東京女子医科大学生物2013年第2問
生態系を構成している生物群集の中で、炭酸同化を行なう生物は$\fbox{1}$とよばれる。陸上における$\fbox{1}$のほとんどは、炭酸同化のうちの$\fbox{2}$を行なう緑色植物などである。
大洋の水深1000メートルを越える海底には、硫化水素やメタンなどを溶かし込んだ熱水や冷水が噴出している噴出孔があり、その付近には炭酸同化を行なう硫黄(いおう)細菌が生息していることがよくある。硫黄細菌は、硫化水素を酸化して硫黄に変える際に得られるエネルギーを使用して、生体内のエネルギー担体物質である$\fbox{3}$と還元力(X・2[H])を生産し、この2つを用いて、外部から取り込んだ二酸化炭素を有機物に変える。反応経路として、緑色植物がもっているものと同様の$\fbox{4}$回路が使われるが、硫黄細菌による炭酸同化は、$\fbox{2}$でなく、$\fbox{5}$である。
海底の熱水あるいは冷水噴出孔の付近に住むハオリムシ(チューブワーム)やシロウリガイは、体内に硫黄細菌を生息させて、硫黄細菌が生産した有機物をエネルギー源として受け取るという利益を得ている。ハオリムシやシロウリガイと、硫黄細菌との関係は、硫黄細菌がハオリムシやシロウリガイから何らかの利益を得ていれば$\fbox{6}$、何も利益を得ていなければ$\fbox{7}$である。噴出孔の付近では、ハオリムシやシロウリガイを捕食するエビやカニなども見つかっている。熱水や冷水の噴出孔付近の生態系では、硫黄細菌は$\fbox{1}$、ハオリムシやシロウリガイ、およびエビやカニは$\fbox{8}$である。
ある種のシロウリガイの鰓(えら)の細胞内に生息する硫黄細菌は、遺伝子の総数が他の細菌に比べ著しく少なく、通常の細菌の生存に必要ないくつかのタンパク質の遺伝子を欠いていることがわかった。この硫黄細菌はシロウリガイの細胞の外で独立して生活することが難しくなっているようだ。真核細胞の細胞小器官には、太古の昔に真核細胞の祖先細胞に取り込まれて生活し続けた原核生物に由来すると考えられているものがある。シロウリガイの細胞内で生活する硫黄細菌は、細胞内で生活を始めた原核生物がしだいに細胞小器官へと変わっていく過程の早い段階の様相を示しているのかもしれない。
- 問1.文中の空所1~8を適切な語で埋めよ。
- 問2.文中の硫黄細菌における炭酸同化では、酸素が発生すると考えられるか。解答欄の《 発生すると考えられる 発生すると考えられない 》のどちらかに○をつけよ。
- 問3.文中下線部の真核細胞の細胞小器官を2つ挙げよ。