福岡大学生物2013年第3問

ヒトの腎臓のはたらきに関する次の文章を読み、問1~問6に答えよ。

ヒトの腎臓にある尿形成のための機能的な構造単位は、毛細血管が密集した糸球体とそれを包む袋状のボーマンのう、および細尿管からできている。細尿管は生成した尿を集めるための集合管につながっている。糸球体では、血液の液体成分である血しょうの大部分がボーマンのうへこし出され原尿となる。原尿成分のあるものは、細尿管を通過するときに再吸収されて毛細血管へもどる。細尿管や集合管では水も再吸収される。尿が形成される過程で、再吸収されずに残った成分は、濃縮されて水とともに体外に排出される。

表1は、健康なヒトで測定した血しょう、原尿、尿に含まれる成分の濃度(重量パーセント)と、それぞれの成分の濃縮率(尿中の濃度/血しょう中の濃度)を示したものである。このとき、1時間あたりの尿の排出量は60mlであった。ただし、表1中のイヌリンは、腎臓の機能を調べるために注入した多糖類である。イヌリンは血液中に注入してもヒトの体内で利用されない。

表1
成分
血しょう(%)
原尿(%)
尿(%)
濃縮率(倍)
タンパク質 7.2 0  0   0
グルコース 0.1 0.1  0   0
尿素 0.03 0.03  2  67
クレアチニン 0.001 0.001  0.075  75
ナトリウム 0.3 0.3  0.32   1.1
カリウム 0.02 0.02  0.15   7.5
イヌリン 0.1 0.1 12 120
  • 問1 文中の下線部の構造単位を何と呼ぶか。
  • 問2 表1から、1時間あたりに再吸収された水分の量(ml)を求めよ。
  • 問3 表1から、1時間あたりに再吸収されたカリウムの量(g)を小数点第2位まで求めよ。ただし、原尿と尿の密度はいずれも1g/mlとする。
  • 問4 表1の物質のうち、再吸収や濃縮に関する性質がイヌリンに近いものを2つあげよ。
  • 問5 表1で原尿および尿のいずれもタンパク質は含まない。それはなぜか。30字以内で述べよ。
  • 問6 表1の尿素は、窒素代謝物の最終産物で、アンモニアから合成される。その過程が進むヒトの臓器を答えよ。