愛知医科大学化学2012年第3問

次の文章を読み、(1)~(5)に答えよ。
化合物Aは、炭素、水素、酸素からなる有機化合物であり、元素分析値は質量百分率で炭素80.67%、水素5.88%、分子量は238である。化合物Aについて、次のような実験結果を得た。
化合物Aを水酸化ナトリウム水溶液中で加熱して加水分解を行った。 反応混合物が十分に冷えてから、ガラス器具Xに移し、ジエチルエーテルを加えてよく振り混ぜたのち放置したところ、(i)層と(ii)層に分離した。(i)層からは化合物Bが得られた。化合物Bは分子式$\text{C}_7\text{H}_8\text{O}$で表される芳香族化合物であり、金属ナトリウムと反応して水素を発生したが、塩化鉄(III)水溶液とは呈色反応を示さなかった。一方、(ii)層に希塩酸を加えて溶液を酸性にしたところ、芳香族化合物である化合物Cが析出した。化合物Cを炭酸水素ナトリウム水溶液に加えると、気泡を発生しながら溶解した。また、化合物Cのクロロホルム溶液に臭素溶液を加えると、分子内に不斉炭素原子を2個持つ無色の化合物Dが生じ、溶液の色は消失した。
  • (1) 化合物Aの分子式を記せ。
  • (2) ガラス器具Xとして最も適当なものは何か。名称を記せ。
  • (3) (i)および(ii)に当てはまる用語、並びにガラス器具X内における各層の位置開係として最も適当な組み合わせを、下の解答群(ア)~(エ)のうちから選び、記号で記せ。

    (i)(ii)ガラス器具X内における各層の位置関係
    (ア)エーテルエーテル層は上層、水層は下層
    (イ)エーテルエーテル層は下層、水層は上層
    (ウ)エーテルエーテル層は上層、水層は下層
    (エ)エーテルエーテル層は下層、水層は上層
  • (4) 分子式$\text{C}_7\text{H}_8\text{O}$で表される芳香族化合物にはいくつかの異性体が存在する。そのうち次の(a)および(b)に当てはまるものはそれぞれ何種類考えられるか。数字で答えよ。
    • (a) 塩化鉄(III)水溶液によって呈色反応を示すもの。
    • (b) 金属ナトリウムと反応して水素を発生するもの。
  • (5) 化合物A、化合物B、化合物C、化合物Dの構造式を記入例にならって記せ。ただし、立体異性体の区別をしなくてよい。
aitiika-2012-chemistry-3-1