獨協医科大学化学2012年第3問
ヨウ素の溶解平衡に関する以下の文章を読み、問1~3に答えなさい。〔解答番号1~3〕
ヨウ素は無極性分子であり、水に溶けにくい。互いに混じり合わない水と四塩化炭素の混合溶媒にヨウ素を入れると、次の溶解平衡に達する。
I2(水中)⇆ このときの平衡定数は、次式で定義される。 K_1=\dfrac{[~\text{I}_1]_{\text{CCl}_4}}{[~\text{I}_2]_{\text{H}_2\text{O}}} \left([~\text{I}_2]_{\text{CCl}_4}:四塩化炭素中の\text{I}_2の濃度〔\text{mol/L}〕、[~\text{I}_2]_{\text{H}_2\text{O}}:水中の\text{I}_2の濃度〔\text{mol/L}〕\right) 次に、水中にヨウ化カリウム水溶液を加えると、水中で次の平衡が成り立つ。 \text{I}_2(水中)+\text{I}^-(水中)\leftrightarrows{\text{I}_3}\hspace{-.1em}^-(水中)\tag{B}\label{ab} この反応の平衡定数は、次式で定義される。 K_2=\dfrac{[~{\text{I}_3}\hspace{-.1em}^-]_{\text{H}_2\text{O}}}{[~\text{I}_2]_{\text{H}_2\text{O}}[~\text{I}^-]_{\text{H}_2\text{O}}}〔\text{L/mol}〕 このとき、\eqref{aa}と\eqref{ab}の平衡は同時に成り立っており、K_1とK_2の中の[~\text{I}_2]_{\text{H}_2\text{O}}の値は同じである。- 問1 分液漏斗に、1.0mol/Lの濃度でヨウ素を含む四塩化炭素溶液(以降A液と呼ぶことにする)を10.0mLと、純水250mLとを入れてよく振り混ぜたのち放置して、溶解平衡の状態とした。その後、水層を全部取り出し、水層中のヨウ素をデンプン水溶液を指示薬として、0.20mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定すると、20.0mLを消費した。ヨウ素の溶解平衡に関する平衡定数K_1、はいくらになるか。最も近い数値を、下の(1)~(6)のうちから一つ選びなさい。ただし、ヨウ素とチオ硫酸ナトリウムとの反応は、次式で与えられる。\fbox{1}
\text{I}_2+2\text{Na}_2\text{S}_2\text{O}_3\rightarrow2\text{NaI}+\text{Na}_2\text{S}_4\text{O}_6
- (1) 4.0
- (2) 10
- (3) 20
- (4) 40
- (5) 1.0\times10^2
- (6) 2.5\times10^2
- 問2 問1で求めた数値を使って計算すると、A液10mLから、95.0%のヨウ素を水層に移すためには、純水何Lとともに振り混ぜる必要があるか。最も近い数値を、次の(1)~(6)のうちから一つ選びなさい。\fbox{2}L
- (1) 5.2
- (2) 7.6
- (3) 13
- (4) 19
- (5) 26
- (6) 52
- 問3 A液10mLに、0.20mol/Lのヨウ化カリウムを含む水溶液200mLを加えて溶解平衡の状態にさせると、95.0%のヨウ素を水層に移すことができた。この結果より、このときの水中での反応の平衡定数K_2は何L/molになるか。最も近い数値を、次の(1)~(6)のうちから一つ選びなさい。\fbox{3}L/mol
- (1) 3.1
- (2) 9.6
- (3) 36
- (4) 4.8\times10^2
- (5) 6.1\times10^2
- (6) 9.6\times10^2