だけで解ける問題は素早く解くことを心がけないと時間に追われる感覚になるかもしれない。
日本大学の生物
全問マークシートの大問5題
生物Ⅰ・Ⅱ(生物の分類と進化、生物の集団含む)からの出題。試験時間は2科目120分。
難易度は標準的、知識問題が主
生物用語や具体的な生物名を選ぶ問題、文章の正誤を判断する問題、計算問題などが出題され、マーク数は合計31〜34個ほど。難易度は標準的で知識問題が中心。頻出分野は動物の反応、遺伝情報とその発現、タンパク質と生物体、分類・進化など。植物の反応や生物の集団、生殖・発生にも注意。教科書や図説に掲載されているグラフの理解を問う問題がよく見られる。
日本医科大学の生物
記述式の大問3題
論述、計算、描図など。試験時間は2科目120分。
難易度は標準的、融合問題多し
問題数は少ないが、大問1つに様々な分野の要素が融合されていることが多いので、「生物」全範囲での正しい理解が必要。頻出をあげるなら動物の反応、植物の反応、タンパク質と生物体、細胞、遺伝など。また、字数制限のない論述問題や描図など、考察させる問題を出すため、過去問演習などで論理的な思考力を養うことがのぞましい。
北里大学の生物
全問マークシートの大問3題
生物Ⅰ・Ⅱ(生物現象と物質、生物の分類と進化)からの出題。試験時間は2科目100分で、問題量に対してかなり短い。
基本を幅広くおさえた上で実験考察問題対策を
選択問題、実験考察問題、計算問題など。選択問題は選択肢の多さが特徴で、正確で細密な知識を求められる。計算問題も含め概ね難易度は標準的だが、実験考察問題はやや難易度が高く、試験時間内に解くには最短距離での道筋をとれるよう訓練しておく必要がある。頻出分野は生殖・派生、遺伝、動物の反応、タンパク質と生物体、分類・進化など。
聖マリアンナ医科大学の生物
記述式の大問4〜5題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目150分。
基本〜標準、過去問演習が有効
範囲内からまんべんなく出題されているが、細胞、動物の反応、遺伝情報からがやや頻出といえる。論述問題、計算問題、描図問題などさまざまな解答形式があり、2012年度は描図が3題出題されている。オーソドックスな内容で難問はほとんどないが、この大学ならではユニークさがあるので、慣れるためにも過去問に時間をかけることは有効。
東海大学の生物
記述式の大問5題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は70分で、問題の難度に対して短め。
難度高し、プロセスに重点をおいた学習を
論述問題、計算問題、高度な描図問題、実験考察問題などクセのある問題が目立つ。頻出は、タンパク質と生命体、遺伝、遺伝情報、動物の反応。全体的に考えさせる問題が多く、最新の研究内容を踏まえた実験問題も出題されるので、新聞の科学欄に親しんでおくように。教科書の内容を越えて自分なりに正答に導けるよう普段から解答に向かうプロセスに重点をおいて取り組もう。
金沢医科大学の生物
全問マークシートの小問集合形式
生物Ⅰ・Ⅱ(生物の分類と進化、生物の集団の両分野)からの出題。試験時間は2科目120分で、問題内容に対して短い
難易度に差あり、設問にクセあり
幅広い範囲にわたって出題されるが、頻出は細胞の機能と遺伝子、基礎医学の解剖・生理学につながる動物の反応、恒常性関連、ヒトの生理など。基本問題から医学概論の知識を問う内容まで難易度の幅が広く、また複数回答の個数を明らかにしないなど設問が優しくないので、迷いを呼び全体的に難しく感じがち。過去問を攻略して対策しよう。
愛知医科大学の生物
記述式の大問4題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目120分で、問題量に対して短い。
標準〜やや難、応用力を磨こう
選択問題、語句の記述問題、短文での論述問題、正誤問題、図・表の解釈問題、描図問題、計算問題などからなる。頻出は遺伝、タンパク質と生物体、動物の反応。近年、図やグラフから推測させる問題など応用力を求められるものが増えているほか、最新の知識を問う問題も出題されているため、難易度が上がってきている。オリジナリティの高い計算問題など過去問との類似点は多々あるので、過去問演習は有効。
藤田保健衛生大学の生物
記述式の大問4題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。描図、論述など解答形式が幅広い。試験時間は2科目120分で、問題内容に対して短め。
基礎をふまえて記述・論述対策を
動物の反応、タンパク質と生物体などが頻出。生物・医学分野の時事トピックスが扱われることも多い。問題の難易度は基本的だが、思考力を必要とされる論述、計算、描図問題にそなえ、教科書の内容をしっかりと理解し様々な問題形式での演習をつんでおくことが望ましい。計算問題については、生物Ⅰそして生物Ⅱの遺伝子関連問題をきっちりおさえておくこと。
