金沢医科大学生物2013年第3問
アフリカツメガエルの卵を用いた実験に関する以下の文を読み、(1)~(3)の問いに答えなさい。
一般に動物の体は、前後、左右、背腹に沿った3つの軸をもつことが知られている。アフリカツメガエルの受精では、精子は卵の動物半球から侵入する。そして受精後、第一卵割の前に卵細胞の「表層の回転」という現象が観察され、これが背腹軸の決定に重要であることがわかっている。そこで、どのように背腹軸が決定されるかを調べる実験を以下のように行った。
- 実験【1】受精後の「表層の回転」を観察すると、精子侵入点の反対側に植物極の表層がくるように回転し、(図1、A→A')、A'側が背側となった。
- 実験【2】受精直後、紫外線を照射すると「表層の回転」が起こらず、背腹軸をもたない表皮だけの胚ができた。しかし、「表層の回転」後に同様に紫外線を照射しても背腹軸をもつ正常胚になった。
- 実験【3】受精直後、「表層の回転」が超こる前に図2のような方法で植物極側の30%を分離し、動物極側の発生を観察したところ、「表層の回転」は起こったが、背腹軸をもたない表皮のみの胚となった。
- 実験【4】「表層の回転」が起こった後に図2のような方法で植物極側を分離したところ、表1のような結果が得られた(いずれも動物極側の発生を観察している)。
- (1) 実験【1】~【4】の結果に関する考察として適切なものを2つ選びなさい。$\fbox{25}$
- (a) 背側を決定する因子は、「表層の回転」によって植物極側から図1のA'側に運ばれる。
- (b) 紫外線の照射によって背側を決定する因子が破壊され、腹側の組織が誘導された。
- (c) 図3のウ領域に内胚葉を誘導する因子が含まれている。
- (d) 卵への精子侵入は、表層の回転方向には関係するが、背腹軸の決定には関係しない。
- (e) 表皮への分化は背側中胚葉からの誘導を必要とする。
- (f) 図3のイ領域は背腹軸の決定には必要のない領域である。
- (g) 「表層の回転」が起こる前は、背側を決定する因子は図3のアの領域に含まれる。
- (2) カエルの卵割様式を示す語の組合わせとして正しいものを選びなさい。$\fbox{26}$
- (a) 部分割・表割
- (b) 部分割・不等割
- (c) 部分割・等割
- (d) 全割・表割
- (e) 全割・不等割
- (f) 全割・等割
- (3) イモリやカエルの背側の組織の形成には、形成体(オーガナイザー)が重要であることがわかっている。次の文は、形成体の発見とその作用について説明したものである。下線部A~Cの正誤の組合わせ(A、B、Cの順)として正しいものを選びなさい。$\fbox{27}$
1924年、シュペーマンとマンゴルドは、イモリ胚を用いて初期原腸胚の(A)原口背唇部に二次軸を誘導する作用があることを発見し、これを形成体と呼んだ。原口背唇部そのものは(B)内胚葉性の領域であり、これを移植した場合、二次胚の大部分は宿主に由来するが、脊索と(C)腎節は移植片に由来するものであった。
- (a) 正、正、正
- (b) 正、正、誤
- (c) 正、誤、正
- (d) 誤、正、正
- (e) 誤、誤、正
- (f) 正、誤、誤
- (g) 誤、正、誤
- (h) 誤、誤、誤