順天堂大学化学2013年第4問
電気分解によりファラデー定数を求める実験を行った。実験装置は図2のように、上部にすり合わせのコックAが付いたU字型のガラス管Bの両側の下部に白金電極Cを封じ込んであり、中央部にはろうと型のガラス管Dが付いている。電極は定電流直流電源に接続されている。
実験は次のように行った。
次の各問いに答えなさい。ただし、両極で発生する気体の電解液への溶解は無視できるものとする。必要なら、圧力の換算には次の値を用いなさい。
1atm=$1.013\times10^5$Pa、1atm=76cmHg、1cmHg=$1.333\times10^3$Pa
実験は次のように行った。
(ⅰ)2つのコックAを開いて外気に通じ、Dから電解液として10%硫酸水溶液を注ぎ込み、U字管Bの両側の液面がコックの位置まで達するように電解液で満たしてから両側のコックを閉じた。
(ⅱ)スイッチSを入れて電流一定で電気分解を行った。適当な時間で電気分解を止め、電解時間$t$ [min]、電解電流$i$ [A]、U字管にたまった気体の体積$V$ [mL](陰極側)、中央の管Dの液面とU字管の液面との水位の差$h$ [cm](陰極側)、室温$k$ [℃]、大気圧$P_{\text{A}}$ [Pa]を測定した。
測定値は、10%硫酸水溶液の密度$d_1$ [g/cm3]、水銀の密度$d_2$ [g/cm3]、27℃における10%硫酸水溶液の飽和蒸気圧$P_{\text{H}_2\text{SO}_4}$ [Pa]、電子1個がもつ電気量の絶対値$e$ [C]、気体定数$R$ [Pa・L/(K・mol)]と共に、表にまとめて示した。
電解時間、$t$ [min] | |
電解電流、$i$ [A] | |
陰極側気体体積、$V$ [mL] | |
中央管Dと陰極側液面との水位差、$h$ [cm] | |
大気圧、$P_{\text{A}}$ [Pa] | |
気温、$k$ [℃] | |
10%硫酸水溶液の飽和蒸気圧(27℃)、$P_{\text{H}_2\text{SO}_4}$ [Pa] | |
10%硫酸水溶液の密度(27℃)、$d_1$ [g/cm3] | |
水銀の密度(27℃)、$d_2$ [g/cm3] | |
電子1個がもつ電気量の絶対値、$e$ [C] | |
気体定数、$R$ [Pa・L/(K・mol)] |
1atm=$1.013\times10^5$Pa、1atm=76cmHg、1cmHg=$1.333\times10^3$Pa
- 問1 装置中央のガラス管Dは電解液を注入する役目および管内の圧力の増加を抑制する役目があるが、他にどのような役割があるか。30字以内で記せ。
- 問2 表のデータを用いて次の問い(a)~(C)に答えなさい。
- (a)U字管にたまった水素ガスの分圧$P_{\text{H}_2}$ [Pa]を求めなさい。解答は表に与えられている各数値の記号($t$、$i$、など)を使った式と計算値(有効数字3桁)を答えなさい。
- (b)発生した水素の物質量$n$ [mol]を求めなさい。解答は計算値(有効数字3桁)で答えなさい。
- (c)この実験から得られるファラデー定数$F$ [C/mol]を求めなさい。解答は計算値(有効数字3桁)で答えなさい。
- 問3 この実験から得られるアボガドロ定数$N_{\text{A}}$ [C/mol]を求めなさい。解答は問2で求めた水素の物質量を$n$とし、表に与えられている各数値の記号($t$、$i$、など)を使った式と計算値(有効数字3桁)を答えなさい。