埼玉医科大学生物2012年第2問
細胞膜をはじめとする生体膜は、$\fbox{27}$の二重層にタンパク質が埋め込まれた構造をしている。多くの場合、細胞膜においては、$\fbox{27}$とタンパク質の重量比はほぼ1:1であるが、(ア) ミトコンドリア内膜などでは、タンパク質の量が非常に多い。$\fbox{27}$二重層は、水分子に対する透過性は比較的よいが、グルコースや各種イオンなどに対する透過性はほとんどない。これらの物質を透過させるのは、膜のタンパク質のはたらきである。イオンは、$\fbox{28}$と呼ばれる膜のタンパク質が通路となる。この$\fbox{28}$には開閉できるしくみがあり、イオンの通過を制御している。
通常、イオンの濃度には細胞の内外で大きな相違がある。1価の陽イオンでは、細胞内に$\fbox{29}$が多く、細胞外に$\fbox{30}$が多い。このような相違は、細胞膜にある輸送タンパク質の一種である$\fbox{31}$によって生み出されている。$\fbox{31}$は、ATPの分解によって得られるエネルギーを用いて、これら2つのイオンを濃度勾配に逆らって逆方向に輸送している。このような輸送を$\fbox{32}$と呼ぶ。
正常な細胞では、$\fbox{29}$の$\fbox{28}$がいつも一定の割合で開いているので、$\fbox{29}$は濃度勾配に従って細胞外に出る傾向にある。陽イオンが細胞外に移動すると、細胞内にはその分の負の電荷が残ることになるので、結果として細胞内が細胞外に比べて負($-50\text{mV}$~$-90\text{mV}$)である$\fbox{33}$が生じることになる。
神経細胞や筋肉細胞が刺激されると、それまで閉じていた細胞膜の$\fbox{30}$の$\fbox{28}$が(イ) 短時間だけ開き、$\fbox{30}$が細胞内に流入する。これにより、細胞の外側と内側の電位が短時間逆転する。このように逆転した電位が発生することを$\fbox{34}$するという。神経細胞では$\fbox{34}$が末端まで伝わると$\fbox{35}$内に蓄えられている$\fbox{36}$が放出される。$\fbox{36}$は$\fbox{37}$を経て、接続する細胞の膜にある受容体タンパク質に結合する。骨格筋に接続している運動神経の末端から放出される$\fbox{36}$は$\fbox{38}$である。$\fbox{38}$が骨格筋細胞膜の受容体に結合すると、この受容体は自分の中にある$\fbox{30}$の$\fbox{28}$を開き、筋細胞が$\fbox{34}$する。この$\fbox{34}$は、筋細胞膜に沿って広がり、やがて筋細胞内の$\fbox{39}$の膜にある$\fbox{40}$の$\fbox{28}$が開いて、$\fbox{41}$の引き金を引く。
ホルモンも受容体タンパク質に結合して細胞内に情報を伝え、酵素などの働きを制御する。水溶性で細胞内に入れないホルモンは、細胞膜に存在する受容体タンパク質に結合するが、脂溶性で細胞膜を通過できるホルモンは、細胞内に存在する受容体タンパク質に結合する。前者の例として、$\fbox{42}$から分泌される$\fbox{43}$がある。このホルモンは、腎臓に作用して、$\underline{(ウ) 原尿からの\fbox{44}の再吸収}$を促進させる。また後者の例として、$\fbox{45}$から分泌される$\fbox{46}$が挙げられる。このホルモンは、やはり腎臓に作用して、$\fbox{30}$の再吸収を促進する。
- 問1 文章中の$\fbox{27}$~$\fbox{46}$に入る語として最も適切なものを、語群2の(1)~(38)のうちから1つずつ選べ。同じ解答番号には同じ語が入るものとする。2桁の番号をマークする場合には、十の位と一の位の数字を同じ解答番号にマークせよ(例えば(10)は(1)と(0)をマークする)。ただし、(11)、(21)、(22)、(31)、(32)、(33)はない。
語群2- (1) Ca2+
- (2) H2O
- (3) K+
- (4) Na+
- (5) アセチルコリン
- (6) インスリン
- (7) 活動電位
- (8) 筋収縮
- (9) 鉱質コルチコイド
- (10) 甲状腺
- (12) 興 奮
- (13) シナプス間隙
- (14) シナプス小胞
- (15) 脂 肪
- (16) 受動輸送
- (17) 小胞体
- (18) 神経伝達物質
- (19) すい臓
- (20) 静止電位
- (23) チロキシン
- (24) チャネル
- (25) 伝 導
- (26) 糖質コルチコイド
- (27) ナトリウムポンプ
- (28) 脳下垂体後葉
- (29) 脳下垂体前葉
- (30) 能動輸送
- (34) ノルアドレナリン
- (35) バソプレシン
- (36) 副腎皮質
- (37) 副腎髄質
- (38) リン脂質
- 問2 下線部アのミトコンドリア内膜に存在するタンパク質の多くは酵素である。これらの酵素が関与している反応系として最も適切なものを、次の(1)~(5)のうちから1つ選べ。$\fbox{47}$
- (1) 解 糖
- (2) カルビン-ベンソン回路
- (3) 光化学系
- (4) クエン酸回路
- (5) 電子伝達系
- 問3 下線部イの時間は何秒か。最も近い数値を、次の(1)~(5)のうちから1つ選べ。$\fbox{48}$秒
- (1) 0.001
- (2) 0.01
- (3) 0.1
- (4) 1
- (5) 10
- 問4 下線部ウの再吸収の結果、排出される尿の量は原尿の量に対して何%になるか。最も近い数値を、次の
(1)~(5)のうちから1つ選べ。$\fbox{49}$
- (1) 0.1
- (2) 1
- (3) 10
- (4) 20
- (5) 50
- 問5 $\fbox{43}$のホルモンが主として作用する部位として最も適切なものを、次の(1)~(5)のうちから1つ選べ。$\fbox{50}$
- (1) 糸球体
- (2) ボーマンのう
- (3) 細尿管(腎細管)
- (4) 毛細血管
- (5) 集合管
- 問6 $\fbox{43}$のホルモンが正常に分泌されなくなった時に生じる現象として適切なものを、次の(1)~(5)のうちから2つ選べ。該当する番号をすべてマークせよ。$\fbox{51}$
- (1) 尿量が増加する。
- (2) 血糖量が上昇する。
- (3) 血液の浸透圧が上昇する。
- (4) 血液中のカルシウム量が上昇する。
- (5) 甲状腺剌激ホルモンの分泌が増加する。