獨協医科大学生物2012年第5問
刺激の受容と反応に関する次の文を読み、下の問1~4に答えなさい。〔解答番号$\fbox{1}$~$\fbox{6}$〕
外界からの刺激に対する脊椎動物の反応や行動は、受容器(感覚器)と中枢神経を介して、効果器(作動体)が活動することによって行われる。(a)光や音などの外界からの剌激は受容器で受容され、その情報は感覚神経によって中枢神経系へと伝えられる。中枢神経系では、外界からの情報を整理・統合して最適な出力を決定する。この出力は遠心性神経によって末梢の筋肉などの効果器に伝えられ、動物の反応や行動として現れる。
脊椎動物の中枢神経系は脳と脊髄に大別され、脳はさらに(b)大脳・間脳・中脳・小脳および延髄の5つに分けられる。脊髄は末梢の受容器から脳への、あるいは脳から効果器への情報伝達経路であると同時に、(c)外界からの剌激によって意志とは無関係に起こる反射の中枢でもある。そして、(d)間脳・中脳・延髄には生命の維持に直接結びつくような機能の中枢が存在する。
- 問1 下線部(a)に関して、ヒトの受容器と適刺激の組合せとして最も適当なものはどれか。次の(1)~(4)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{1}$
気体中の化学物質 液体中の化学物質 熱・強い圧力・化学物質 (1) 味覚芽 嗅上皮 温点 (2) 嗅上皮 味覚芽 温点 (3) 味覚芽 嗅上皮 痛点 (4) 嗅上皮 味覚芽 痛点
- 問2 下線部(b)に関して、脳の各部の働きや構造について誤っているものはどれか。次の(1)~(4)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{2}$
- (1) 間脳の視床は、脊髄から大脳へ入る嗅覚以外のすべての感覚神経を中継している。
- (2) 延髄は呼吸運動・心臓拍動の中枢であり、脳の右側が損傷すると左半身が不随になることとも関係が深い。
- (3) 大脳では、外側の皮質が神経細胞の細胞体の集合部である白質で、内部の髄質が軸索の集合部である灰白質である。
- (4) 中脳は姿勢保持や眼球運動と関係が深く、小脳は筋肉の運動の調節や体の平衡と関係が深い。
- 問3 下線部(c)に関連して、次の実験を行った。この実験について、下の[1]・[2]の問いに答えなさい。
- 実験 ウサギにある薬物を投与したところ、しつがいけん反射が次第に小さくなって、ついには消失するとともに、呼吸も次第に浅くなって、ついには停止した。しかし、呼吸が停止した時点においても、心臓の拍動には変化が見られなかった。
- [1] 投与した薬物が作用した部位として最も可能性が高いものはどれか。次の(1)~(5)のうちから一つ選びなさい。$\fbox{3}$
- (1) 筋紡錘
- (2) 呼吸中枢
- (3) 求心性神経
- (4) 運動神経と筋肉が接合する部分
- (5) 脊髄の反射弓をつくるシナプス部分
- [2] 次の文中の$\fbox{4}$にあてはまる文として最も可能性の高いものはどれか。下の(1)~(3)のうちから一つ選びなさい。
呼吸が停止した時点で直ちに人工呼吸器をつけて人工呼吸を開始した場合、しつがいけん反射$\fbox{4}$。- (1) は回復しないと考えられる
- (2) は回復すると考えられる
- (3) が回復するかしないかはこの実験結果からはわからない
- 問4 下線部(d)に関する記述として正しいものはどれか。次の(1)~(6)のうちから二つ選びなさい。ただし、解答の順序は問わない。$\fbox{5}\fbox{6}$
- (1) 脳下垂体からのホルモン分泌を調節し、心臓の拍動を調節するのは間脳である。
- (2) けつまずいて転びかけた瞬間に体勢を立て直す反射の中枢は中脳である。
- (3) 熱いものに触れた瞬間に手足を引っ込める反射の中枢は延髄である。
- (4) 延髄はだ液分泌の反射中枢だが、せき・くしゃみの反射中枢ではない。
- (5) 明暗(瞳孔の大きさ)を調節するのは中脳であり、体温を調節するのは延髄である。
- (6) 血糖量を調節するのは間脳だが、排尿・排便を調節するのは延髄ではない。