杏林大学化学2012年第2問
次の文章を読んで、問に答えよ。なお、必要であれば、$\sqrt{1.6}=1.3$、$\log1.6=0.20$、$\sqrt{10}=3.2$を用いよ。[解答欄$\fbox{ア}$~$\fbox{サ}$]
問 6 $\fbox{コ}$と$\fbox{サ}$に適した式をそれぞれ一つずつ選べ。
酢酸を水に溶解すると酢酸分子の一部は電離して、\eqref{aa}式のように電離平衡の状態となる。
\[\text{CH}_3\text{COOH}\leftrightarrows\text{CH}_3\text{COO}^-+\text{H}^+ \tag{1}\label{aa}\] 一般に電離平衡にある、濃度$\text{C}$〔mol/$l$〕の酢酸水溶液において、$K_a$を酢酸の電離定数、$\alpha$を酢酸の電離度とすると、 \[K_a=\dfrac{[\text{CH}_3\text{COO}^-][\text{H}^+]}{[\text{CH}_3\text{COOH}]}\tag{2}\] \[\alpha=\dfrac{[\text{CH}_3\text{COO}^-]}{[\text{CH}_3\text{COOH}]+[\text{CH}_3\text{COO}^-]}\tag{3}\] が成り立つ。この状態における酢酸イオンと水素イオンの濃度を$\text{C}$および$\alpha$を用いて表すと、いずれも$\fbox{ア}$〔mol/$l$〕となる。また、電離度$\alpha$が1に比べて非常に小さい場合、$\alpha$と[$\text{H}^+$]を$\text{C}$と$K_a$で表すと次のようになる。 \[a=\fbox{イ},[\text{H}^+]=\fbox{ウ}〔\text{mol}/l〕\]いま、25℃で$K_a=1.6\times10^{-5}$〔mol/$l$〕とするとき、$1.6\times10^{-1}$ mol/$l$ 酢酸水溶液における$\alpha$の値は$\fbox{エ}$、[$\text{H}^+$]の値は$\fbox{オ}$〔mol/$l$〕となる。また、25℃でこの$1.6\times10^{-1}$ mol/$l$ 酢酸水溶液を10倍に希釈したとき、薄める前と比較すると$K_a$は$\fbox{カ}$倍、$\alpha$は$\fbox{キ}$倍、および[$\text{H}^+$]は$\fbox{ク}$倍となる。
一方、酢酸ナトリウムは水溶液中で\eqref{ab}式のように完全に電離する。酢酸イオンの一部は\eqref{ac}式に従って加水分解し、水酸化物イオンを生じる。
\[\text{CH}_3\text{COONa}\rightarrow \text{CH}_3\text{COO}^-+\text{Na}^+ \tag{4}\label{ab}\] \[\text{CH}_3\text{COO}^-+\text{H}_2\text{O}\leftrightarrows\text{CH}_3\text{COOH}+\text{OH}^-\tag{5}\label{ac}\] \eqref{ac}式の平衡定数を加水分解定数$K_h$とすると、$K_h$は\eqref{ad}式のように表される。 \[K_h=\dfrac{[\text{CH}_3\text{COOH}][\text{OH}^-]}{[\text{CH}_3\text{COO}^-]}\tag{6}\label{ad}\] また、$K_h$を酢酸の電離定数$K_a$と水のイオン積$K_w$で表すと \[K_h=\fbox{ケ}\tag{7}\label{ae}\] となる。 \eqref{ac}式において、酢酸と水酸化物イオンは等モル生成し、また、酢酸イオンの加水分解はごくわずかであるので酢酸イオンの濃度は酢酸ナトリウム水溶液の濃度$\text{C}'$〔mol/$l$〕に等しいと仮定すると、式\eqref{ad}、式\eqref{ae}より、$[\text{OH}^-]=\fbox{コ}$と表すことができ、これより$[\text{H}^+]=\fbox{サ}$となる。- 問 1 $\fbox{ア}$に適した式を選べ。
- (1) $\text{C}+\alpha$
- (2) $\text{C}-\alpha$
- (3) $\text{C}^2\alpha^2$
- (4) $\text{C}^2\alpha$
- (5) $\text{C}\alpha^2$
- (6) $\text{C}\alpha$
- (7) $\dfrac{\alpha }{\text{C}}$
- (8) $\dfrac{\text{C}}{\alpha}$
- 間 2 $\fbox{イ}$と$\fbox{ウ}$に適した式をそれぞれ一つずつ選べ。
- (1) $\dfrac{K_a}{\text{C}}$
- (2) $\dfrac{\text{C}}{K_a}$
- (3) $\text{C}K_a$
- (4) $\sqrt{\dfrac{K_a}{\text{C}}}$
- (5) $\sqrt{\dfrac{\text{C}}{K_a}}$
- (6) $\sqrt{\text{C}K_a}$
- (7) $\text{C}\sqrt{K_a}$
- (8) $K_a\sqrt{\text{C}}$
- 問 3 $\fbox{エ}$と$\fbox{オ}$に最も適した数値をそれぞれ一つずつ選べ。
- (1) $2.6\times10^{-6}$
- (2) $6.4\times10^{-6}$
- (3) $1.0\times10^{-4}$
- (4) $6.4\times10^{-4}$
- (5) $1.6\times10^{-3}$
- (6) $1.0\times10^{-2}$
- (7) $1.0\times10^{2}$
- (8) $1.0\times10^{4}$
- 間 4 $\fbox{カ}$~$\fbox{ク}$に最も適した数値をそれそ'れ一つずつ選べ。
- (1) $\dfrac{1}{10}$
- (2) $\sqrt{\dfrac{1}{10}}$
- (3) $1$
- (4) $10$
- (5) $\sqrt{10}$
- 間 5 $\fbox{ケ}$に適する式を選べ。
- (2) $K_a-K_w$
- (3) $K_aK_w$
- (4) $\dfrac{K_w}{K_a}$
- (5) $\dfrac{K_a}{K_w}$
- (6) $\sqrt{K_a+K_w}$
- (7) $\sqrt{\dfrac{K_w}{K_a}}$
- (8) $\sqrt{\dfrac{K_a}{K_w}}$
- (9) $\sqrt{K_wK_a}$
- (1) $\dfrac{K_a\text{C}'}{K_w}$
- (2) $\dfrac{K_w\text{C}'}{K_a}$
- (3) $\sqrt{\dfrac{K_a\text{C}'}{K_w}}$
- (4) $\sqrt{\dfrac{K_w}{K_a\text{C}'}}$
- (5) $\sqrt{\dfrac{K_w\text{C}'}{K_a}}$
- (6) $\sqrt{\dfrac{ \text{C}'}{K_a K_w }}$
- (7) $\sqrt{\dfrac{K_a}{K_w\text{C}'}}$
- (8) $\sqrt{\dfrac{ K_a K_w}{\text{C}' }}$