北里大学生物2012年第1問

体温の調節に関する以下の問に答えなさい。
  1. 体温の調節に必要な熱は、主にATPの生成や消費の過程で産生される。ATPの生成についての次の文を読み、以下の問に答えなさい。
    グルコースを空気中で燃焼させると、水と二酸化炭素が生成されるが、このときグルコースが蓄えていた化学エネルギーの一部は光や熱のエネルギーとして放出される。一方、グルコースが細胞内で好気呼吸の基質となるとき、$\fbox{1}$、$\fbox{2}$、$\fbox{3}$という3つの過程を経て代謝され、その化学エネルギーの一部はATPの化学エネルギーとして蓄えられる。グルコース1分子が$\fbox{1}$と$\fbox{2}$で代謝されると、合計で$\fbox{ア}$分子のATPと$\fbox{イ}$分子の還元型補酵素Xが生成される。ただし、$\fbox{1}$では$\fbox{ウ}$分子のATPが消費される。生成された還元型補酵素Xは、ミトコンドリアの$\fbox{4}$に存在する$\fbox{3}$へ運ばれる。$\fbox{3}$では、還元型補酵素Xから電子と水素イオンが放出され、電子はシトクロムなどの間を次々に受け渡される。このときに放出されるエネルギーを使って、水素イオンはいったん$\fbox{5}$から膜間腔へ運び出される。 生じた水素イオンの濃度差は、水素イオンが$\fbox{4}$に存在するATP合成酵素を通して$\fbox{5}$へ戻されることによって解消される。このとき、最も効率が良い場合、$\fbox{エ}$分子のATPが生成される。したがって、好気呼吸全体ではグルコース1分子当たり、正味で最大$\fbox{オ}$分子のATPが生成される。
    • (1) 文中の$\fbox{1}$~$\fbox{5}$のそれぞれに最も適切な語を答えなさい。
      • (a) アルコール発酵
      • (b) 解糖系
      • (c) 外膜
      • (d) 力ルビン-べンソン回路
      • (e) クエン酸回路
      • (f) グラナ
      • (g) 細胞質基質
      • (h) ストロマ
      • (i) 炭酸同化
      • (j) チラコイド
      • (k) 電子伝達系
      • (l) 内膜
      • (m) 乳酸発酵
      • (n) マトリックス
    • (2) 文中の$\fbox{ア}$~$\fbox{オ}$に当てはまる数字として、最も適切な組み合わせを答えなさい。$\fbox{6}$
      • (a) ア、4;イ、6;ウ、2;エ、34;オ、36
      • (b) ア、4;イ、6;ウ、2;エ、24;オ、26
      • (c) ア、4;イ、24;ウ、2;エ、34;オ、36
      • (d) ア、4;イ、24;ウ、2;エ、24;オ、26
      • (e) ア、6;イ、6;ウ、2;エ、34;オ、38
      • (f) ア、6;イ、6;ウ、4;エ、24;オ、26
      • (g) ア、6;イ、12;ウ、2;エ、34;オ、38
      • (h) ア、6;イ、24;ウ、4;エ、24;オ、26
      • (i) ア、8;イ、6;ウ、2;エ、34;オ、40
      • (j) ア、8;イ、6;ウ、4;エ、24;オ、28
      • (k) ア、8;イ、24;ウ、2;エ、34;オ、40
      • (l) ア、8;イ、24;ウ、4;エ、24;オ、28
    • (3) グルコース1molを空気中で完全に燃焼させると686kcalの熱が放出される。一方、ATP1molがADPとリン酸に分解するとき、7.3kcalのエネルギーを放出する。グルコースが好気呼吸を経て代謝されたとき、ATPの化学エネルギーとして蓄えられるのは、グルコースを燃焼させたときに放出される熱エネルギーの最大何%に相当するか、小数点以下第1位を四捨五入して最も適切な数値を答えなさい。$\fbox{7}$
      • (a) 28
      • (b) 30
      • (c) 38
      • (d) 40
      • (e) 43
    • (4) 骨格筋が収縮するには、ATPが必要である。このときに、ATPが放出する化学エネルギーのおよそ45%は仕事のエネルギーに変換されるが、残りは熱エネルギーとなる。骨格筋において、グルコースから生成されたATPがすべて収縮活動に消費されると仮定したとき、仕事に変換されるのは、グルコースが燃焼において放出する熱工ネルキーの最大何%に相当するか。小数点以下第1位を四捨五入し、それぞれの数字を直接マークして答えなさい。ただし、$\fbox{8}$は10の位の数字、$\fbox{9}$は1の位の数字をそれぞれ表す。
      $\fbox{8}$$\fbox{9}$%
  2. 体温の調節についての次の文を読み、以下の問に答えなさい。
    $13$~$54\ {}^\circ\mathrm{C}$の乾燥した空気中では、健常な人は裸のとき、身体の深部の体温を$36.1$~$37.7\ {}^\circ\mathrm{C}$に維持することができる。これは体温調節中枢が、$37\ {}^\circ\mathrm{C}$前後のある決められた温度を境界として体温が高過ぎ、あるいは低過ぎであることを感知し、内分泌系および自律神経系を介して体温を低下あるいは上昇させる反応を引き起こすことによる。このあらかじめ決められた温度をセットポイントと呼ぶ。
