久留米大学生物2013年第1問

次のA、Bの問題文を読み、各問に答えなさい。

〔A〕 胞子を形成して、生活史のどの時期においても鞭毛が形成されない真核生物の生物群は菌類として分類される。 菌類は( 1 )を行わず、体外の有機物を吸収して養分とする( 2 )である。吸収された養分は代謝されて最終的に無機物にまで分解されるため、菌類は生態系において( 3 )として位置づけられる。

多くの菌類のからだは菌糸と呼ばれる糸状の構造からできており、胞子を形成して緊殖する。 菌糸の構造や胞子の形成過程の違いから、菌類は接合菌類、子嚢菌類、担子菌類などに分類される。子嚢菌類の胞子の形成過程では、単相の核(n)をもつ2種類の菌糸が接合して細胞内に核が2つある2核性(n+n)の接合子と呼ばれる菌糸を作る。接合子内の2核が融合して1個の接合核(2n)となり、それが減数分裂を行って4個の核(n)となった後、さらにそれぞれが1回分裂することによって8個の核(n)ができ、子嚢とよばれる袋状の器官内でそれぞれが8個の子嚢胞子となる。

  • 問1 文中の( 1 )~( 3 )にあてはまる適切な語句を答えなさい。
  • 問2 下線部について、菌糸を形成せずに生活環を通して単細胞で過ごし一般に出芽によって増殖する菌類のことを総称して何というか答えなさい。
  • 問3 以下の各菌類は(A)接合菌類、(B)子嚢菌類、(C)担子菌類のいずれに分類されるか記号で答えなさい。
    • (ア) マツタケ
    • (イ) クモノスカビ
    • (ウ) コウジカビ

〔B〕 子嚢菌類であるアカパンカビの野生株(ade+、leu+)とアデニンとロイシンを含まない培地では増殖できない二重変異株(ade-、leu-)の交配の実験を行った。ade-変異株はade遺伝子に突然変異が生じたためにアデニンの非存在下では増殖できなくなった栄養要求株であり、leu-変異株はleu遺伝子に突然変異が生じたためにロイシンの非存在下では増殖できなくなった栄養要求株である。野生株の菌糸とade-、leu-の二重変異株の菌糸を接合させることによって得られた子嚢の中から8個の子嚢胞子を取り出してそれぞれの栄養要求性を調べた。160例の子嚢について調べたところ、次のような結果が得られた。

  • 1つの子嚢中にade+、leu+の子嚢胞子が4個、ade-、leu-の子嚢胞子が4個含まれる 40例
  • 1つの子嚢中にade+、leu-の子嚢胞子が4個、ade-、leu+の子嚢胞子が4個含まれる 40例
  • 1つの子嚢中にade+、leu+の子嚢胞子が2個、ade+、leu-の子嚢胞子が2個、ade-、leu+の子嚢胞子が2個、ade-、leu-の子嚢胞子が2個含まれる 80例
  • 問4 上のような結果が得られた場合、ade遺伝子とleu遺伝子の染色体上の関係について分かることを、 理由を付して100字以内で答えなさい。