帝京大学生物2013年第3問
次の文を読み、以下の問いに答えなさい。
特定のDNAを取り出して、別のDNAにつなぐことによって、新たなDNAの組み合わせをつくることを( ア )という。たとえば、DNAのベクター(運び手)として、バイオテクノロジーでは( イ )がよく使われる。( イ )は、細菌などの細胞内で、細胞自体のDNAとは独立に増殖する比較的短い( ウ )状の2本鎖DNAである。
( イ )に対して( ア )操作を行う際は、まず、適切な同じ制限酵素を用いて、新たにつなごうとするDNAと( イ )とをおのおの切断する。
DNAを切断するためによく使われる3種類の制限酵素(HaeIII、EcoRI、およびNotI)とその認識する塩基配列を表に示した。制限酵素は通常4から8塩基の特定の配列を認識して、その部位でDNAの2本鎖を切断する。
同じ制限酵素によって切断されたDNA断片どうしは( エ )という酵素を使うことによって完全につなぎ合わせることができる。ここで、目的のDNAをつないだ( イ )を大腸菌などに入れると、細胞内で増殖する( イ )にあわせて、目的のDNAのコピーも増やすことができる。
- 問1 文中の空欄( ア )~( エ )に入る適切な語を下から選び、番号で答えなさい。
- 1.DNAポリメラーゼ
- 2.DNA分解酵素
- 3.DNAトポイソメラーゼ
- 4.プラスミド
- 5.DNAリガーゼ
- 6.デオキシリボース
- 7.リボース
- 8.直線
- 9.環
- 10.断片
- 11.インターフェロン
- 12.タンパク質
- 13.クローニング
- 14.クロマトグラフイー
- 15.トランスジェニック動物
- 16.プロトプラスト
- 17.細胞融合
- 18.遺伝子組換え
- 19`遺伝子増幅
- 20.シークエンシング
- 21.RNA
- 問2.下線部に関して、DNAの切断に用いた制限酵素によってはDNAをつなぎ合わせる効率に違いが生じることが知られている。その理由として正しいものを1つ選び、番号で答えなさい。
- 1.HaeIIIは、認識する塩基配列が短いため、EcoRIやにNO比べてDNA間の結合が形成されにくい。
- 2.EcoRIとNotIは、切断された部分に形成された1本鎖DNAが不安定となるためDNA間の結合が形成されにくい。
- 3.HaeIIIとNotIは、ともに切断後に認識配列の中に2文字分の2本鎖が保たれているため、EcoRIよりもDNA間の結合を形成しやすい。
- 4.HaeIIIによって切断されたDNAの末端では、塩基配列の相補性を利用したつなぎ合わせができないため、EcoRIやNotIに比べてDNA間の結合が形成されにくい。
- 問3 HaeIIIとNotIが認識する配列の理論上の出現頻度をおのおの答えなさい。ただし、頻度は1を分子とした分数として表し、解答欄にはその分母を整数で記入すること。
- 問4.ある生物のゲノムサイズは、450万塩基対である。この生物のゲノムをHaeIIIまたはNotIで切断した場合、おのおの理論上何か所で切断されるか答えなさい。ただし、答えが小数点を含む場合は少数第一位を四捨五入し、整数で答えること。