近畿大学化学2012年第2問

次の問(1)~問(3)に答えよ。
  • 問(1) 標準大気圧のもとで、体積を自由に変化させることのできるピストン型の密閉容器を用いて、水素と酸素の混合気体に関する実験を行った。次の説明を読み、以下の設問(a)~(d)に答えよ。ただし、気体は理想気体として振る舞うものとし、液体および固体の蒸気圧は無視して考えよ。有効数字は3桁とする。

    (実験)27℃の水素ガス1.00Lと-73℃の酸素ガス1.00Lを混合し、-3℃に保ったところ混合気体の体積は$\fbox{A}$となった。この混合気体を電気火花で点火し、水素または酸素のいずれか一方がすべてなくなるまで反応させた。反応後の容器を-3℃に保ったところ、容器を占める気体成分の大部分は$\fbox{ア}$であり、その気体の体積は$\fbox{B}$であった。反応後の容器を温め、117℃に保ったところ、気体全体の体積は$\fbox{C}$となった。

    • (a) 下線部が示す反応の化学反応式を書け。
    • (b) $\fbox{A}$~$\fbox{C}$に当てはまる体積を求めよ。計算式も示せ。
    • (c) $\fbox{ア}$に当てはまる気体成分を、化学式で答えよ。
    • (d) 下線部の反応で生成した水の物質量は何molか。またその質量は何gか。計算式も示せ。
  • 問(2) 氷の結晶構造に関する説明を読み、以下の設問(a)と(b)に答えよ。

    (説明)氷の結晶は、水分子同士が水素結合のネットワークを形成したすき間の多い構造をもつ。図1は、氷の結晶構造の一部を表す模式図であり、黒丸が酸素、白丸が水素、太線が共有結合、点線が水素結合を表す。酸素原子の位置だけに着目すると、氷の結晶の単位格子は、図2に示すダイヤモンドの単位格子と同じ型であることがわかる。

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    • (a) 氷の結晶の単位格子中に含まれる水分子の数を答えよ。
    • (b) 氷の結晶の単位格子の一辺の長さは$6.38\times10^{-8}\text{cm}$である。氷の結晶の密度を計算し、有効数字3桁で答えよ。計算式も示せ。
  • 問(3) 水の状態変化に関する説明を読み、以下の設問(a)~(d)に答えよ。

    (説明) (i)氷に十分な圧力がかかると溶けて水になるのは、(ii)$\underline{融解によって体積が\fbox{A}するためである}$。このことは、図3に示す水の状態図において融解曲線の傾きが$\fbox{B}$であることと関係しており、圧力が高くなるほど融点が$\fbox{C}$ことを示している。

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    • (a) $\fbox{A}$~$\fbox{C}$に当てはまる適切な語句を答えよ。
    • (b) 図3に示された記号$\text{I}$、$\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}$、$\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}$は、水が気体、液体、固体のいずれかの状態で存在する領域を示す。固体の領域を示す記号を答えよ。
    • (c) 下線部(i)の状態変化に最も関係が深い矢印を、図3に示された(ア)~(カ)から1つ選んで記号で答えよ。
    • (d) 下線部(ii)のように体積が変化する理由を、40字以内で説明せよ。