北里大学化学2013年第5問

次の[1]、[2]の問に答えよ。答は各問の(1)から始まる選択肢の中から選べ。
  • [1]次の文章を読み、(1)~(3)の問に答えよ。

    α-アミノ酸は、同一の炭素原子にアミノ基とカルボキシル(カルボキシ)基が結合しており、一般式は$\text{R}-\text{CH}(\text{NH}_2)\text{COOH}$と表される。R-は側鎖とよばれ、表1に示すように、α-アミノ酸の種類によって異なった構造をしている。表1には、それぞれのアミノ酸の等電点も示す。アミノ酸の分子間で、アミノ基とカルボキシル基が脱水縮合してつくられるペプチド(アミド)結合でつながった化合物は、ペプチドと総称され、アミノ基が残る側をN末端、カルボキシル基が残る側をC末端とよぶ。ペプチドの構成(アミノ酸配列)は、アミノ酸をN末端から順番に略号(表1参照)でつないで示される。

    強い平滑筋収縮作用を示すブラジキニンや抗利尿作用を示すバソプレッシンは、9個のα-アミノ酸がつながったペプチドである。これらのアミノ酸配列を次に示す。バソプレッシンのC末端はカルボキシル基ではなく、アミド$(-\text{CONH}_2)$になっている、

    kitazato-2013-chemistry-5-1
    kitazato-2013-chemistry-5-2
    • (1)ブラジキニン水溶液とバソプレッシン水溶液に関する次の記述のうちから、正しいものをすべて選べ。$\fbox{22}$
      • a.両水溶液とも、ニンヒドリン反応によって呈色する。
      • b.両水溶液とも、キサントプロテイン反応によって呈色する。
      • c.ブラジキニン水溶液のみ、塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると呈色する。
      • d.バソプレッシン水溶液のみ、ビウレット反応によって呈色する。
      • (1)a
      • (2)b
      • (3)c
      • (4)d
      • (5)a、b
      • (6)a、c
      • (7)a、d
      • (8)b、c
      • (9)b、d
      • (10)c、d
    • (2)ブラジキニンとバソプレッシンをそれぞれ6mol/L塩酸に溶解し加熟すると、すべてのペプチド結合は加水分解され、α-アミノ酸の混合物となる。このとき、GlnはGluに、AsnはAspに、また、バソプレッシンのC末端のアミドはカルボキシル基に変化する。ブラジキニンとバソプレッシンの加水分解で得られたアミノ酸混合物をそれぞれ試料A、試料Bとする。次の記述のうちから、正しいものを2つ選べ。$\fbox{23}$
      • a.両試料ともpHを6にすると、双性イオンの状態にあるα-アミノ酸を含む。
      • b.試料AのpHを1にすると、1価の陽イオンの状態にあるα-アミノ酸のみを含む。
      • c.試料BのpHを1にすると、2価の陽イオンの状態にあるα-アミノ酸を含む。
      • d.試科AのpHを13にすると、1価の陽イオンの状態にあるα-アミノ酸のみを含む。
      • e.試科BのpHを13にすると、2価の陽イオンの状態にあるα-アミノ酸を含む。
      • (1)a、b
      • (2)a、c
      • (3)a、d
      • (4)a、e
      • (5)b、c
      • (6)b、d
      • (7)b、e
      • (8)c、d
      • (9)c、e
      • (10)d、e
    • (3)タンパク質はそれぞれ固有の立体構造を保ち、それぞれの機能を発揮している。その立体構造のうち、特徴的ならせん構造(α-ヘリックス)と板状構造(β-シート)を、タンパク質の( ア )構造といい、その構造を安定化している結合は、主にペプチド結合部分にある$\text{C}=\text{O}$の$\text{O}$原子と別のペプチド結合部分の$\text{N}-\text{H}$の$\text{H}$原子との間にある( イ )結合である。
      一方、このような( ア )構造がないブラジキニンやバソプレッシンなども一定の立体構造を保って機能を発揮している。たとえば、バソプレッシンの1番目と6番目のアミノ酸(システイン)の側鎖を分子内で結びつけている( ウ )結合も、ペプチドの立体構造を形づくるのに重要な結合である。空欄( ア )~( ウ )に当てはまるものが順に並んでいるものはどれか。$\fbox{24}$
      • (1)一次、水素、エステル
      • (2)一次、水素、ジスルフィド
      • (3)一次、イオン、エステル
      • (4)一次、イオン、ジスルフィド
      • (5)二次、水素、エステル
      • (6)二次、水素、ジスルフィド
      • (7)二次、イオン、エステル
      • (8)二次、イオン、ジスルフィド
  • [2]酵素反応は、特定の構造をもつ物質(基質)が酵素の活性部位に結合(酵素-基質複合体の形成)し進行する。たとえば、タンパク質加水分解酵素であるトリプシンの活性部位には、基質であるタンパク質のペプチド結合が立体的にちょうどうまく結合し、その基質の加水分解が進行する。そのため、トリプシンの基質の濃度を変化させると、反応速度は図( ア )のように変化する。またpHを変化させると、トリプシンと基質との結合が影響を受けるので、反応速度は図( イ )のように変化する。空欄( ア )、( イ )に当てはまるものが順に並んでいるものはどれか。$\fbox{25}$
    kitazato-2013-chemistry-5-3
    • (1)a、b
    • (2)a、c
    • (3)a、d
    • (4)a、e
    • (5)b、c
    • (6)b、d
    • (7)b、e
    • (8)c、d
    • (9)c、e
    • (10)d、e