順天堂大学化学2012年第2問

3種類の金属、亜鉛、銅、白金の混合物がある。この金属混合物について次の各問いに答えなさい。[解答番号$\fbox{1}$~$\fbox{7}$]
  • 問1 この金属混合物を試料として次の実験を行った。
    • $[~\text{I}~]$ 混合物に充分量の希硝酸を加えて反応させた。
    • $[~\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}~]$ 実験$[~\text{I}~]$で得られた溶液を蒸発乾固し、乾固物に希塩酸を加えて完全に溶解した。(イ) この水溶液に硫化水素を通じると沈殿が生じた。生じた沈殿をろ過し、ろ液を蒸発乾固し、乾固物をアンモニア水に溶かしてから再び(ロ) 硫化水素を通じた
    次の問い(a)~(d)に答えなさい。
    • (a) 実験$[~\text{I}~]$についての記述で最も適切なものを(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{1}$
      • (1) 金属はすべて溶けた。この時、気体は発生しなかった。
      • (2) 金属はすべて溶けて、無色の気体を発生した。気体は水に溶けて酸性を示した。
      • (3) 金属の一部は溶けずに残った。この時、無色の気体が発生し、空気に触れると褐色に変化した。褐色の気体は圧力を加えると褐色が薄くなっていった。
      • (4) 金属の一部は溶けずに残った。この時、無色の気体が発生し、空気に触れると褐色に変化した。褐色の気体は圧力を加えると褐色が濃くなっていった。
      • (5) 金属の一部は溶けずに残った。この時、気体は発生しなかった。
      • (6) 金属の一部は溶けずに残った。この時、無色の気体が発生した。発生した気体は容易に水に溶けて塩基性を示した。
    • (b) 硫化水素は水溶液中で次のように電離する。 \[\text{H}_2\text{S}\rightarrow\text{HS}^-+\text{H}^+ \tag{1}\label{aa}\] \[\text{HS}^-\rightarrow\text{S}^{2-}+\text{H}^+ \tag{2}\label{ab}\] \eqref{aa}の電離定数を$K_1$、\eqref{ab}の電離定数を$K_2$とすると、 \[ \text{H}_2\text{S}\rightarrow\text{S}^{2-}+2\text{H}^+ \] の電離定数$K$は \[ K=K_1\cdot\ K_2 \] となる。

      実験$[~\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}~]$、下線部(イ)の水溶液の塩酸濃度が$0.30~\text{mol/L}$で、$\text{Zn}^{2+}$、$\text{Cu}^{2+}$の濃度がそれぞれ$1.0\times10^{-2}~\text{mol/L}$だったとすると、硫化水素を通じた後の(i) $\text{Zn}^{2+}$、(ii) $\text{Cu}^{2+}$の濃度はそれぞれ最初の濃度の何%となるか。最も近い値をそれぞれ(1)~(6)の中から一つずつ選びなさい。

      ただし、溶液中の硫化水素は飽和していて、その濃度は$0.10~\text{mol/L}$で、硫化亜鉛の溶解度は$1.47\times10^{-9}~\text{mol/L}$、硫化銅$(\text{I}\hspace{-.1em}\text{I})$の溶解度は$2.55\times10^{-15}~\text{mol/L}$であり、$K_1=1.0\times10^{-7}~\text{mol/L}$、$K_2=1.1\times10^{-15}~\text{mol/L}$とする。

      • (i) $\text{Zn}^{2+}$の濃度(最初の濃度に対する百分率) $\fbox{2}$
        • (1) 1.8%
        • (2) 18%
        • (3) 37%
        • (4) 73%
        • (5) 87%
        • (6) 100%
      • (ii) $\text{Cu}^{2+}$の濃度(最初の濃度に対する百分率)$\fbox{3}$
        • (1) $5.3\times10^{-4}$%
        • (2) $2.1\times10^{-4}$%
        • (3) $1.1\times10^{-3}$%
        • (4) $1.1$%
        • (5) $2.1$%
        • (6) $5.3$%
    • (c) 実験$[~\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}~]$、下線部(ロ)についての記述で最も適切なものを(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{4}$
      • (1) 白色沈殿が生じた。
      • (2) 濃青色沈殿が生じた。
      • (3) 黄色沈殿が生じた。
      • (4) 黒色沈殿が生じた。
      • (5) 赤色沈殿が生じた。
      • (6) 沈殿は生じず、溶液の色が濃青色に変化した。
    • (d) 硫化亜鉛の結晶中の$\text{Zn}$原子は面心立方格子に配置されていて、その単位格子の一辺が$0.54\times10^{-9}$ mである。この結晶の密度(g/cm3)を求めなさい。最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{5}$
      • (1) 1.4
      • (2) 2.0
      • (3) 2.8
      • (4) 3.4
      • (5) 4.1
      • (6) 6.1
  • 問2 金属混合物を試料として次の実験を行った。
    • $[~\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}~]$ 金属混合物5.00gに(ハ) 希塩酸を充分加えて反応させた
    • $[~\text{I}\hspace{-.1em}\text{V}~]$ 反応後、ろ過して固形物と溶液に分けた。固形物に充分量の(二) 濃硫酸を加えて加熱した
    • $[~\text{V}~]$ 反応後、ろ過して(ホ) 固形物(へ) 溶液に分けた。
    次の問い(a)、(b)に答えなさい。
    • (a) 下線部(ハ)で発生した気体は、27℃、1.013×105 Paで1.23Lであった。また、下線部(二)で発生した気体をすべて水に溶かし、過酸化水素で完全に酸化した。この水溶液に充分量の塩化バリウムを加えて生じた沈殿は4.66gであった。下線部(ホ)の固形物の質量は何gか。最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{6}$
      • (1) 0.32
      • (2) 0.46
      • (3) 1.10
      • (4) 2.73
      • (5) 3.91
      • (6) 4.54
    • (b) 下線部(へ)の溶液を水で希釈してアンモニア水を徐々に加えていく と沈殿が出来はじめる。さらにアンモニア水を少量加えると沈殿の一部が溶けて溶液の色が濃青色になった。ここに塩化アンモニウム水溶液を加えた時の変化の様子で最も適切なものを(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{7}$
      • (1) 沈殿の量、溶液の色に変化はなかった。
      • (2) 沈殿がさらに溶けて、溶液の濃青色が濃くなる。
      • (3) 沈殿が増えて、溶液の色は薄くなる。
      • (4) 沈殿がさらに溶けて、溶液の色は薄くなる。
      • (5) 沈殿が増えて、溶液の色が濃くなる。
      • (6) 沈殿の色が濃青色に変化する。