北里大学生物2012年第2問
眼の形成と眼のタンパク質に関する以下の問に答えなさい。
- イモリの眼の形成についての次の文を読み、以下の問に答えなさい。
初期原腸胚の$\fbox{17}$は陥入の進行につれて胚内部に潜り込み、$\fbox{18}$に働きかけて、$\fbox{18}$から神経管を形成させる。発生の進行に伴い、神経管はさらに$\fbox{19}$と$\fbox{20}$に分化する。次いで、$\fbox{19}$の左右の一部がふくらみ、一対の$\fbox{21}$が形成される。その後、$\fbox{21}$は表皮に面した部分がくぼんだ$\fbox{22}$へと変化する。$\fbox{22}$はこれに接する表皮に働きかけ、表皮から水晶体を形成させ、水晶体は表皮に働きかけて表皮から$\fbox{23}$を形成させる。発生過程では、胚のある領域がそれと接する領域に働きかけて、細胞を分化させる現象が連鎖的に起こり、複雑な眼の構造が形成される。
- (1) 文中の$\fbox{17}$~$\fbox{23}$のそれぞれに最も適切な語を答えなさい。
- (a) 外胚葉
- (b) 角膜
- (c) ガラス体
- (d) 限杯
- (e) 限胞
- (f) 強膜
- (g) 結膜
- (h) 原口背唇部
- (i) 脊索
- (j) 脊髄
- (k) 内胚葉
- (l) 脳
- (2) 下線部の現象を何と呼ぶか、最も適切な語を答えなさい。$\fbox{24}$
- (a) 鍵刺激
- (b) 形質転換
- (c) 原腸形成
- (d) 交換移植
- (e) 再生
- (f) 接合
- (g) 胚葉形成
- (h) 変態
- (i) 誘導
- (j) 連鎖
- (3) 下線部の働きかけをする領域は何と呼ばれるか、最も適切な語を答えなさい。$\fbox{25}$
- (a) 原基
- (b) 形成体
- (c) 作動体
- (d) 動原体
- (e) 誘導体
- (f) 予定神経域
- (g) 予定表皮域
- (1) 文中の$\fbox{17}$~$\fbox{23}$のそれぞれに最も適切な語を答えなさい。
- 水晶体を構成するタンパク質についての次の文を読み、以下の問に答えなさい。
水晶体はクリスタリンと呼ばれるタンパク質から構成され、光を屈折させるレンズとしての働きをもつ。ヒトを含むほ乳動物はαA-クリスタリンとαB-クリスタリンというよく似たタンパク質をもつ。これらを作り出す遺伝子は互いに相同性が高く、祖先となった遺伝子が重複して作られたと考えられる。スパラックスはネズミと近縁のげっ歯類に属する動物で、地中で生活する。スパラックスの眼は退化しており、頭部は毛で覆われている。頭部の皮膚の下には痕跡程度の水晶体が残っているが、レンズとしての働きはない。スパラックスを含むげっ歯類の動物5種のαA-クリスタリンのアミノ酸配列を調べたところ、スパラックス以外のげっ歯類ではアミノ酸配列は完全に同一であった。一方、スパラックスではそれ以外の動物と比べて9ヵ所でアミノ酸が変化していた。
- $[~\text{I}~]$ スパラックス以外の動物には見られないαA-クリスタリンのアミノ酸の変化が、スパラックスだけに見られる現象について、以下の問に答えなさい。
- (1) この現象を説明する仮説として最も適切なものを答えなさい。$\fbox{26}$
- (a) 隔離説
- (b) 自然選択説
- (c) 自然発生説
- (d) 前成説
- (e) 分子進化の中立説
- (f) 用不用の説
- (2) $\fbox{26}$の提唱者として最も適切な人物を答えなさい。$\fbox{27}$
- (a) ウォレス(ウォーレス)
- (b) 木原均
- (c) 木村資生
- (d) シャルガフ
- (e) ダーウィン
- (f) 利根川進
- (g) ド・フリース
- (h) マーギュリス(マーグリス)
- (i) ラマルク
- (3) この現象を$\fbox{26}$に基づいて説明したαA-クリスタリンの遺伝子に関する記述の組合せとして最も適切なものを答えなさい。$\fbox{28}$
- A.スパラックスで遺伝子突然変異が起きた頻度は、他の4つの動物種より高い。
- B.スパラックスで遺伝子突然変異が起きた頻度は、他の4つの動物種と同じである。
- C.スパラックスで遺伝子突然変異が起きた頻度は、他の4つの動物種より低い。
- D.スパラックスで起きた遺伝子突然変異の結果は、生存に有利であった。
- E.スパラックスで起きた遺伝子突然変異の結果は、生存に不利であった。
- F.スパラックスで起きた遺伝子突然変異の結果は、生存に有利でも不利でもなかった。
- (a) AとD
- (b) AとE
- (c) AとF
- (d) BとD
- (e) BとE
- (f) BとF
- (g) CとD
- (h) CとE
- (i) CとF
- (1) この現象を説明する仮説として最も適切なものを答えなさい。$\fbox{26}$
- $[~\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}~]$ 集団内における遺伝子頻度の変化を$\fbox{26}$で説明するとき、この変化をもたらすしくみとして最も適切なものを答えなさい。$\fbox{29}$
- (a) 遺伝的浮動
- (b) 環境変異
- (c) 共進化
- (d) 生殖的隔離
- (e) 地理的隔離
- (f) 適者生存
- $[~\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}~]$スパラックスのαA-クリスタリンのアミノ酸に変化をもたらした遺伝子突然変異が起こった細胞として、最も適切なものを答えなさい。$\fbox{30}$
- (a) 角膜の細胞
- (b) かん体細胞
- (c) 視神経細胞
- (d) 初期原腸胚の表皮の細胞
- (e) 神経管の細胞
- (f) 水晶体の細胞
- (g) 錐体細胞
- (h) 生殖細胞
- (i) 脳の神経細胞
- $[~\text{I}\hspace{-.1em}\text{V}~]$スパラックスの進化の過程で起こった以下のA~Cの出来事を、古いものから新しいものの順に並べたものとして最も適切なものを答えなさい。$\fbox{31}$
- A.ここで調べた動物の共通の祖先からスパラックスが分岐した。
- B.祖先遺伝子の重複により、αA-クリスタリンとαB-クリスタリンの遺伝子が形成された。
- C. αA-クリスタリンにおけるアミノ酸置換が蓄積した。
- (a) A→B→C
- (b) A→C→B
- (c) B→C→A
- (d) B→A→C
- (e) C→A→B
- (f) C→B→A
- $[~\text{V}~]$進化の過程でタンパク質のアミノ酸配列が変化する速さはタンパク質ごとに、あるいは同一のタンパク質分子の中でも領域によって違いがある。さまざまな生物種において以下のタンパク質のアミノ酸配列を調べたとき、アミノ酸配列が変化する速さ(例えば100万年の間に、タンパク質のアミノ酸100個当たり何個のアミノ酸が変化するか)が最も速いものを答えなさい。$\fbox{32}$
- (a) ヒストンのなかでDNAと結合する領域
- (b) フィブリノーゲンのなかでフィブリンが形成されるときに除去される領域
- (c) トリプシンのなかで基質と結合する領域
- (d) ヘモグロビンのなかでヘムと結合する領域
- (e) インスリン受容体のなかでインスリンと結合する領域
- $[~\text{I}~]$ スパラックス以外の動物には見られないαA-クリスタリンのアミノ酸の変化が、スパラックスだけに見られる現象について、以下の問に答えなさい。