獨協医科大学生物2012年第2問
ヒトのホルモンに関する次の文(A・B)を読み、下の問1~6に答えなさい。〔解答番号$\fbox{1}$~$\fbox{9}$〕
A 体の特定の部分でつくられて血液(体液)中に分泌され、体の他の部分へ運ばれて、特定の組織や器官の活動に影響を与える化学物質をホルモンという。
- 問1 ホルモンに関連する記述として誤っているものはどれか。次の(1)~(7)のうちから二つ選びなさい。ただし、解答の順序は問わない。$\fbox{1}$$\fbox{2}$
- (1) ホルモンはすべて内分泌腺でつくられている。
- (2) ホルモンはごく微量で多大な生理調節作用を示す調節物質である。
- (3) ホルモンが標的細胞に作用するのは、標的細胞が特定のホルモンと結合する受容体(レセプタ一)を細胞膜表面にのみもつからである。
- (4) ホルモンの作用は神経の作用と比べれば遅効的だが、神経の作用よりも持続的である。
- (5) 脊椎動物の間では、ホルモンの作用に種特異性がないので、イヌのインスリンをヒトに注射しても効果が得られる。
- (6) 内分泌腺は発生の過程で腺上皮が陥入して生じたもので、排出管(導管)をもたない。
- (7) 外分泌腺も発生の過程で腺上皮が陥入して生じたものだが、ここでつくられる消化液や汗などは排出管を通って分泌される。
- 問2 ホルモンの作用に関する次のA~C群に示されたa~dの記述のうちで誤っているものはどれか。それぞれ下ののうちから一つずつ選びなさい。
- A群 $\fbox{3}$
- a アドレナリンは副腎皮質から分泌されるホルモンである。
- b アドレナリンは交感神経の働きによって分泌が促進される。
- c アドレナリンはグリコーゲンの分解を促進し、血糖量を増大させる。
- d アドレナリンは心臓の拍動を速くさせる。
- B群 $\fbox{4}$
- a バソプレシンは脳下垂体後葉で産生され血液中へ分泌される。
- b バソプレシンは血管を収縮させて血圧を上昇させる。
- c バソプレシンは腎臓に働いて水の再吸収を促進する。
- d 血圧が上昇するとバソプレシンの分泌量が増大する。
- C群 $\fbox{5}$
- a インスリンの分泌には必ずしも副交感神経からの指令を必要としない。
- b すい臓ランゲルハンス島のA$(\alpha)$細胞からはグルカゴンが、B$(\beta)$細胞からはインスリンが分泌される。
- c インスリンは組織での糖消費を促進する。
- d 食事をとると血糖量が増大して、グルカゴンの分泌量が減少する。
- (1) 誤っているものはない。
- (2) 誤っているのはaだけである。
- (3) 誤っているのはbだけである。
- (4) 誤っているのはcだけである。
- (5) 誤っているのはdだけである。
- (6) 2つ以上の誤りがある。
- A群 $\fbox{3}$
B 間脳の$\fbox{ア}$は自律神経系および内分泌系の中枢である。まず$\fbox{ア}$から分泌された甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンは$\fbox{イ}$に働きかけて、甲状腺刺激ホルモンの分泌を促進する。次に$\fbox{イ}$から分泌された甲状腺刺激ホルモンは甲状腺に働きかけて、$\fbox{ウ}$の分泌を促進する。この$\fbox{ウ}$は血液によって全身に運ばれて、代謝の促進や$\fbox{エ}$といった$\fbox{ウ}$に特有の作用を示す。
血液中の$\fbox{ウ}$濃度の変化は$\fbox{ア}$や$\fbox{イ}$で感知され、血液中の濃度が上昇してくると、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの分泌が抑制される。逆に、血液中の$\fbox{ウ}$濃度が低下してくると、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンや甲状腺剌激ホルモンの分泌が促進される。その結果として、血液中の$\fbox{ウ}$濃度が常に適正な範囲内に保たれる。このように、血液中の$\fbox{ウ}$自身が$\fbox{ウ}$分泌に関わる器官や組織などに働きかけて$\fbox{ウ}$自身の分泌を調節するようなしくみを$\fbox{オ}$調節という。
- 問3 文中の$\fbox{ア}$と$\fbox{イ}$にあてはまる語句の組み合わせとして最も適当なものはどれか。次の(1)~(4)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{6}$
ア イ (1) 視床下部 脳下垂体前葉 (2) 視床下部 脳下垂体中葉 (3) 脳下垂体前葉 視床下部 (4) 脳下垂体前葉 視床下部
- 問4 文中の$\fbox{ウ}$にあてはまる語句と$\fbox{エ}$にあてはまる文の組み合わせとして最も適当なものはどれか。次の(1)~(4)のうちから一つ選びなさい。
ウ エ (1) パラトルモン 血液中の$\text{Ca}^{2+}$濃度の上昇 (2) カルシトニン 血液中の$\text{Ca}^{2+}$濃度の低下 (3) チロキシン 体温の上昇 (4) インテルメジン 体温の低下
- 問5 文中の$\fbox{オ}$にあてはまる語句として最も適当なものはどれか。次の(1)~(3)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{8}$
- (1) 内部環境
- (2) ホメオスタシス
- (3) フィードバック
- 問6 糖質コルチコイ ド分泌に関わる器官や組織の機能が低下することで、糖質コルチコイドの分泌に異常をきたす病気があり、患者Eは$\fbox{ア}$の機能が、患者Fは$\fbox{イ}$の機能が、患者Gは副腎皮質の機能がそれぞれ低下している。これらの患者3人と健常者に一定量の副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンを投与し、その後の血液中の副腎皮質刺激ホルモン濃度を測定した。図1が健常者の結果を示したものである。患者Eと患者Gの結果を示す図の組み合わせとして最も適当なものはどれか。下の(1)~(6)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{9}$
患者E 患者G (1) 図2 図3 (2) 図3 図4 (3) 図3 図2 (4) 図4 図3 (5) 図2 図4 (6) 図4 図2