大阪医科大学の生物
記述式の大問4題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目120分。
難易度は標準的、多彩な出題
生物用語の空所補充、計算問題、論述、描図など解答形式は様々。頻出は生殖・発生、動物の反応、遺伝など。計算問題では結果のみを記す形式が多い。論述には字数制限がない。2011年度までは大問のうち1つが複数題からなる論述説明問題となっており、その後はみられないが教科書の重要項目についての論述訓練はしておきたい。実験データの読み取りを求められる問題も出題されている。
関西医科大学の生物
記述式の大問5題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目120分で、問題量に対して短め。
標準的で幅広い理解を試す出題
選択式を中心とした出題形式。範囲全体の知識を問う問題構成で、幅広い分野での標準的な理解が求められる。まずは教科書で全範囲にわたり確実な基礎知識を定着させよう。また設問や選択肢に工夫がみられるので、時間内に多くの問題をこなせるよう過去問演習に時間を割こう。生物Ⅱからの出題、特に代謝に関する問題にやや難問が見られる。
近畿大学の生物
記述式の大問4題
生物Ⅰ・Ⅱ(生物現象と物質)からの出題。試験時間は2科目120分で、問題内容に対して短い。
やや難、過去問演習が有効
記述式、短めの論述式を中心に、描図、計算問題などの出題もある。頻出は動物の反応、タンパク質と生物体だが、総合問題も出題されるので幅広くカバーしておくことが必要。ヒト関連の医学的内容の問題も多い。難易度は時間との関係を考えるとやや高いが、問題自体は教科書レベルをマスターできていれば解けるものが中心。繰り返し出題される問題や類似問題があるので、過去問演習は入念に。
兵庫医科大学の生物
記述式の大問4〜7題
生物Ⅰ・Ⅱ(生物の集団を除く)からの出題。大問のうち1つは小問集合形式。試験時間は2科目120分。
難易度は易化傾向、最新の知見も
選択式、空所補充問題が主。出題範囲は広いが、動物に関する問題が頻出といえ、他大学では少ない分類・進化からの出題がある点にも注目。数年前まで多く出題されていた考察問題が減り、基礎知識を問う問題が増えてきているが、最新の研究結果をもとにした細かい設問が出されることがあるので、基礎を固めるとともに普段から科学ニュースにも気を配りたい。
川崎医科大学の生物
全問マークシートの大問2題
物理、科学、生物各2題のなかから4題を選んで解答する形式。試験時間は4題で120分、問題量に対して短い。生物は生物Ⅰ・Ⅱ(選択分野からは生物の分類と進化、生物の集団の両分野)からの出題。
難易度は基本的、動物の反応が頻出
大問内に多数の小問が設置され、問題数は多く多分野からの出題となっている。頻出は動物の反応を筆頭に、植物の反応、細胞、遺伝情報など。難易度は基本的だが、図などからの出題では見落としやすい部分を突いてきており、時間のないなかでミスせず迅速に正答していくためには過去問演習を徹底し、実践練習を積んでおくことが一番の近道である。
産業医科大学の生物
記述式の大問3〜4題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目100分で、問題内容に対して短い。
難易度高め、論述多し
もっとも多いのが論述問題で、その次に計算問題、描図問題の出題がみられる。頻出分野は細胞、動物の反応、タンパク質と生物体など。教科書レベルを超える問題もあり、ここでは与えられた情報から解答を導く思考力と分析力が試されている。また教科書に載っている内容からよりつっこんだ部分を問題にしていることもあるので、資料集や参考書で理解を深めておきたい。
福岡大学の生物
記述式の大問5題
生物Ⅰ・Ⅱからの出題。試験時間は2科目120分。
難易度高し、設問にクセあり
解答形式は選択式・記述式が基本で、年度により論述や計算問題が含まれる。最頻出分野は動物の反応で、細かく問題が展開される。遺伝情報、タンパク質と生物体、植物の反応なども頻出であるほか、実験結果、グラフ、図、表のデータを分析する考察問題も多く出題されている。難易度は概ね高校生の学習の範囲内だが、設問に工夫があり、かなり難しく感じられる。
久留米大学の生物
記述式の大問4題
生物Ⅰ・Ⅱ(選択分野は生物の分類と進化および生物の集団)からの出題。試験時間は2科目120分。
基本~標準、ケアレスミスが命取りに
選択問題、論述、空所補充、計算問題、描図問題など。論述問題の字数は年々増加傾向。動物の反応、分類・進化からのハーディ・ワインベルグの法則を使う計算問題などが頻出で、問題の多くが標準レベルのため高得点勝負となる。教科書をマスターし、字数多めの論述問題の時間配分に気をつけながら、全体的にケアレスミスをなくす努力をしよう。