獨協医科大学化学2013年第1問

次の問1~10に答えなさい。〔解答番号$\fbox{1}$~$\fbox{10}$〕
  • 問1 イオン半径の大きい順に並べたものとして最も適切なものを、次の(1)~(5)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{1}$
    • (1) $\text{O}^{2-}>\text{F}^->\text{Na}^+>\text{Mg}^{2+}>\text{Al}^{3+}$
    • (2) $\text{Na}^+>\text{Mg}^{2+}>\text{Al}^{3+}>\text{O}^{2-}>\text{F}^-$
    • (3) $\text{Al}^{3+}>\text{Mg}^{2+}>\text{Na}^+>\text{F}^->\text{O}^{2-}$
    • (4) $\text{Al}^{3+}>\text{O}^{2-}>\text{Mg}^{2+}>\text{F}^->\text{Na}^+$
    • (5) $\text{Na}^+>\text{F}^->\text{Mg}^{2+}>\text{O}^{2-}>\text{Al}^{3+}$
  • 問2 ケイ素およびケイ素の化合物に関する記述として最も適切なものを、次の(1)~(6)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{2}$
    • (1) ケイ素は、地殻を構成する元素のうち、存在割合(質量%)が最も大きい元素である。
    • (2) ケイ素の単体は、天然に豊富に存在している。
    • (3) シリカゲルは組成式が$\text{SiO}_2\cdot2\text{H}_2\text{O}$と表され、潮解性をもつため乾燥剤に使われる。
    • (4) 二酸化ケイ素の結晶を水酸化ナトリウム水溶液に加えると、水ガラスが得られる。
    • (5) 二酸化ケイ素の純結晶のことを水晶といい、共有結合の結晶でダイヤモンドについで2番目に硬い。
    • (6) 二酸化ケイ素にフッ化水素酸を加えると反応するので、フッ化水素酸はポリエチレンの容器に保存する。
  • 問3 5.0mLの過酸化水素水に、硫酸酸性にした0.020mol/Lの過マンガン酸カリウム水溶液を2.0mL加えたところ、過不足なく反応した。この反応に関する記述として最も適切なものを、次の(1)~(6)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{3}$
    • (1) 過酸化水素は強い酸化力をもつので、この反応では酸化剤として働いている。
    • (2) この反応におけるマンガン原子の酸化数変化の絶対値は3である。
    • (3) 過酸化水素水の濃度を求めるためには、硫酸の濃度は正確にわかっていなければならない。
    • (4) この反応の終点は、無色の過マンガン酸カリウム水溶液が、反応して赤紫色に変化することによって知ることができる。
    • (5) 過酸化水素水の濃度は、0.020mol/Lである。
    • (6) この反応における過酸化水素の酸素原子の酸化数変化の絶対値は2である。
  • 問4 黒鉛、水素、プロパンの燃焼熱は、それぞれ394kJ/mol、286kJ/mol、2219kJ/molである。また、水の蒸発熱は44kJ/molであり、$\text{H}_2$の結合エネルギーは436kJ/molである。これらのデータに基づいた記述として最も適切なものを、次の(1)~(5)のうちから一つ選びなさい。ただし、燃焼で生じる水は液体である。$\fbox{4}$
    • (1) 上記のデータのみから、へスの法則を利用して、$\text{O}-\text{H}$の結合エネルギーを求めることができる。
    • (2) 上記のデータのみから、へスの法則を利用して、プロパンの生成熱を求めることができる。
    • (3) プロパン3.0molを完全燃焼させると6657kJの発熱とともに、二酸化炭素が12.0mol発生する。
    • (4) 液体の水の生成熱は気体の水の生成熱より小さい。
    • (5) 上記のデータのみから、へスの法則を利用して、黒鉛の昇華熱を求めることができる。
  • 問5 図のような電解糟を用意し、2.00Aの電流を4825秒流して電気分解したところ、電解槽Ⅰの陰極の質量が1.27g増加した。この電気分解に関する記述として最も適切なものを、次の(1)~(5)のうちから一つ選びなさい。ただし、用いた電極は、銅と白金であるとする。$\fbox{5}$
    dokkyoika-2013-chemistry-1-1
    • (1) 電解糟Ⅰの硫酸銅(Ⅱ)水溶液の濃度は、電気分解後に減少する。
    • (2) 電解糟Ⅱの陰極の質量は2.16g増加する。
