福岡大学生物2013年第5問

活動電位の伝導の実験に関する次の文章を読み、問1~問7に答えよ。

カエルの坐骨神経を腓腹筋(ひふくきん)とつながった状態で取り出して、活動電位の伝導についての【実験1】~【実験4】を行なった。図1のように、坐骨神経には、それぞれ銀線1対の刺激電極Sと記録電極R1~R3を配置した。なお、各実験で与える電気刺激は神経に活動電位が発生するぎりぎりの強さの短い単発の刺激とし、それに対して腓腹筋に短い一過性の弱い収縮が起こる。

【実験1】坐骨神経に刺激電極Sで電気刺激を与え、発生した活動電位を各記録電極で記録した。刺激を与えてから各記録電極で活動電位が記録されるまでの時間は、R1でt1、R2でt2、R3でt3であった。各記録電極の極性を入れ替えると、記録される活動電位の位相は逆になったが、波形は変わらなかった。また、刺激電極Sの極性を入れ替えて刺激をすると、各記録電極で活動電位が記録されるまでの時間はわずかに長くなった。

【実験2】記録電極R2を刺激電極として用いて、坐骨神経に電気刺激を与え、記録電極R1とR3で活動電位を記録した。

【実験3】図1のBの位置で神経をピンセットで強くつまんでつぶして、活動電位が伝わらないようにした。その後、Aの位置にマイナスの電極を、Cの位置にプラスの電極を置いて刺激電極とし電気刺激を与え、記録電極R1とR2で活動電位を記録した。

【実験4】【実験3】の状態で、AとCの間を短い銅線で連絡し、刺激電極Sから電気刺激を与え、記録電極R1とR2で活動電位を測定したところ、どちらの記録電極でも活動電位が記録できた。

fukuoka-2013-biology-5-1
  • 問1 文中の下線部のような刺激の強さを何と呼ぶか。
  • 問2 【実験1】の結果から、活動電位の伝導速度を求めるには、図1の(1)~(5)のどの区間の距離と時間をもとにするのが最も適切か。
  • 問3 問2と同じく【実験1】の結果から活動電位の伝導速度を求める計算で、その値が最も小さくなるのは、図1の(1)~(5)のどの区間の距離をもとにした場合か。解答欄aに番号で答えよ。また、その理由として適切なものを、次の(イ)~(ニ)から選び、解答欄bに記号で答.えよ。
    • (イ)活動電位は刺激電極のマイナス極で発生するから。
    • (ロ)活動電位は刺激電極のプラス極で発生するから。
    • (ハ)記録電極と刺激電極の距離が他の場合より短いから。
    • (ニ)活動電位が発生するまでの時間が含まれているから。
  • 問4 【実験2】で、R1とR3で活動電位は記録されるか。次の(イ)~(ニ)から選び、記号で答えよ。
    • (イ)R1では記録されないが、R3では記録される。
    • (ロ)R1では記録されるが、R3では記録されない。
    • (ハ)R1でもR3でも記録される。
    • (ニ)R1でもR3でも記録されない。
  • 問5 【実験3】で、R1とR2で活動電位は記録されるか。次の(イ)~(ニ)から選び、記号で答えよ。
    • (イ)R1では記録されるが、R2では記録されない。
    • (ロ)R1では記録されないが、R2では記録される。
    • (ハ)R1でもR2でも記録される。
    • (ニ)R1でもR2でも記録されない。
  • 問6 【実験4】で、刺激からR1とR2で活動電位が測定されるまでの時間をt1'とt2'としたとき、その値は【実験1】でのt1およびt2とそれぞれ比較してどうなると考えられるか。次の(イ)~(二)から適切なものを選び、記号で答えよ。
    • (イ)t1'もt2'も変わらない。
    • (ロ)t1'もt2'も短くなる。
    • (ハ)t1'は変わらず、t2'は短くなる。
    • (二)t1'は短くなり、t2'は変わらない。
  • 問7 実験の標本で、坐骨神経を刺激したときに、その末端から放出される化学物質は何か。