北里大学化学2012年第1問
次の1~8の問に答えよ。答は各問の(1)から始まる選択肢の中から選べ。
- 硫化水素と二酸化硫黄はいずれも常温・常圧で気体である。次の記述のうち、硫化水素のみに当てはまるものはどれか。$\fbox{1}$
- (1) 水に溶けるとその水溶液は弱い酸性を示す。
- (2) 無色で有毒である。
- (3) 空気より重く、その補集には下方置換が用いられる。
- (4) ヨウ素の単体を還元し、ヨウ化物イオンを生じさせる。
- (5) 還元剤として働くと硫黄の単体が生じる。
- 次の操作のうち、その操作により発生する気体(水蒸気を除く)の分子が極性分子であるものはどれか。$\fbox{2}$
- (1) 塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱する。
- (2) 酢酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物を加熱する。
- (3) 炭化カルシウムに水を加える。
- (4) 亜鉛に希硫酸を加える。
- (5) 炭酸カルシウムに希塩酸を加える。
- 可逆反応に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。$\fbox{3}$
- (1) 活性化エネルギーを小さくすると、反応速度は大きくなる。
- (2) 正反応の反応物の濃度を大きくすると、平衡定数は大きくなる。
- (3) 温度を高くすると、吸熱反応が起こる向きに平衡が移動する。
- (4) 温度を高くすると、反応速度定数の値が大きくなる。
- (5) 触媒を用いても反応熱の大きさは変わらない
- $25\ {}^\circ\mathrm{C}$において$1.0\times10^{-4}$mol/L酢酸水溶液中の酢酸の電離度は0.40である。$25\ {}^\circ\mathrm{C}$における酢酸の電離定数$K_a$mol/Lはいくらか。$\fbox{4}$
- (1) $8.0\times10^{-6}$
- (2) $1.6\times10^{-5}$
- (3) $2.7\times10^{-5}$
- (4) $4.0\times10^{-5}$
- (5) $6.0\times10^{-5}$
- リチウム電池の1種である二酸化マンガンリチウム電池では、有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが、電解液として用いられている。この電池の各電極で起こる反応は次式で表される。
\[\text{Li}\longrightarrow\text{Li}^++\text{e}^-\tag{ア}\label{aa}\]
\[\text{MnO}_2+\text{Li}^++\text{e}^-\longrightarrow\text{LiMnO}_2\tag{イ}\label{ab}\]
この電池に関する次の記述のうちから誤っているものを2つ選べ。$\fbox{5}$
- a. $\eqref{aa}$の反応が負極で起こる。
- b. $\eqref{ab}$の反応では、反応の前後でマンガンの酸化数は変わらない。
- c.リチウムイオンは金属イオンのうち、もっともイオン半径が小さい。
- d.二酸化マンガンリチウム電池の起電力は、マンガン乾電池より大きい。
- e.有機溶媒を用いるのは、水を用いると電極のリチウムが水と反応するからである。
- (1) a、b
- (2) a、c
- (3) a、d
- (4) a、e
- (5) b、c
- (6) b、d
- (7) b、e
- (8) c、d
- (9) c、e
- (10) d、e
- 同位体の中には、原子核が不安定で、放射線を放って他の原子に変化する放射性同位体がある。原子核から粒子が飛び出して、元の原子と異なる原子が生じることを壊変という。この壊変のうち、α線$\big({^4_2\text{He}}$の原子核の流れ$\big)$を放出するα壊変では、原子番号が2小さく、質量数が4小さい原子が生じる。また、β線(原子核から出る高速の電子$\text{e}^-$の流れ)を放出するβ壊変では、原子番号が1大きく、質量数が変わらない原子が生じる。放射性同位体である$^{238}_{92}\text{U}$は、α壊変を( ア )回、β壊変を( イ )回起こすと、安定な$^{206}_{82}\text{Pb}$となる。空欄( ア )、( イ )に当てはまるものが順に並んでいるものはどれか。$\fbox{6}$
- (1) 5、8
- (2) 6、8
- (3) 8、5
- (4) 8、6
- (5) 16、22
- (6) 16、54
- アニソールは、分子式$\text{C}_7\text{H}_8\text{O}$、示性式$\text{C}_6\text{H}_5\text{OCH}_3$で表される芳香族化合物である。同じ分子式で表される異性体のうち、ベンゼン環をもつものは、アニソールを除いて全部でいくつあるか。$\fbox{7}$
- (1) 1
- (2) 2
- (3) 3
- (4) 4
- (5) 5
- (6) 6
- (7) 7
- (8) 8
- (9) 9
- (10) 10
- ニトロベンゼンにスズと濃塩酸を加えて還元すると、反応液中に( ア )が生成し、これに水酸化ナトリウム水溶液を加えると( イ )が遊離する。空欄( ア )、( イ )に当てはまる化合物の構造式が順に並んでいるものはどれか。$\fbox{8}$