藤田保健衛生大学化学2012年第4問
次の文章を読んで、下の問い(問1~5)に答えよ。
ペプチドは、$\text{H}_2\text{N}-\text{CHR}^1-\text{CO}-\text{NH}-\text{CHR}^2-\text{CO}-\cdots\cdots-\text{NH}-\text{CHR}^{\text{n}}-\text{COOH}$で示される$\alpha-$アミノ酸が縮合したものであり、ペプチドの$\alpha-$アミノ基側をN末端、$\alpha-$カルボキシル基側をC末端という。
アミノ酸7個からなる直鎖のへプタペプチドXについて、以下の実験を行った。なお、ヘプタベプチドXを構成するアミノ酸は、グリシン(Gly)、グルタミン酸(Glu)、システイン(Cys)、チロシン(Tyr)の4種である。
- 実験1 ペプチドのC末端側からアミノ酸を順次切り離していくカルボキシペプチダーゼを使って、ヘプタペプチドXのアミノ酸の配列順を決定する実験を行った。1molへプタベプチドXをこの酵素で加水分解し、切り離されたアミノ酸A、B、C、Dの物質量を反応時間を追って測定すると、下のグラフに示す結果が得られた。
- 実験2 アミノ酸A~Dの各水溶液をpH8.6で電気泳動すると、アミノ酸Aが最も速く陽極側に移動した。
- 実験3 アミノ酸A~Dの各水溶液中に平面偏光を通過させると、アミノ酸Bのみ振動面が回転しなかった。
- 実験4 アミノ酸A~Dの各水溶液に濃水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱後、酢酸鉛(II)水溶液を加えると、アミノ酸Cの水溶液で黒色沈殿を生じた。
- 実験5 アミノ酸A~Dの各水溶液に濃硝酸を加えて加熱すると、アミノ酸Dの水溶液が黄色になった。さらに、これにアンモニア水を加えて塩基性にすると橙黄色になった。
- 問1 実験1の結果について、次の文章の( ア )~( ウ )に入るアミノ酸をA~Dの記号で答えよ。
- (a) カルボキシペプチダーゼでC末端から最初にアミノ酸( ア )が切り離される。
- (b) C末端から2番目にあるアミノ酸は、アミノ酸( イ )である。
- (c) へプタペプチドXのN末端のアミノ酸は、アミノ酸( ウ )である。
- 問2 アミノ酸A~Dに相当するアミノ酸の名称を記せ。
- 問3 へプタペプチドXのアミノ酸配列を、N末端を左にしてGly-Glu-Cys-のように記せ。
- 問4 へプタペプチドXに、ペプチドの芳香族アミノ酸のカルボキシル基側を加水分解するキモトリプシンを作用させると、2つのペプチド断片が得られた。その切断で生ずるN末端側のペプチドと同じアミノ酸組成をもつ直鎖のペプチドは、得られたペプチドを含めて何種類あるか。ただし、すべて$\alpha$位のカルボキシル基と$\alpha$位のアミノ基の間でペプチド結合しているものとする。
- 問5 アミノ酸Bの結晶中および酸性溶液中での構造を示性式で記せ。