慶應義塾大学物理2013年第4問

原子と光に関する以下の問に答えよ。物理量を求める場合、以下の値を用い、有効数字1桁で答えよ。ブランク定数$6.6\times 10^{-34}$Js、光速$3.0\times 10^8$m/s、ボルツマン定数$1.4\times 10^{-23}$J/K、ルビジウム原子の質量$1.4\times 10^{-25}$kg、電子の質量$9.1\times 10^{-31}$kg、電気素量$1.6\times 10^{-19}$C、クーロンの法則の定数$9.0\times 10^9$Nm2/C2、リュードベリ定数$1.1\times 10^7$/m。
  • 問1
    • (a) 密封容器中にルビジウム原子を封入し温度を$300$Kとした。ルビジウム原子の平均の速さ(二乗平均速度)[m/s]を求めよ。
    • (b) 密封容器に穴を開け、ルビジウム原子を穴から真空中に吹き出させ、レーザー光を原子の進行方向と反対側から当てると、光子の吸収により原子の速度は減速する。原子の運動速度と逆向きに伝搬する波長$780$nmの光子を1個吸収することによるルビジウム原子の速度変化$\Delta v$を求めよ。
    • (c) レーザー光によるルビジウム原子の減速により、最終的に原子の平均の速さは(b)で求めた$\Delta v$と同じになった。このときのルビジウム原子気体の温度を求めよ。
    • (d) ルビジウム原子が(b)で求めた$\Delta v$と同じ速度で運動するときのド・ブロイ波の波長を求めよ。
  • 問2
    • (a) 長岡やラザフォードが提案した原子の構造はおおむね正しいが、大きな欠点がある。この欠点について説明せよ。

      この欠点を補うため、新たな仮定が導入された。電子(質量$m$)は原子核を中心とした半径$r$、速度$v$の等速円運動をする。この円運動は、$h$をブランク定数とすると、 \[mvr=n\dfrac{h}{2\pi}(n=1,2,3,\cdots)\tag{1}\label{aa}\] を満たす場合のみ許され、それ以外は許されない。この仮定を量子条件といい、$n$を量子数と呼ぶ。

    • (b) 式$\eqref{aa}$を満たす状態の名称と量子条件を提案した物理学者の名前を述べよ。
    • (c) 水素原子において、電子が$n=51$の状態から$n=50$の状態に移るとき放射される電磁波の波長を求めよ。