杏林大学化学2013年第1問

アルミニウムに関する以下の文章を読み、問いに答えよ。[解答欄$\fbox{ア}$~$\fbox{セ}$]

アルミニウムは日常生活の中で様々な用途に利用されている金属である、このアルミニウムの原料はボーキサイト$(\text{Al}_2\text{O}_3・n\text{H}_2\text{O})$である。単体のアルミニウムはこのボーキサイトから2つのステップを経て製造されている。第1のステップでは、ボーキサイトに含まれる様々な不純物を取り除き、純粋な酸化アルミニウムを製造する。具体的には以下の通りである。A)ボーキサイトを水化酸化ナトリウム水溶液に溶かす。この水溶液を希釈してB)白色沈殿を生成させ、この沈殿を回収する。この沈殿を加熱し、純粋な酸化アルミニウムを得る。第2のステップでは、第1ステップで得られた酸化アルミニウムを溶融塩電解(融解塩電解)し、単体のアルミニウムを得る。

アルミニウムは、塩酸、水酸化ナトリウムの水溶液に溶解するが、C)濃硝酸には溶けない。また、アルミニウムの粉末と金属の酸化物を混合して点火すると、多量の熱を発しながら、激しく反応する。これをテルミット反応という。アルミニウムの化合物、カリウムミョウバンは2種類の塩が結合している。カリウムミョウバンの水溶液に塩基を加えると、D)白色沈殿が生じる

  • 問1 アルミニウム製造の第1ステップは、ボーキサイトのどのような性質に基づいているか。下記から最も適切なものを選べ。$\fbox{ア}$
    • (1)イオン化傾向が小さい。
    • (2)遷移金属元素を含む。
    • (3)融点が高い。
    • (4)アルカリ金属元素を含む。
    • (5)両性酸化物である。
    • (6)密度が低い。
    • (7)電気伝導性が大きい。
  • 問2 酸化アルミニウム10.2gを得る為には、乾燥した白色沈殿(下線部B)が何g必要か。$\fbox{イ}.\fbox{ウ}\times10^{\fbox{エ}}$g
  • 問3 アルミニウム製造のための電気分解を、第1ステップで生じた下線部Aの水溶液を用いないのはなぜか。正しい説明をすべて選べ。$\fbox{オ}$
    • (1)$\text{H}$よりも$\text{Al}$の還元力が強いから。
    • (2)$\text{H}$よりも$\text{Al}$の還元力が弱いから。
    • (3)$\text{H}^+$よりも$\text{Al}^{3+}$の酸化力が強いから。
    • (4)$\text{H}^+$よりも$\text{Al}^{3+}$の酸化力が弱いから。
    • (5)$\text{Al}^{3+}$が錯体を形成しているから。
    • (6)$\text{Al}^{3+}$が水酸化物になっているから。
    • (7)$\text{Al}^{3+}$が酸化物になっているから。
  • 問4 アルミニウムの単体を得るため、溶融塩電解を100V、2Aの直流電源を用いて行うことを想定する。108gのアルミニウムの単体を得る為には、何時間、電気分解を行う必要があるか。$\fbox{カ}.\fbox{キ}\times10^{\fbox{ク}}$時間
  • 問5 下線部Cは以下のように説明される。空欄に適切な語を下記の解答群から選べ。

    濃硝酸や濃硫酸のような強酸では、金属表面に安定な$\fbox{ケ}$が作られ、内部が保護され溶けなくなる。この状態を$\fbox{コ}$という。

    • (1)酸化被膜
    • (2)無電解
    • (3)酸化体
    • (4)不量体
    • (5)活物質
    • (6)不揮発被膜
    • (7)不動態
    • (8)硬化層
  • 問6 酸化銅(Ⅱ)$(\text{CuO})$を用いてテルミット反応を行なう。アルミニウム1mol当たりの反応熱の大きさを求めよ。ただし、酸化アルミニウム、酸化銅の生成熱を、それぞれ、1675.7kJ/mol、157.3kJ/molとする。有効数字を3桁として解答せよ。$\fbox{サ}.\fbox{シ}\fbox{ス}\times10^2$kJ/mol
  • 問7 下線部Dの白色沈殿の性質について、正しい記述をすべて選べ。$\fbox{セ}$
    • (1)この沈殿は、弱酸の水溶液に溶ける。
    • (2)この沈殿は、強酸の水溶液に溶ける。
    • (3)この沈殿は、弱塩基の水溶液に溶ける。
    • (4)この沈殿は、強塩基の水溶液に溶ける。
    • (5)この沈殿は、どんな水溶液にも溶けない。