    • (3) 電解槽Ⅱに流れた電気量は、$1.93\times10^3$Cである。
    • (4) 電解槽Ⅲの陰極では、金属単体が析出する。
    • (5) 電解槽Ⅲの陽極では、標準状態に換算して、336mLの気体が発生する。
  • 問6 単一成分でできている純物質の油脂Aを加水分解すると、ステアリン酸$\text{C}_{17}\text{H}_{35}\text{COOH}$、オレイン酸$\text{C}_{17}\text{H}_{33}\text{COOH}$、リノール酸$\text{C}_{17}\text{H}_{31}\text{COOH}$が等しい割合で得られた。この油脂Aに関する記述として最も適切なものを、次の(1)~(5)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{6}$
    • (1) 油脂A100gにヨウ素を完全に付加させるとき、必要なヨウ素は86.2gである。
    • (2) 油脂A1gをけん化するのに必要な水酸化カリウムは127mgである。
    • (3) 油脂A1molを完全燃焼させると二酸化炭素が54mol発生する。
    • (4) 油脂A1molをけん化するとセッケンが6mol得られる。
    • (5) 加水分解して、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸が等しい割合で得られる油脂Aの異性体は、光学異性体を区別すると、Aを含めて12種類である。
  • 問7 次の(1)~(5)の記述のうち、誤りを含むものを一つ選びなさい。$\fbox{7}$
    • (1) メタノールに金属ナトリウムを加えて発生する気体は、希硫酸を電気分解したときに陰極に発生する気体と同じである。
    • (2) 水銀(Ⅱ)イオンを触媒としてアセチレンに水が付加反応するとアセトアルデヒドが生じるが、エタノールを酸化してもアセトアルデヒドが生じる。
    • (3) 酢酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物を加熱して発生する気体はエタンである。
    • (4) エタノールに濃硫酸を加えて加熱すると、130℃~140℃では主にジエチルエーテルを生じ、160℃~170℃では主にエチレンを生じる。
    • (5) 2-プロパノールを酸化して生じる物質は、酢酸カルシウムを乾留して生じる物質と同じである。
  • 問8 次の(1)~(5)の記述のうち、誤りを含むものを一つ選びなさい。$\fbox{8}$
    • (1) グルコースの水溶液はα-グルコース、β-グルコース、鎖状構造の平衡混合物であるが、その割合はα-グルコースが最も大きい。
    • (2) マルトース1molをマルターゼで完全に加水分解すると、2molのグルコースが生じる。
    • (3) 二糖類の一つであるスクロースはフェーリング液と反応しないが、マルトースはフェーリング液と反応して酸化銅(Ⅰ)が生じる。
    • (4) フルクトースは、結晶状態では六員環構造であるが、水溶液中では六員環構造だけでなく五員環構造と鎖状構造との平衡混合物である。
    • (5) デンプンは、多数のα-グルコースが脱水縮合してグリコシド結合した構造をもつ高分子化合物であり、アミロースとアミロペクチンからなる。
  • 問9 DNAの塩基対に関する記述として最も適切なものを、次の(1)~(6)のうちから一つ選びなさい。ただし、DNAを構成する4つの複素環塩基の構造式は次のようになっている。$\fbox{9}$
    dokkyoika-2013-chemistry-1-2
    • (1) アデニンのケトン基とチミンのアミノ基との間、1ヵ所で水素結合している。
    • (2) アデニンのケトン基とチミンのアミノ基など、合計2ヵ所で水素結合している。
    • (3) アデニンのケトン基とチミンのアミノ基など、合計3ヵ所で水素結合している。
    • (4) グアニンのケトン基とシトシンのアミノ基との間、1ヵ所で水素結合している。
    • (5) グアニンのケトン基とシトシンのアミノ基など、合計2ヵ所で水素結合している。
    • (6) グアニンのケトン基とシトシンのアミノ基など、合計3ヵ所で水素結合している。
  • 問10 酵素に関する次の(1)~(5)の記述のうち、誤りを含むものを一つ選びなさい。$\fbox{10}$
    • (1) アミラーゼは、デンプンをデキストリンやマルトースに分解する。
    • (2) セルラーゼは、セルロースをセロビオースやラクトースに分解する。
    • (3) 胃液に含まれるペプシンは、タンパク質をペプチドに分解する。
    • (4) リパーゼは、油脂を脂肪酸とグリセリンに分解する。
    • (5) 多くの生物に含まれるカタラーゼは、過酸化水素を水と酸素に分解する。