帝京大学化学2013年第1問

以下の各問いに答えなさい。
  • 問1 酸、塩基、およびそれらの反応に関する次の記述の中から誤りを含むものをすべて選び、a~fの記号で答えなさい。ただし、該当するものがない場合は解答欄に×を記入しなさい。
    • a)0.1mol/L硫酸の電離度は、0.1mol/L塩酸の電離度の2倍である。
    • b)水溶液中では、$\text{H}^+$は水分子と結合して$\text{H}_3\text{O}^+$として存在する。
    • c)酸性水溶液中では、$\text{Zn(OH)}_2$は塩基として作用して$\text{H}^+$を受け取る。
    • d)中和滴定に用いられる指示薬は、$\text{H}^+$や$\text{OH}^-$と反応して鋭敏に色調を変える。
    • e)弱塩基を強酸で滴定するときには、フェノールフタレインを指示薬として用いることができる。
    • f)0.1mol/Lの硫酸30mLに、0.1mol/Lの水酸化バリウム水溶液を加えていくと、30mL加えたところで水溶液中のイオンの濃度の総和は最小になる。
  • 問2 次の記述の中から、フェノールとサリチル酸のどちらか一方のみにあてはまるものをすべて選び、a~eの記号で答えなさい。ただし、該当するものがない場合は解答欄に×を記入しなさい、
    • a)20℃で固体である。
    • b)水酸化ナトリウム水溶液に溶ける。
    • c)塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると呈色する。
    • d)無水酢酸と反応させるとエステルが生成する。
    • e)炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると、気体が発生する。
  • 問3 固体の水酸化ナトリウムが水に溶解するときの変化、および、固体の水酸化ナトリウムが希塩酸と反応するときの変化は、それぞれ次の熱化学方程式(1)、(2)で表すことができる。これらの式を用いて中和に関する熱化学方程式を(3)で表すとき、$Q$として最も適切なものを選び、a~fの記号で答えなさい。 \[\text{NaOH}(固)+\text{aq}=\text{NaOH(aq)}+45\text{kJ}\tag{1}\] \[\text{NaOH}(固)+\text{HCl(aq)}=\text{NaCl(aq)}+\text{H}_2\text{O}(液)+101\text{kJ}\tag{2}\] \[\text{H}^+(\text{aq})+\text{OH}^-(\text{aq})=\text{H}_2\text{O}(液)+Q\text{kJ}\tag{3}\]
    • a)-146
    • b)-56
    • C)-45
    • d)45
    • e)56
    • f)146
  • 問4 炭酸水素ナトリウム2.1gを加熱して、すべて炭酸ナトリウムに変化させたこのとき発生する二酸化炭素と過不足なく反応する0.050mol/Lの水酸化バリウム水溶液の体積は何mLか、最も適切なものを選び、a~fの記号で答えなさい。ただし、$\text{H}=1.01$、$\text{C}=12.0$、$\text{O}=16.0$、$\text{Na}=23.0$とする。
    • a)25
    • b)50
    • c)100
    • d)250
    • e)500
    • f)1000
  • 問5 次の記述の中から正しいものをすべて選び、a~hの記号で答えなさいただし、該当するものがない場合は解答欄に×を記入しなさい。
    • a)同素体は単体だけにあって、化合物には存在しない。
    • b)同素体は同じ元素からできている物質なので、融点や沸点は等しい。
    • c)酸素とオゾンは同素体なので、両者を混ぜ合わせても純物質である。
    • d)同素体は、ある温度を境にして、一方から他方へと移り変わることがある。
    • e)同素体は固体の状態で存在し、液体や気体の状態では存在しない。
    • f)水と過酸化水素はいずれも同じ元素からできており、互いに同素体である。
    • g)黄リンと赤リンは同素体で、物理的性質はかなり異なるが、化学的性質はほぼ同じである。
    • h)ダイヤモンドと黒鉛は炭素の同素体であり、完全燃焼させるといずれも二酸化炭素になる
  • 問6 次の記述の中から正しいものをすべて選び、a~fの記号で答えなさい。ただし該当するものがない場合は解答欄に×を記入しなさい。
    • a)反応温度が高くなると、平衡定数の値は大きくなる。
    • b)平衡定数は、反応における触媒の有無とは関係しない。
    • c)平衡状態にあるときは、正反応、逆反応とも反応の速さは0である。
    • d)反応物の初濃度を2倍にして反応させると、平衡定数の値は2倍になる。
    • e)平衡定数が大きいことは、反応の活性化エネルギーが大きいことを表している。
    • f)平衡状態にあるとき、温度を高くすると、正反応、逆反応とも反応の速さは速くなる。
  • 問7 気体、液体、固体で比較したとき、次の記述の中から正しいものをすべて選びa~hの記号で答えなさい。ただし、該当するものがない場合は解答欄に×を記入しなさい。
    • a)気体は、分子のもつエネルギーが最も大きく、自由に運動をしている。
    • b)気体は、分子間の平均距離は大きいが、分子のもつエネルギーは小さい。
    • c)液体は、分子がゆるやかに結合しており、その配列は不規則である。
    • d)液体は、分子間の平均距離が小さく、分子が規則正しく配列している。
    • e)固体は、分子間の平均距離が小さく、分子間の相互作用が最も強い。
    • f)固体は、分子のもつエネルギーが小さく、分子は一定の位置で静止している。
    • g)密度は、どの物質でも、固体、液体、気体の順に小さくなっていく。
    • h)温度が一定ならば、圧力を変化させただけでは、状態変化を起こすことはできない。
  • 問8 次の記述の中から、デンプンとセルロースの両方に該当するものをすべて選び、a~iの記号で答えなさい。ただし、該当するものがない場合は解答欄に×を記入しなさい。
    • a)フェーリング液を還元しない。
    • b)分子式は$(\text{C}_6\text{H}_{10}\text{O}_5)_n$で表される。
    • c)植物の細胞壁や木材パルプの主成分である。
    • d)β-グルコースを構成単位とする多糖類である。
    • e)アミラーゼにより加水分解されて、マルトースになる。
    • f)希硫酸で完全に加水分解すると、グルコースのみを生じる。
    • g)ヨウ素溶液を加えると青色に呈色する。
    • h)冷水には溶けないが、温水に溶けて糊状のコロイド溶液をつくる。
    • i)濃硝酸と濃硫酸の混合物と反応させたものは、火薬の原料として用いられる。