慶應義塾大学生物2012年第2問

下の文章(1~3)を読んで、問1~問8に答えなさい。
  1. 植物などの( ア )は( イ )を行って( ウ )などの無機物から有機物を合成する。ところが自分で( イ )のできない( エ )は、( ア )が合成した有機物を栄養として利用する。生態系における役割として考えれば( ア )は有機物を作る( オ )である。( エ )は有機物を食べる消費者であり、( オ )を直接食べる( カ )、( カ )を食べる( キ )などがある。これらの生物の遺体や排出物をふたたび無機物に戻す役割をする菌類やバクテリア類などを( ク )という。このような食う・食われるの関係を( ケ )というが、実際にはこれらの関係は複雑な網目状となるため、これを( コ )という。( コ )がより複雑であるほど生態系は安定すると考えられる。
    • 問1 ( ア )~( ケ )にふさわしい語を下の選択肢から選んで記号で答え、( コ )には適当な語を入れなさい。
      • あ)栄養段階
      • い)栄養生成層
      • う)富栄養化
      • え)捕食者
      • お)分解者
      • か)食物連鎖
      • き)栄養分解層
      • く)二次消費者
      • け)二次生産
      • こ)生産者
      • さ)従属栄養生物
      • し)一次消費者
      • す)一次生産
      • せ)物質循環
      • そ)炭酸同化
      • た)二酸化炭素
      • ち)アミノ酸
      • つ)独立栄養生物
      • て)ブドウ糖
      • と)階層構造
  2. カビやキノコなどは、生物分類の五界説によれば「菌界」という1つのグループとしてまとめられる。しかし最近の真核生物についての研究では、たとえば図1のような系統関係も考えられており、ここでは菌類は( A )と近縁であることが示される。図2は菌類の中での系統関係を示しており、ここでは菌類で最初に分岐したグループは( B )だと考えられている。
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    • 問2 ( A )に五界の1つの名称を(界は省いて)入れなさい。
    • 問3 五界のうち、図1に含まれていないものの名称を答えなさい。
    • 問4 五界のうち、図1の考え方では、界としてまとめられなくなるものは何か。
    • 問5-1 ( B )にふさわしい語を入れなさい。
    • 問5-2 ( B )に分類されるある種の菌によって、近年、世界的に大問題となっている生態系をおびやかす現象について簡単に述べなさい。
  3. 菌類と植物との生態的な関係はきわめて深い。多くの植物体内には内生菌とよばれる共生生物が認められるが、これは、おもに子のう菌類と植物の共生関係を示す。森に生える多くの樹木の根の表面は、菌根とよばれる菌糸の層に被われている。ここでは、おもに(1)担子菌類と樹木との共生関係が形成されている。グロムス菌類(グロメロ菌類とも呼ばれる)も菌根を形成し、陸上植物の80%以上と共生しているとも考えられている。また地中では菌根や菌糸による複雑で巨大なネットワークが存在している。
    • 問6 下線(1)の例として、1組の生物名を挙げなさい。
    • 問7 グロムス菌類は生活に必要な炭水化物を完全に宿主植物に依存している。ある植物とグロムス菌類との共生関係を調べるため、減菌した土壌を対照とし、4種(A~D)のグロムス菌を接種して育てた場合の植物の乾燥重量(図3左)と、その植物体に含まれるリン濃度(図3右)を測定した。この実験結果からどのようなことが考えられるだろうか。植物の生活には、水と、リンやその他の栄養素が不可欠であることを考慮に入れ、菌根を介した共生系のしくみについて考察しなさい。
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    • 問8 もっとも古い菌類の化石として、4億6千万年前(オルドビス紀)の地層からグロムス菌類の化石が見つかっている。同じ頃、最初の陸上植物が現れている。これらの事実と、ここまでの問題文や観察結果などを踏まえて、菌類と植物の進化について考えられることを説明しなさい。