近畿大学生物2012年第2問

次の文章を読んで下の問いに答えよ。

脊つい動物の脳は、前端から後方へ向かって、大脳、$\fbox{ア}$、$\fbox{イ}$、小脳、$\fbox{ウ}$の部位に分けられ、$\fbox{ウ}$は脊髄につながっている。ヒトの脊髄からは、$\fbox{エ}$対の末しょう神経の束が左右の$\fbox{オ}$と$\fbox{カ}$から出ている。$\fbox{オ}$には感覚神経が通っており、$\fbox{カ}$には運動神経が通っている。ヒトでは、脳の中で大脳が特に発達している。ヒトの大脳は外から見ると多くの溝で分けられており、断面を見ると、主にニューロンの$\fbox{キ}$が集まった表層の$\fbox{ク}$と、$\fbox{ケ}$が集まる内側の$\fbox{コ}$が区別される。

現在では、さまざまな研究成果により、特定の機能が大脳内の領域に割り当てられ、各大脳領域が異なった機能に特化しているという(1)機能局在論が受け入れられている。しかし、大脳は一見するとどの領域もよく似ており、古くは、大脳は一体として働き、どの領域も同じような機能を持つという、(2)全体論が支配的だった。

機能局在論が優位となるきっかけとなったのは、19世紀後半のブローカの研究成果である。ブローカは、見たり聞いたりした言葉を理解することはできるが、文章を話すことはできないという失語症の患者を報告した。

患者は、(3)物を見ることには支障がなく、話すことに必要な舌や口を適確に動かすこともできた。このような患者8名の脳を死後に調べてみると、いずれも左大脳の運動野より前方で外側の領域に損傷が見つかった。現在、この領域は、(4)ブローカ野と呼ばれている。

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  • 問1. 文章中の$\fbox{ア}$~$\fbox{コ}$に入る最も適切な語句や数字を、解答欄に記入せよ。
  • 問2. 下線部(1)の機能局在論を支持する研究結果には、ブローカの報告以外にどのようなものがあるか。50字以内で答えよ。
  • 問3. 下線部(2)の全体論が正しいとすると、どのような研究結果が全体論を支持すると考えられるか。50字以内で答えよ。
  • 問4. 小脳の働きを一つ挙げよ。
  • 問5. 図は、ヒトの脳の左外側面を示す。下線部(3)の、物を見ることに関係する領域を、図のA~Eより選び、記号で答えよ。
  • 問6. 下線部(4)のブローカ野はどこか。同じ図のA~Eより選び、記号で答えよ。