福岡大学生物2012年第2問
ヒトの酸素の運搬に関する次の文章を読み、問1~問6に答えよ。
ヒトの赤血球は血液1mmに約500万個含まれており、呼吸器官と全身の組織との間を循環し、酸素を運搬している。血液は生理食塩水に比べて多くの酸素を含むことができるが、これは赤血球に含まれるヘモグロビンのはたらきによる。
一方、組織中に発生した二酸化炭素の一部は、血液の液体成分に溶けて、さらに溶解しやすい炭酸などに変えられて運ばれる。
図1は異なる二酸化炭素濃度のもとでの、酸素とヘモグロビンとの結合を表した酸素解離曲線である。酸素と結合したヘモグロビンを酸素ヘモグロビンと呼ぶ。
なお、図1のa~dの酸素ヘモグロビンの割合(%)はaでは60、bでは95、cでは40、dでは90である。
- 問1 下線部の液体成分を何と呼ぶか。
- 問2 ヘモグロビンと酸素の結合について、図1からわかることは何か。次の(イ)~(ニ)から1つ選び、記号で答えよ。
- (イ) 酸素濃度が高く、二酸化炭素機度が低いとよく結合する。
- (ロ) 酸素濃度が低く、二酸化炭素濃度が高いとよく結合する。
- (ハ) 酸素濃度が高く、二酸化炭素濃度が高いとよく結合する。
- (ニ) 酸素濃度が低く、二酸化炭素濃度が低いとよく結合する。
- 問3 図1より、肺胞で酸素と結合したヘモグロビンのうち、組織で酸素を供給するヘモグロビンは何パーセントか。小数点以下を四捨五入して求めよ。ただし、肺胞での酸素分圧は100mmHg、組織でのそれは30mmHgとして計算せよ。
- 問4 問3の条件で、心拍数が70回/分、心臓が一回の拍動で送り出す血液量が70mlとすると、1分間に組織に供給される酸素量は何mlか。小数点以下を四捨五入して求めよ。ただし、血液100mlには15gのヘモグロビンが含まれ、1gのヘモグロビンは肺胞で酸素1.5mlと結合するとして計算せよ。
- 問5 図2の実線が成人の通常の酸素解離曲線を示しているとすると、pHが下がったとき、ヘモグロビンの酸素解離曲線は図2のA~Eのどの点線に近づくと考えられるか。記号で答えよ。
- 問6 筋肉中には、ミオグロビンという色素タンパク質が多く含まれている。ミオグロビンは酸素と結合しやすく解離しにくいので、多くの酸素を貯蔵して緊急時に対応できる。図2の実線が通常の酸素解離曲線とすると、ミオグロビンの酸素解離曲線はA~Eのどの点線に最も近いと考えられるか。記号で答えよ。