慶應義塾大学化学2013年第1問
下記の問いに答えなさい。
- 1.グルコースは水中で、下記の構造をとって平衡になる。以下の問いに答えなさい。
- (1)(ア)と(ウ)の立体異性体をそれぞれ何型グルコースというか。
- (2)(ア)と(ウ)が水中で二糖を作る場合、何種類の二糖ができるか。但し、構造異性体を考慮するものとする。
- (3)上記(2)の二糖のうち、還元性を持たない二糖は何種類か。
- 2.不飽和炭化水素であるブテン$(\text{C}_4\text{H}_8)$に2種類の同位体、ヨウ素127およびヨウ素125をそれぞれ完全に反応させた。これらの反応物各2.00gを各々ベンゼン20.0gに溶解し、その沸点を測定した。ヨウ素127付加反応物とヨウ素125付加反応物のそれぞれのベンゼン溶液の沸点には何℃の差が生じるか、導出過程も併せて答えなさい。ただし、ベンゼンの沸点は80.1℃、ベンゼンのモル沸点上昇は2.54とする。
- 3.炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを不純物として含む純度75.0%の水酸化ナトリウム10.0gを水に溶かして1000mLの水溶液を作成した。この水溶液を10.0mL取り、フェノールフタレインを加えた後、$1.90\times10^{-1}$mol/Lの塩酸で滴定したところ、指示薬の変色までに10.0mLが必要であった。さらに、メチルオレンジを加えて滴定を続けると、メチルオレンジの変色までに1.50mLを要した。上記の実験について、以下の問いに答えなさい。ただし、塩基としての電離定数Kbは、$\text{CO}_3{^{2-}}(\text{Kb}=10^{-3.7})$、$\text{CO}_3{^-}(\text{Kb}=10^{-7.7})$、$\text{OH}^-(\text{Kb}=10^{1.7})$とする。
- (1)フェノールフタレイン変色時までに起こった反応を化学反応式で記しなさい。
- (2)フェノールフタレイン変色後からメチルオレンジ変色時までに起こった反応を化学反応式で記しなさい。
- (3)水酸化ナトリウム10.0g中に含まれていた不純物である炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムはそれぞれ何gであるか答えなさい。
- 4.金属A、B、C、Dがある。AおよびBは熱水と反応して水素を発生する。Aの水酸化物は水に難溶性であるが、硫酸塩は水に良く溶ける。アルカリ金属元素であるBは冷水や空気とも激しく反応して水素を発生するが、その反応性は金属ナトリウムよりも大きい。また、酸化数ⅡとⅣを取ることができるCは酸にも強塩基の水溶液のいずれにも溶ける両性元素である。CとDの合金は、先史時代に石器の次に利用が進み、人類の生活、文化を育んだ。Dは水とは反応せず、熱硫酸に溶ける。Dは熱・電気の伝導性に優れ、水と二酸化炭素の存在下で、金属表面に炭酸水酸化物を生じる。
- (1)金属A、B、C、Dの元素記号をそれぞれ答えなさい。
- (2)金属A、B、C、Dをイオン化傾向の高い順に元素記号で並べなさい。
- (3)下線部を化学反応式で表しなさい。また、下線部の水溶液から結晶を析出させると、(ア)色の水和物が得られ、これを加熱すると水和水を失った(イ)色の粉末状の無水物が得られる。この(ア)および(イ)の色を答えなさい。