順天堂大学生物2012年第4問
蛹化ホルモンに関する以下の文章を読み、各問い(問1~7)に答えよ。
ユスリカ幼虫のだ腺染色体をある色素で染色すると、多数の横縞がみられ、特定の部分がふくらんだパフが観察される。蛹化ホルモンを若い幼虫に注射すると、前蛹期(完全なさなぎになる前の時期)にみられるものと同じパフが現れる。
- 問1 ユスリカのだ腺染色体に関連する記述のうち正しいものを、次の(1)~(5)から一つ選べ。
- (1) だ腺は腹部全体にのびて存在する構造である。
- (2) 核分裂がおこらないままDNAが複製されて形成され、体細胞分裂でふつうにみられる中期の染色体の400~500倍の大きさをもつ。
- (3) ユスリカのだ腺染色体と同様な巨大染色体はエビにも観察される。
- (4) 染色液として酢酸カーミンを使うとだ腺染色体の横縞が観察されるが、酢酸オルセインでは観察できない。
- (5) だ腺染色体の横縞と染色体地図上の各遺伝子の配列順序は一致するが、遺伝子間の距離は必ずしも一致しない。
- 問2 パフでは、DNAはどのような状態にあるか。30字以内で述べよ
- 問3 以下はパフでおきていることを確かめるための実験とその結果である。
- <実験> 放射性同位体の3Hで標識した塩基$\fbox{A}$を含む注) ヌクレオシドを幼虫に与えると、パフに多く集まることがわかった。
- 注) 細胞内でヌクレオチドに変化して利用される。
- (1) 塩基$\fbox{A}$は何か。
- (2) パフでは何がおきているか。また、そう判断した理由を実験結果から30字以内で述べよ。
- 問4 幼虫期と前蛹期のだ腺染色体を比較すると、縞模様は同じだが、パフを生じる位置や大きさが異なっている。これから、どのようなことが推測されるか、30字以内で述べよ。
- 問5 昆虫の期化を誘導するホルモンは何か、また分泌腺の名称を記せ。
- 問6 蛹化ホルモンの作用に関して正しいものを、次の(1)~(6)のうちか.ら一つ選べ。
- (1) ホルモンにより活性化した受容体が、調節タンパク質を直接活性化する。
- (2) ホルモンにより活性化した受容体が、醇素反応を介して調節タンパク質を活性化する。
- (3) ホルモンにより活性化した受容体が、酵素反応を介して調節遺伝子を活性化する。
- (4) ホルモンと受容体の複合体が、調節タンバク質として働く。
- (5) ホルモンと受容体の複合体が、酵素反応を介して調節タンパク質を活性化する。
- (6) ホルモンと受容体の複合体が、酵素反応を介して調節遺伝子を活性化する。
- 問7 鳥類の卵巣から分泌されるホルモンにも、蛹化ホルモンと同じ様な機構で遺伝子を活性化するものが知られている。このホルモンは何か、またその働きを40字以内で述べよ。