愛知医科大学化学2013年第3問

次の文章を読み、問1~問6に答えよ。

分子中にカルポキシ基をもつ化合物をカルボン酸という。分子中に含まれるカルボキシ基の数が1個のものをモノカルボン酸、2個のものをジカルボン酸と呼ぶ。また、カルボン酸のなかには、二重結合をもつ不飽和カルボン酸や、ヒドロキシ基をもつヒドロキシ酸もある。脂肪族炭化水素基にカルボキシ基1個が結合した構造のカルボン酸は、脂肪酸と呼ばれる。炭素原子の数の多い脂肪酸を高級脂肪酸という。

油脂は、三価アルコールであるグリセリンと高級脂肪酸が( 1 )したエステルである。高級脂肪酸の炭素数が多いものほど油脂の融点は( 2 )くなり、炭素数が同じ場合に二重結合の数が多いものほど融点は( 3 )くなる。油脂は、常温で固体の( 4 )と、常温で液体の( 5 )に大別される。( 4 )には、構成成分としてパルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸が多く含まれ、( 5 )にはオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれている。( 5 )にニッケルを触媒として水素を付加させると固体になる。このようにして得られた固体の油脂を( 6 )という。

いま、〔表〕に示す脂肪酸を含む油脂Aがある。この油脂Aを用いて以下の実験を行った。

〔表〕
油脂を構成する脂肪酸
(a)
$\text{C}_{17}\text{H}_{35}\text{COOH}$
(b)
$\text{C}_{17}\text{H}_{33}\text{COOH}$
(c)
$\text{C}_{17}\text{H}_{31}\text{COOH}$
(d)
$\text{C}_{17}\text{H}_{29}\text{COOH}$

〔実験1〕1molの油脂Aにニッケルを触媒として水素を作用させたところ、標準状態で89.6Lの水素が付加した。

〔実験2〕1molの油脂Aに水酸化ナトリウム水溶液とエタノールを加えて加熱した後、この反応溶液に塩酸を加えて酸性にしたところ、2molの脂肪酸Bと1molの脂肪酸Cが得られた。

〔実験3〕脂肪酸Bの成分元素の質量百分率は、炭素が77.2%、水素が11.4%であった。

〔実験4〕7.1mgの脂肪酸Cを完全燃焼させたところ、二酸化炭素19.8mgと水8.1mgが得られた。

  • 問1.( 1 )~( 6 )に当てはまる適当な語句を記せ。
  • 問2.カルボン酸に関する次の(ア)~(カ)の記述のうちから正しいものをすべて選び、記号で答えよ。
    • (ア)酢酸ナトリウムに強酸を反応させると、二酸化炭素が遊離する。
    • (イ)乳酸のヒドロキシ基をアミノ基に置き換えた化合物は、不斉炭素原子をもつ。
    • (ウ)アジピン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個持つジカルボン酸で、ナイロン66の原料となる。
    • (エ)安息香酸は、キシレンを酸化することによって得られる。
    • (オ)テレフタル酸を熱すると、分子内のカルボキシ基2個から水分子が容易に取れて、無水フタル酸が生じる。
    • (カ)サリチル酸は、分子中にヒドロキシ基とカルボキシ基の2つの官能基をもつヒドロキシ酸で、塩化鉄(Ⅲ)水溶液と反応して呈色する。
  • 問3.〔実験1〕の結果のみから考えられる油脂Aの構造は何種類あるか。ただし、光学異性体も含める。なお、不飽和脂肪酸の幾何異性体については考慮しなくてもよい。
  • 問4.脂肪酸B、脂肪酸Cは何か。〔表〕中の(a)~(d)から選び、それぞれ記号で記せ。
  • 問5.〔実験1〕~〔実験4〕の結果から考えられる油脂Aのすべての構造を、(例)にならって記せ。なお、不斉炭素原子を含む場合は、不斉炭素原子に*を付すこと。
    aitiika-2013-chemistry-3-1
  • 問6.〔表〕中の脂肪酸(a)のみからなる油脂186gを完全にけん化するのに必要な水酸化ナトリウムは何gか。有効数字3桁で答えよ。