兵庫医科大学化学2013年第3問
次の文章を読み、設問(1)~(5)に答えよ。原子量は$\text{H}=1.0$、$\text{C}=12$、$\text{N}=14$、$\text{O}=16$、$\text{K}=39$、$\text{Mn}=55$、$\text{Br}=80$とする。
化合物Aに反応操作(ⅰ)を行うと、異性体である2種類の化合物BとCが主に得られた。この混合物から分離・精製した化合物Bに過マンガン酸カリム水溶液を加えて加熱したところ、化合物Dが生成した。その後、化合物Dが含まれる溶液をろ過して、その溶液に塩酸を加えると化合物Eが得られた。化合物Eは、濃塩酸とスズを加えて加熱することで化合物Fとなった。化合物Fは、反応操作(ⅱ)により化合物Gを経て化合物Hに変換された。化合物Hは、工業的にはナトリウムフェノキシドに高温・高圧下で二酸化炭素を反応させた後、希硫酸で酸性にして合成されている。化合物Hにメタノールと少量の濃硫酸を加えて加熱すると化合物Iが得られた。
- (1)化合物E1.0gを中和するのに1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液が6.0mL必要であった。化合物Bは下記の化合物群に含まれる。次の中から化合物Bの構造として最も適当なものを選び、記号で答えよ。計算の過程とその化合物を選んだ理由も示すこと。
- (2)下線部の反応は下記の反応式で表される。この反応式の$\fbox{ア}$~$\fbox{エ}$に相当する係数を記せ。また、この反応で酸化マンガン(Ⅳ)が34.8g生成したとき、同時に生成する化合物Dの質量(g)を整数で求めよ。計算の過程も示すこと。 \[化合物\text{B}+\fbox{ア}\text{KMnO}_4\longrightarrow化合物\text{D}+\fbox{イ}\text{MnO}_2+\fbox{ウ}\text{KOH}+\fbox{エ}\text{H}_2\text{O}\]
- (3)反応操作(ⅰ)、(ⅱ)として適当なものを次の中からそれぞれ1つずつ選び、記号で答えよ。
- a.硫酸水銀(Ⅱ)を溶かした希硫酸中へ通す。
- b.濃硝酸と濃硫酸の混合物を加えて加熱する。
- c.パラジウムやニッケル等の金属触媒を用いて還元する。
- d.硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液を加えて反応させる。
- e.固体の水酸化ナトリウムを加えて高温で融解した後、酸を加える。
- f.氷冷下で希塩酸と亜硝酸ナトリウム水溶液を加えた後、室温まで温度を上げる。
- (4)化合物A、F、G、Hの構造式を記せ。
- (5)化合物Iの構造異性体の中で不斉炭素原子をもつ化合物の構造式を2つ書け。