愛知医科大学化学2012年第4問

次の文章を読み、(1)~(6)に答えよ。
α-アミノ酸(以下、アミノ酸)は、図1に示す一般式で表され、側鎖(-R) の違いによってそれぞれ固有の名称がつけられている。
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A、B、C、D、EおよびFの6種類のアミノ酸があり、それらは表に示したアミノ酸のうちのいずれかである。これらの6種類のアミノ酸について以下の[i]~[vii]のことがわかっている。
  • [i] 分子内の不斉炭素原子の数は、アミノ酸Aが0個、アミノ酸Fが2個、他の4種類のアミノ酸は1個である。
  • [ii] 6種類のアミノ酸の混合物について、中性付近のpHの緩衝溶液に浸したろ紙上で電気泳動を行ったところ、アミノ酸Bは陽極に、アミノ酸Cは陰極に移動した。一方、他の4種類のアミノ酸はほとんど移動しなかった。これは、緩衡溶液のpHが、4種類のアミノ酸(  a  )付近にあるため、各アミノ酸は主として(  b  )イオンの形で存在していることによる。
  • [iii] アミノ酸B 21.0 mgをメタノールに溶かし、少量の濃硫酸を加えて加熱したところ、エステル化された化合物が25.0 mg得られた。
  • [iv] アミノ酸C 1.00 g中の窒素をすべてアンモニアに変化させたところ、標準状態で515 mLであった。
  • [v] アミノ酸Dのアミノ基をヒドロキシ基に置き換えた化合物は、乳酸である。
  • [vi] アミノ酸Eに濃硝酸を加えて加熱すると黄色になり、さらに、アンモニア水を加えて塩基性にすると、橙黄色になる。また、アミノ酸Eは側鎖の中にヒドロキシ基をもつ。
  • [vii] アミノ酸Fは、炭化水素基のみを側鎖にもつ。
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  • (1) (  a  )と(  b  )に当てはまる適当な語句を記せ。
  • (2) アミノ酸A~Fは何か。表中から選び、名称で記せ。
  • (3) 塩酸でpHを1.0に調整したアミノ酸Aの水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液を滴下したときのpHの変化を図2に示す。pH1、pH6、pH12のそれぞれにおいて、アミノ酸Aは主としてどのような形で存在しているか。図1に示すα-アミノ酸の一般式を参考にして、それぞれ記せ。
  • (4) 2分子のアミノ酸Aと1分子のアミノ酸Dからなる鎖状トリペプチドの異性体は何種類あるか。ただし、光学異性体も含める。
  • (5) アミノ酸Aとアミノ酸Dから構成される直鎖状のポリペプチドXがある。ポリぺプチドXは、その分子量が8343であり、アミノ酸Aとアミノ酸Dの物質量の比が2:1である。1分子のポリペプチドXに含まれるアミノ酸Aとアミノ酸Dの個数を求めよ。
  • (6) アミノ酸Aと無水酢酸を反応させると、化台物Yと酢酸が生成する。化合物Yの構造式を記せ。
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