    季節が秋から冬へ移るなど、気温が次第に低下してくると、寒冷が刺激となって視床下部から$\fbox{カ}$が分泌される。このホルモンは、$\fbox{10}$に作用して$\fbox{キ}$の分泌を促進する。
    $\fbox{キ}$は、次に$\fbox{11}$からの$\fbox{ク}$の分泌を促す。$\fbox{ク}$は、細胞の全般的な代謝活動を活発化して熱産生を増加させる。一方、冬期に暖房の効いた部屋から急に寒い屋外へ出ると、$\fbox{12}$の働きが高まり、皮膚の血管や立毛筋が収縮し、熱の放散を抑える。また、$\fbox{12}$の働きにより$\fbox{13}$から$\fbox{ケ}$が分泌され、代謝を高めることで熱産生を増やす。
    • (1) 文中の$\fbox{10}$~$\fbox{13}$のそれぞれに最も適切な語を答えなさい。
      • (a) 運動神経
      • (b) 延髄
      • (c) 肝臓
      • (d) 交感神経
      • (e) 甲状腺
      • (f) 骨格筋
      • (g) 十二指腸
      • (h) 脳下垂体後葉
      • (i) 脳下垂体前葉
      • (j) 副交感神経
      • (k) 副甲状腺
      • (l) 副腎髄質
      • (m) 副腎皮質
      • (n) ランゲルハンス島A(α)細胞
      • (o) ランゲルハンス島B(β)細胞
    • (2) 下線部が存在する部位として最も適切なものを答えなさい。$\fbox{14}$
      • (a) 延髄
      • (b) 間脳
      • (c) 小脳
      • (d) 脊髄
      • (e) 大脳
      • (f) 中脳
    • (3) 文中の$\fbox{カ}$~$\fbox{ケ}$に当てはまるホルモンとして、最も適切な組み合わせを答えなさい。$\fbox{15}$
      • (a) 力、副腎皮質刺激ホルモン;キ、チロキシン;ク、成長ホルモン;ケ、アセチルコリン
      • (b) 力、副腎皮質刺激ホルモン;キ、糖質コルチコイド;ク、成長ホルモン;ケ、アドレナリン
      • (c) 力、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン;キ、副腎皮質刺激ホルモン;ク、鉱質コルチコイド;ケ、アセチルコリン
      • (d) 力、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン;キ、副腎皮質刺激ホルモン;ク、糖質コルチコイド;ケ、アセチルコリン
      • (e) 力、甲状腺刺激ホルモン;キ、糖質コルチコイド;ク、成長ホルモン;ケ、インスリン
      • (f) 力、甲状腺刺激ホルモン;キ、糖質コルチコイド;ク、チロキシン;ケ、インスリン
      • (g) 力、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン;キ、甲状腺刺激ホルモン;ク、パラトルモン;ケ、アセチルコリン
      • (h) 力、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン;キ、甲状腺刺激ホルモン;ク、チロキシン;ケ、アドレナリン
      • (i) 力、成長ホルモン;キ、副腎皮質刺激ホルモン;ク、チロキシン;ケ、アセチルコリン
      • (j) 力、成長ホルモン;キ、甲状腺刺激ホルモン;ク、パラトルモン;ケ、アドレナリン
    • (4) かぜを引くと発熱が起こる。このとき、体温が上昇する前にはひどく寒気を感じる。しかし、いったん体温が上昇すると、暑くも寒くも感じなくなる。一方、発熱を引き起こす原因が取り除かれると、激しい発汗が起こり、平熱へ回復する。このことから、発熱状態ではどのようなことが起こっていると考えられるか、適切なものを答えなさい。$\fbox{16}$
      • A.内分泌系や自律神経系の機能が破綻して、熱の産生が亢進している。
      • B.内分泌系や自律神経系の機能が破綻して、熱の放散が低下している。
      • C.内分泌系や自律神経系の機能が破綻して、熱の産生と放散のバランスが破綻している。
      • D.体温調節中枢におけるセットポイントが上昇している。
      • E.真夏に厚着をした場合と同様なメカニズムで体温は上昇している。
      • (a) Aのみ
      • (b) Bのみ
      • (c) Cのみ
      • (d) Dのみ
      • (e) Eのみ
      • (f) AとC
      • (g) AとE
      • (h) BとD
      • (i) BとE
      • (j) CとD
      • (k) CとE
      • (l) AとBとE
      • (m) AとDとE
      • (n) BとDとE
      • (o) CとDとE