順天堂大学化学2013年第2問

次の各問いに答えなさい。〔解答番号$\fbox{1}$~$\fbox{9}$〕

酸性雨の原因となる大気汚染物質は石炭などの化石燃料を燃焼させた時に生じる。無水状態での組成が質量割合で炭素90.0%、水素4.76%、窒素(イ)%、硫黄(ロ)%、その他反応に関与しない物質3.20%の石炭1.00kgを酸素中で完全に燃焼させた。この時発生する窒素酸化物はすべて二酸化窒素であり、硫黄酸化物はすべて二酸化硫黄であるとし、反応生成物はすべて気体として存在すると考える。すべての気体は理想気体として振る舞い、水への溶解度は、ヘンリーの法則に従うものとする。また必要であれば$\log2=0.30$、$\log3=0.48$、$\log5=0.70$を用いなさい。

  • 問1 反応生成物の全排出気体のうち、二酸化炭素の体積割合は75.0%であった。この石炭に含まれる窒素(イ)%はいくつになるか。最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{1}$%
    • (1)0.160
    • (2)0.320
    • (3)0.350
    • (4)0.640
    • (5)0.700
    • (6)1.40
  • 問2 石炭の燃焼によって排出された二酸化窒素をすべて回収し、水と反応させると気体が発生した。さらにこの発生した気体を酸素と反応させた。次の問い(a)、(b)に答えなさい。ただし二酸化窒素と四酸化二窒素の平衡は考えないとする。
    • (a)下線部の2つの反応をまとめると、次のように1つの式で表すことができる。 \[\text{(ハ)}\text{NO}_2+\text{O}_2+\text(ニ)\text{H}_2\text{O}\longrightarrow\text{(ホ)}\text{HNO}_3\] 係数(ハ)~(ホ)に当てはまる数字として正しいものを(1)~(6)の中から一つずつ選びなさい。ただし同じ番号を何度使用しても構わない。
      (ハ)
      (ニ)
      (ホ)
      $\fbox{ 2 }$
      $\fbox{ 3 }$
      $\fbox{ 4 }$
      • (1)2
      • (2)3
      • (3)4
      • (4)5
      • (5)6
      • (6)7
    • (b)(a)に示した反応を完全に進行させて生じた硝酸に、水を加えて10Lとし、そのうち20mLを適当な指示薬を用いて中和するには0.10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液が何mL必要か。最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい$\fbox{5}$mL
      • (1)5.0
      • (2)10
      • (3)15
      • (4)20
      • (5)25
      • (6)30
  • 問3 石炭の燃焼によって排出された二酸化硫黄をすべて回収し、体積を変動させることができる可変容器に水800mLと共に封入した。次の問い(a)~(d)に答えなさい。
    • (a)一定温度において、圧力$P$で一定量の水に溶解する二酸化硫黄の体積と比較し、圧力$2P$で同量の水に溶解する二酸化硫黄の体積は、それぞれの圧力において比較すると何倍となるか。正しいものを(1)~(6)の中から一つ選びなさい。$\fbox{6}$倍
      • (1)$\dfrac{1}{2}$
      • (2)1
      • (3)2
      • (4)$P$
      • (5)$2P$
      • (6)$R$
    • (b)容器内の温度を27℃に保ち、容器の体積を3.57Lとした時、水に溶解している二酸化硫黄の物質量はいくつか。最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。ただし、1000hPa、27.0℃において水100mLに二酸化硫黄は8.00g溶解すると考え、気体の溶解に伴う液体の体積変化は無視できるものとする。$\fbox{7}$mol
      • (1)0.020
      • (2)0.100
      • (3)0.180
      • (4)0.200
      • (5)1.00
      • (6)1.80
    • (c)容器にさらに水を加え、二酸化硫黄をすべて水に溶かして、二酸化硫黄の水溶液を全量1.00Lとした。この水溶液のpHはいくつになるか。最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。ただしこの時の水溶液の温度は25℃である。また、二酸化硫黄は水中で以下のような平衡状態にあるとし、解離定数$K$を$1.00\times10^{-2}$mol/Lとする。$\fbox{8}$ \[\text{SO}_2+\text{H}_2\text{O}\rightleftarrows\text{H}^++\text{HSO}_3{^-}\]
      • (1)1.30
      • (2)1.35
      • (3)1.40
      • (4)1.70
      • (5)2.20
      • (6)2.50
    • (d)(c)の溶液を20倍に希釈した後、それを20mLとり、$1.0\times10^{-2}$mol/Lのヨウ素溶液を徐々に加えていくと、はじめは滴下したヨウ素溶液の色が消え、ヨウ素溶液の色が消えなくなったところで滴下を中止した。この時の溶液のpHはいくつになるか。最も近い値を(1)~(6)の中から一つ選びなさい。ただしこの時の水溶液の温度は25℃であり、反応によって生じた酸はすべて強酸で完全に解離しているとする。$\fbox{9}$
      • (1)1.30
      • (2)1.35
      • (3)1.40
      • (4)1.70
      • (5)2.20
      • (6)2.50