藤田保健衛生大学化学2013年第1問
$\text{Ag}^+$を含む溶液に$\text{Cl}^-$を含む溶液を加えると$\text{AgCl}$の( ア )色の沈殿、$\text{Br}^-$を含む溶液を加えると$\text{AgBr}$の淡黄色の沈殿、$\text{I}^-$を含む溶液を加えると$\text{AgI}$の( イ )色の沈殿を生じる。$\text{AgCl}$は水に難溶性であるが、わずかに水に溶解して飽和溶液になる。溶解した$\text{AgCl}$はほぼ完全に電離しており、次の電離平衡が成り立っていると考えられる。
\[\text{AgCl}(固)\rightleftarrows\text{Ag}^++\text{Cl}^-\tag{A}\label{aa}\]化学平衡の法則を$\eqref{aa}$式に適用し、水溶液中の$\text{Ag}^+$のモル濃度$[\text{Ag}^+]$と$\text{Cl}^-$のモル濃度$[\text{Cl}^-]$の積を \[[\text{Ag}^+][\text{Cl}^-]=K_{sp}\] と表したとき、$K_{sp}$を$\text{AgCl}$の( ウ )という。この値は温度が変化しない限り一定である。したがって、$\text{Ag}^+$を含む溶液に$\text{Cl}^-$を含む溶液を加えていくとき、$\text{AgCl}$の沈殿が生じるのは$[\text{Ag}^+]$と$[\text{Cl}^-]$の積の値が$K_{sp}$の値より( エ )場合である。
a$\underline{\text{AgCl}}$の沈殿と平衡状態にある水溶液に希塩酸を加えていくと、温度変化がなければ$\eqref{aa}$式の平衡は$\fbox{1}$ため、$\text{AgCl}$の沈殿が増す。この現象を( オ )効果という。また、b$\underline{\text{AgCl}}$の沈殿と平衡状態にある水溶液にアンモニア水を加えていくと、$\eqref{aa}$式の平衡は$\fbox{2}$ため、$\text{AgCl}$の沈殿は( カ )。
- 問1 文章中の( ア )~( 力 )に入る適当な語句を記せ。
- 問2 文章中の$\fbox{1}$と$\fbox{2}$にあてはまる語句を下のa~cから選べ。
- a 左辺の向きに移動する
- b 移動しない
- c 右辺の向きに移動する
- 問3 $\text{AgCl}$の$K_{sp}$が$1.0\times10^{-10}\text{mol}^2/\text{l}^2$であるとすると、水100mlに溶ける$\text{AgCl}$は何mgか。有効数字2桁で答えよ。
- 問4 下線aの水溶液100ml中に溶けている$\text{Ag}^+$の99%を沈殿させるには、$\text{Cl}^-$を何mol加える必要があるか。有効数字2桁で答えよ。ただし、溶液の体積変化は考えないものとする。
- 問5 下線bでおこる変化をイオン反応式で示せ。