近畿大学生物2013年第4問
発生の初期段階にある動物の$\fbox{ア}$は、受精卵の分裂によって生じたほぼ球形の細胞である$\fbox{イ}$の数から、2細胞期$\fbox{ア}$、4細胞期$\fbox{ア}$、8細胞期$\fbox{ア}$などと呼ばれ、さらに発生が進むと外形がクワの果実に似た$\fbox{ウ}$となる。$\fbox{ウ}$は一層の細胞が球状に並んだもので、内部には$\fbox{エ}$と呼ばれる隙間ができる。さらに発生が進むと、$\fbox{ア}$を構成する細胞は$\fbox{ア}$内部の特定の場所に移動したり、互いに異なった形を示したりするようになり、成体に至る過程で、神経や筋など特殊な形や機能を持った細胞へと$\fbox{オ}$していく。
ウニやカエルの2細胞期の$\fbox{ア}$から一方の$\fbox{イ}$を取り除いても、完全な$\fbox{ア}$へと発生が進む。また、4細胞期にあるウニの$\fbox{ア}$の$\fbox{イ}$をバラバラにして発生を続けさせると、それぞれの$\fbox{イ}$から完全な個体が形成される。同様に、2細胞期にあるハツカネズミの初期$\fbox{ア}$から二つの$\fbox{イ}$を分離し、それぞれが$\fbox{ウ}$を過ぎた段階になるまで発生を続けさせて子宮に戻すと、$\fbox{カ}$の双生仔が生まれる。このように、(1)初期$\underline{\fbox{ア}}$の一部の$\underline{\fbox{イ}}$を分離しても完全な$\underline{\fbox{ア}}$になる能力が保たれるような受精卵は、$\underline{\fbox{キ}}$と呼ばれる。一方、8細胞期にあるハツカネズミの初期$\fbox{ア}$二つから、それぞれバラバラにした$\fbox{イ}$を得て互いに混ぜ合わせ、一つのかたまりにして発生を続けさせると、一つの$\fbox{ウ}$になり、さらにしばらく発生を続けさせた後これを子宮に戻すと、一匹の仔が生まれる。
ハツカネズミは一回の出産で数匹の仔を産むため、同じ母親から生まれたオスとメスを交配して次世代の仔を産ませることができる。このような交配を20世代以上繰り返すと、染色体上のどの遺伝子を調べても$\fbox{ク}$接合となった近交系ができる。同一の近交系に属する個体どうしは、$\fbox{カ}$双生仔と同じ関係になり、互いの皮膚を移植しても$\fbox{ケ}$されずに生着する。
毛色が白色の近交系Aと、毛色が黒色の近交系Bとは、$\fbox{ケ}$反応に関係する遺伝子が互いに異なっており、Aの個体の皮膚をBの個体に移植すると10日間ほどで$\fbox{ケ}$されるし、Aの個体に移植されたBの個体の皮膚も同様に$\fbox{ケ}$される。近交系Aの個体とBの個体を互いに掛け合わせて、$\fbox{コ}$第一代(AxB)F1の個体を得たところ、その毛色は野ねずみ色(オリーブ色がかった茶色)であった。(2)Aの個体の皮膚をF1の個体に移植すると$\underline{\fbox{ケ}}$されることなく生着し、Bの個体の皮膚をF1の個体に移植した場合も生着した。
そこで、8細胞期にあるAの$\fbox{ア}$と、同じく8細胞期にあるBの$\fbox{ア}$からバラバラにした$\fbox{イ}$を得て、それらを混ぜ合わせ、しばらくして生じた$\fbox{ウ}$を、発生を続けさせた後にF1個体の子宮に戻した。こうして、(3)近交系Aの初期$\underline{\fbox{ア}}$由来の$\underline{\fbox{イ}}$と、Bの初期$\underline{\fbox{ア}}$由来の$\underline{\fbox{イ}}$の混じった$\underline{\fbox{ア}}$から個体を得た。
- 問1.文章中の$\fbox{ア}$~$\fbox{コ}$に入る最も適切な語句を、解答欄に記入せよ。
- 問2.下線部(1)について、$\fbox{キ}$とは異なる性質を示す受精卵は何と呼ばれるか。また、受精卵がそのような性質を示す動物種の例を一つ挙げよ。
- 問3.下線部(2)について、F1個体の皮膚を近交系Aの成体に移植するとどうなるか。
- 問4.下線部(3)について、こうして得られた個体の毛色はどのようになると考えられるか。
- 問5.下線部(3)で得られた個体が成体になったところで、Aの個体の皮膚を移植するとどうなると考えられるか。
- 問6.下線部(3)で得られた個体が成体になったところで、その皮膚をAの成体に移植した。移植された皮膚にはどのようなことが起こると考えられるか。35字以内で答えよ。