藤田保健衛生大学生物2012年第3問

【III】カエルツボカビ症に関する次の文を読み、以下の各問いに答えよ。なお図5は、カエルの皮膚の構造を示したものであり、文中の記号は図中のものに対応する。

カエルツボカビが感染して発症するカエルツボカビ症は、世界的なカエル減少の原因とされている。カエルツボカビは、カエルなどの(1)皮膚に含まれるタンパク質を分解して生きている生物であり、水を介して他の両生類にも感染する。これまで、カエルツボカビ症を発症したカエルが死に至るのは、皮膚が侵されることによって、体内の浸透圧調節や(2)皮膚呼吸が妨げられるためと考えられてきた。ところが最近の研究から、発症したカエルでは皮膚における電解質の輸送が阻害され、結果として心不全が引き起こされることが明らかにされた。そのようなカエルでは、( ア )の細胞での電解質輸送が50%以上も抑制され、(3)血しょう中の$\underline{\text{Na}^+}$や$\underline{\text{K}^+}$濃度が20~50%減っていることがわかった。その結果、こうした異常から(4)心拍が遅くなり、心停止も引き起こされた。また、(5)発症した力エルに電解質溶液を飲ませると、飲ませない場合より生存期間をのばすことができた。

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  • 問1 図中の( ア )~( ウ )に適する組織名を記せ。
  • 問2 下線部(1)について、このタンパク質の名称を記せ。ただし、このタンパク質は脊椎動物の爪の成分としても知られている。
  • 問3 カエルツボカビは次の分類の中でどこに属するか。各分類の中から適当なものをそれぞれ1つずつ選び、その番号を記せ。
      • 分類1:
      • (a) ウイルス
      • (b) 原核生物
      • (c) 真核生物
      • 分類2:
      • (d) 原生生物界
      • (e) 植物界
      • (f) 菌界
      • 分類3:
      • (g) 真正細菌
      • (h) 真菌
      • (i) 粘菌
  • 問4 下線部(2)について、両生類にとって皮膚呼吸は重要である。カエルではどのようにして皮膚でガス交換を行っていると考えられるか。40字程度で記せ。
  • 問5 下線部(3)について、カエルの血しょ うの$\text{Na}^+$濃度が50%減少すると、心臓の活動電位はどのように変化すると考えられるか。解答欄には、正常なカエル心臓の活動電位の波形が示されているので、それを参考にしてその上に太い実線で描け。
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  • 問6 下線部(4)について、カエルでは心拍が遅くなるとどうして心停止に至るのか。その理由を40字程度で記せ。
  • 問7 心臓の興奮を引き起こすきっかけをつくっている細胞の集まりを何とよぶか。その名称を記せ。
  • 問8 下線部(5)について、電解質はすみやかに体内に吸収される。この場合、電解質は主にどこのどのような細胞から吸収されるか。その名称を記せ。