関西医科大学物理2012年第5問

次の文を読み、以下の(1)から(3)の問いに答えよ。

PET(positron emission tomography)とは$\fbox{1}$検出を利用したコンピューター断層撮影技術である。PETでは、$^{18}\text{F}$などの放射性同位元素を含む物質を人体に投与し、それから出る$\fbox{1}$を診断に利用する。PETで利用する放射性同位元素の$\fbox{2}$は一般に短い。

人体に投与された$^{18}\text{F}$などの放射性同位元素は、体内で崩壊して1個の$\fbox{1}$を放出する。放出された$\fbox{1}$は近傍の原子の$\fbox{3}$と対消滅し、$\fbox{3}$の$\fbox{4}$に等しいエネルギーの光子(ガンマ線)が、2個放出される。このとき、おのおのの(D)光子(ガンマ線)は$\fbox{5}$により、反対方向へ対で放出される。

PET装置は、人体の周囲を取り巻くように配列された多数の光子(ガンマ線)検出器と、2個の光子(ガンマ線)の信号を組み合わせる同時計数回路からなる。検出器のうちいずれか2つが同時に光子(ガンマ線)を検出したとき、その2つの検出器を結ぶ直線上のどこかで対消滅が起きたと考えられる。そこで、この情報を集めてCTと同様のコンピューター画像処理を施すことにより、放射性同位元素の分布を示す三次元画像を作成する。

  • (1) 上の文中の$\fbox{1}$~$\fbox{5}$に入れるのに最もふさわしい言葉を下記の選択肢Aの中から選び、その言葉の前に付けられた記号を解答欄に記せ。
    選択肢A:
    • ア) 電子
    • イ) 陽子
    • ウ) 陽電子
    • エ) 反陽子
    • オ) 運動量保存の法則
    • カ) エネルギー保存の法則
    • キ) 質量保存の法則
    • ク) 半減期
    • ケ) 質量エネルギー
    • コ) 運動エネルギー
    • サ) γ崩壊
  • (2) $^{18}\text{F}$の崩壊式は下記のように表される。ここで$v_\text{e}$は電子ニュートリノで、ニュートリノと同様にほとんどの検出器には感知されない。崩壊式に入れるものとして最も適当なものを$\fbox{6}$は選択肢Bから、$\fbox{7}$は選択肢Cから選び、その言葉の前に付けられた記号を解答欄に記せ。 \[^{18}\text{F} \longrightarrow \fbox{6}+\fbox{7}+v_e\] 選択肢B:
    • シ) $^{18}\text{O}$
    • ス) $^{18}\text{Ne}$
    • セ) $^{14}\text{N}$
    • ソ) $^{22}\text{Na}$
    選択肢C:
    • 夕) $\text{e}^+$
    • チ) $\text{e}^-$
    • ツ) $\text{n}$
    • テ) $^4\text{He}$
  • (3) 下線(D)の光子(ガンマ線)1個の持つエネルギーは何MeVか。下記の選択肢Dの中から最も適当なものを選び、その数値の前に付けられた記号を解答欄に記せ。なお必要なら次の物理量の値を用いてもよい。
    • 電子の質量:$9.1\times10^{-31} \text{kg}$
    • 陽子の質量:$1.7\times10^{-27} \text{kg}$
    • 電子の電荷:$1.6\times10^{-19} \text{C}$
    • 光速度:$3.0\times10^8 \text{m/s}$
    選択肢D:
    • ト) $8.2\times10^{-14}$
    • ナ) $1.6\times10^{-13}$
    • ニ) $0.51$
    • ヌ) $1.0$
    • ネ) $5.1\times10^5$
    • ノ) $1.0\times10^6$