兵庫医科大学生物2012年第3問

次の文章を読み、(1)から(5)の問いに答えよ。

普通、サクラの花の芽(花芽)は夏に分化するが、夏から秋になって日照時間が短くなると、(ア)成長が停止したままの状態(休眠)になる。この状態で冬を越す花芽を越冬芽という。越冬芽は、冬の低温下で傷害を受けないように、鱗状(りんじょう)の小片で堅く包まれている。(イ)春になって気温が上昇すると、越冬芽は休眠から解除され、成長し始め、サクラが開花する

ところで、2004年9月兵庫県神戸市に台風が上陸し、多くのサクラの葉が枯れてしまった。台風が過ぎた後、暖かい日が続いた神戸市では、その年の10月にサクラが咲き(いわゆる、狂い咲き)、話題になった。

  • (1) 下線部(ア)の、花芽を休眠にするのは、植物ホルモン$\alpha$である。植物ホルモン$\alpha$は、種子に対して、成熟後すぐ発芽しない状態にする作用をもつ。植物ホルモン$\alpha$はどれか。1つ選べ。
    • A. アブシシン酸
    • B. エチレン
    • C. オーキシン
    • D. サイトカイニン
    • E. ジベレリン
    • F. ステロイドホルモン
  • (2) 植物ホルモン$\alpha$にあてはまる記述を1つ選べ。
    • A. 気孔を閉じて水分の排出を抑える。
    • B. 成熟した果実がつくる気体の物質である。
    • C. ガス灯による街路樹の落葉の原因物質である。
    • D. 魚のDNA分解産物から発見され、細胞分裂を促進する。
    • E. 丈が低い矮(わい)性のトウモロコシに与えると、正常な丈になる。
  • (3) 上記文章から、植物ホルモン$\alpha$はサクラのどこでつくられると考えられるか。1つ選べ。
    • A. 越冬芽
    • B. 花芽
    • C. 茎
    • D. 根
    • E. 葉
  • (4) 下線部(イ)は、植物ホルモン$\alpha$の減少と植物ホルモン$\beta$の増加により起こる。植物ホルモン$\beta$は、種子の発芽や果実の形成に促進的に働く作用をもつ。植物ホルモン$\beta$はどれか。1つ選べ。
    • A. アブシシン酸
    • B. エチレン
    • C. オーキシン
    • D. サイトカイニン
    • E. ジベレリン
    • F. ステロイドホルモン
  • (5) 上記文章に対する考察として正しいのはどれか。すべて選べ。
    • A. サクラは日長の変化をとらえる。
    • B. 狂い咲きした花芽は越冬芽にならなかった。
    • C. 台風が過ぎた後、暖かい日が続いたことは、狂い咲きと関係がある。
    • D. 10月に花を咲かせた花芽は、翌年の春に花を咲かせることができる。
    • E. 葉が枯れる代わりに取れて無くなった場合は、狂い咲きは起こらない。