順天堂大学化学2013年第3問
油脂Aに関する次の各問いに答えなさい。〔解答番号$\fbox{1}$~$\fbox{9}$〕
〔実験1〕油脂A9.12gを完全にけん化するのに必要な水酸化カリウムは1.68gであった。そこで得られた反応液を酸性にすることで、直鎖脂肪酸B、C、Dの3種類が得られた。脂肪酸Dの炭素数はBより2だけ大きく、Cの炭素数とは異なっている。
〔実験2〕油脂A2.28gを白金触媒の存在下で水素と完全に反応させると、標準状態(0℃、$1.013\times10^5$Pa)に換算して168mLの水素が消費された。反応後、水酸化カリウムで完全にけん化してから、反応液を酸性にすると2種類の脂肪酸のみが得られた。
〔実験3〕実験1で得た脂肪酸B、C、Dの混合物をメタノールと完全に反応させ、生成したエステルを中性下で過マンガン酸カリウム水溶液と共に加熱し酸化すると脂肪酸Cのみが反応し、あらたに3種類の化合物E、F、Gを生成した。その中でGのみがジカルボン酸であった。また、EとGは炭素数が等しく、Eの分子量はGの0.746倍であった。なお、過マンガン酸カリウム水溶液は中性下での加熱により、脂肪酸の炭素間二重結合を以下の様に酸化切断しカルボン酸とするが、エステルとは反応しないことが知られている。また、脂肪酸B、C、Dは三重結合を持たない。
- 問1 実験1では脂肪酸B、C、D以外にもう一つ別の化合物も生じる。その化合物に関する次の記述(1)~(6)のうち最もふさわしいものを一つ選びなさい。$\fbox{1}$
- (1)エタノールに濃硫酸を加えて約130℃に熱すると得ることが出来る。
- (2)へキサメチレンジアミンと反応させると分子同士が連続的に結合して、合成繊維が出来る。
- (3)無色で粘りけがある液体で、合成樹脂やダイナマイトの原料となる。
- (4)水溶液に、ヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を少量加え温めると、黄色結晶が生じる。
- (5)1-プロパノールを適当な酸化剤で酸化すると得られる。
- (6)テレフタル酸と縮合重合させると、ポリエチレンテレフタラートという高分子化合物が生じる。
- 問2 油脂Aの分子量として最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{2}$
- (1)766
- (2)858
- (3)874
- (4)912
- (5)1004
- (6)1058
- 問3 油脂Aはいくつの二重結合を持っているか。正しいものを(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{3}$
- (1)1
- (2)2
- (3)3
- (4)4
- (5)5
- (6)6
- 問4 脂肪酸Bの分子量として最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{4}$
- (1)266
- (2)278
- (3)282
- (4)284
- (5)291
- (6)312
- 問5 脂肪酸Dの炭素数はいくつか。正しいものを(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{5}$
- (1)12
- (2)14
- (3)16
- (4)18
- (5)20
- (6)22
- 問6 化合物Gの炭素数はいくつか。正しいものを(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{6}$
- (1)3
- (2)4
- (3)5
- (4)6
- (5)7
- (6)8
- 問7 化合物Eの分子量として最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{7}$
- (1)43
- (2)59
- (3)74
- (4)88
- (5)102
- (6)116
- 問8 化合物Fの分子量として最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{8}$
- (1)116
- (2)130
- (3)126
- (4)146
- (5)160
- (6)188
- 問9 油脂Aにおいて、各脂肪酸の結合位置の違いに基づく異性体はいくつ存在するか。正しいものを(1)~(6)の中から一つ選びなさい。もし、光学異性体が存在するのであれば、光学異性体も数に加えることとする。$\fbox{9}$
- (1)2
- (2)3
- (3)4
- (4)5
- (5)6
- (6)7