藤田保健衛生大学化学2013年第5問

次の文章を読んで、下の問い(問1~3)に答えよ。
構造式は右の例にならって書け。
fujita-2013-chemistry-5-1

分子式が$\text{C}_{20}\text{H}_{36}\text{O}_6$で、3個のエステル結合を有する可塑剤である化合物Aがある。化合物Aを水素化リチウムアルミニウム$(\text{LiAlH}_4)$で還元したところ、化合物B、C、Dが1:2:1のmol比で得られた。化合物Bは示性式が$\text{C}_4\text{H}_7(\text{OH})_3$であり、施光性を示した。化合物Cはエタノールであり、化合物Aの不斉炭素原子に存在していた2つのエステル結合が切断されて生成した。化合物Dは高級アルコールで、この化合物に濃硫酸を加え温浴で溶かした後、さらに水酸化ナトリウムを加えてかき混ぜて溶かすと、合成洗剤Eが得られた。その水溶液は中性であった。

なお、エステルを$\text{LiAlH}_4$で還元的に分解すると、次の式で示すように$\text{R}-\text{CH}_2-\text{OH}$と$\text{R'}-\text{OH}$の2種類のアルコールが生成する。$\text{R}$と$\text{R'}$はアルキル基を表わす。

fujita-2013-chemistry-5-2

また、$\text{LiAlH}_4$によりアルデヒドやカルボン酸は第一級アルコールに、ケトン基は第二級アルコールに還元することができるが、アルケンやアルキンをアルカンに還元することはできない。

酸を触媒として化合物Aを加水分解すると、4つの化合物C、D、FおよびGが得られた。化合物Fは酢酸であった。また、化合物Gを加熱すると、1molあたり2molの水がとれて酸無水物である化合物Hが生じた。化合物Hに臭素水を加えると、臭素水の赤褐色が無色に変化した。

  • 問1 化合物Bの構造式を書き、その構造式中の不斉炭素原子を◯で囲め。また、この化合物の名称をIUPAC(国際純正および応用化学連合)名で書け。
  • 問2 化合物A、GおよびHの構造式を書け。
  • 問3 合成洗剤Eの名称を書け。