愛知医科大学生物2013年第2問

光合成について【A】~【C】の各問に答えよ。

【A】植物は空気中の二酸化炭素を使って有機物を合成する。これは炭酸同化と呼ばれ、細胞の中にある葉緑体で行われる。葉緑体は外膜と内膜の2枚の膜で包まれている。また、内部には袋状の構造物があり、そのあいだは基質部分で満たされている。葉緑体では光のエネルギーを利用して空気中の二酸化炭素を固定する反応が進行する。この一連の反応は、(1)光エネルギーを吸収し、クロロフィルを活性化する反応、(2)水が分解されて$\text{H}^+$が生じる反応、(3)光リン酸化と呼ばれる反応、(4) $\text{CO}_2$を固定する反応、から成り立っている。

  • 問1. (1)の反応について、下記の(ア)~(エ)に適切な語句を記入せよ。
    光エネルギーを吸収する反応には(ア)と(イ)と呼ばれる異なる2つの反応過程が存在する。それぞれの反応でクロロフィルが活性化されて、電子が放出される。 (ア)で放出された電子は(ウ)を通り(イ)に渡される。(イ)では最終的に電子が補酵素Xに渡されて(エ)が生成される。
  • 問2. (2)の反応について、ルーベンが行った実験で使われたものは何か。次の(ア)~(エ)から2つ選び、記号で記せ。
    • (ア) 水素の同位体を含む水
    • (イ) 酸素の同位体を含む水
    • (ウ) 炭素の同位体を含む二酸化炭素
    • (エ) 酸素の同位体を含む二酸化炭素
  • 問3. (3)の反応で生成されるものを1つ記せ。
  • 問4. (4)の反応に影響をおよぼす環境要因を2つ記せ。

【B】光合成の反応過程を調べるために、$^{14}\text{C}$で標識した$\text{CO}_2$を含む空気中に植物を置き、一定時間ごとに植物から有機物を抽出し、$^{14}\text{C}$で標識された$\text{C}_3$化合物と$\text{C}_5$化合物の量の変化を調べたところ、下図のような結果が得られた。ただし、図の条件(1)は1%の$\text{CO}_2$を含む空気中で光を照射している。

  • 問1. 図の条件(2)~(5)に当てはまるものを下の(ア)~(エ)から選び記号で記せ。なお、図中の実線は$\text{C}_3$化合物を、破線は$\text{C}_5$化合物を表している。
    • (ア) 1% $\text{CO}_2$、光照射
    • (イ) 1% $\text{CO}_2$、暗黒
    • (ウ) 0.003% $\text{CO}_2$、光照射
    • (エ) 0.003% $\text{CO}_2$、暗黒
  • aitiika-2013-biology-2-1
  • 問2. 図の条件(4)の時に$\text{C}_5$化合物が增加し、$\text{C}_3$化合物が減少する理由を簡潔に記せ。
  • 問3. $\text{C}_3$化合物ができる葉緑体の部位の名称を記せ。
  • 問4. 二酸化炭素が有機物に取り込まれる反応を、$\text{CO}_2$、$\text{C}_3$化合物、$\text{C}_5$化合物を使って次のように表した。(ア)~(エ)に入る数字を記せ。 \[6\text{CO}_2+(\text{ア})\text{C}_{(\text{イ})}\rightarrow(\text{ウ})\text{C}_{(\text{エ})}\]

【C】クロレラの光合成量を求めるために次の実験を行った。クロレラの懸濁液をよく混ぜ、1L(リットル)ずつA、B、Cの3個の培養ビンに入れ密閉した。培装ビンAは実験開始時に懸濁液中の酸素量を測定した。培養ビンBは5時間明所に置いた後に、懸濁液中の酸素量を測定した。培養ビンCは5時間明所に置き、さらに19時間暗所に置いた後に、懸濁液中の酸素量を測定した。その実験結果を表に示す。

培養ビン
A
B
C
測定時問
実験開始時
5時間暗所に置いた後
5時間明所に置き、さらに
19時間暗所に置いた後
酸素量
7.6mg
11.9mg
9.4mg
  • 問1. 使用したクロレラの真の光合成量を、1L、1時間あたりの酸素量(mg)で表せ。答えは小数点以下第3位を四捨五入せよ。
  • 問2. 培養ビンAと培養ビンCのクロレラ(各1 L)の乾燥重量の差はどれくらいと予想されるか。ただし、光合成の産物と呼吸の基質はすべてグルコースであると仮定する。$\text{C}=12$、$\text{H}=1$、$\text{O}=16$として、答えは小数点以下第3位を四捨五入せよ。