久留米大学化学2012年第1問

次の間いに答えよ。ただし、必要であれば次の数値を用いること。
  • $1\text{eV}=1.60\times10^{-19}\text{J}$
  • アボガドロ定数:$6.0\times10^{23}/\text{mol}$
  • 水(液)の生成熱:$286\text{kJ}/\text{mol}$
  • 二酸化炭素(気)の生成熱:$394\text{kJ}/\text{mol}$

現在、国内における電力供給は火力発電、原子力発電、水力発電など様々な発電方法を利用しており、その中でも原子力発電と火力発電はそれぞれ熱エネルギーを介して電気エネルギーを供給している。前者は放射性同位元素の核分裂により核エネルギーを熱エネルギーに変換し、また、後者は化石燃料の燃焼により化学エネルギーを熱エネルギーに変換してから、さらにそれらを電気エネルギーに変換することで発電している。これらの発電方法のもととなっている核エネルギーと化学エネルギーについて、そのエネルギー効率を比較するために次の計算を行った。

放射線による核エネルギーの例としてウランの放射性壊変について考える。ウランの同位体$^{238}\text{U}$はα壊変によって原子核からα線を放出し、トリウムの同位体$^{234}\text{Th}$になる。この時放出されるα線のエネルギーは$4.20\times10^6\text{eV}$である。

\[^{238}_{92}\text{U}\longrightarrow^{234}_{90}\text{Th}+\alpha\]

次に化学エネルギーの例として、炭化水素であるメタンの燃焼を考える。燃焼熱は1molの物質が完全燃焼するときの反応熱であり、反応前後の物質の生成熱から計算することができる。

  • (1) ウランの同位体$^{238}\text{U}$の陽子数、中性子数、電子数をそれぞれ答えよ。
  • (2) α線はある原子の原子核であることが知られているが、その原子名、質量数をそれぞれ答えよ。
  • (3) α線のエネルギーは通常eVで表されるが、国際単位系(SI)におけるエネルギーの単位はJである。SIでは7つの基本単位とそれら基本単位の積または商による組立単位によって全ての物理量が表され、長さ[m]、質量( ア )、時間[s]、電流[A]、熱力学温度( イ )、物質量[mol]、光度[cd]の7つが基本単位と定められている。したがって、エネルギーの単位Jを基本単位による組立単位で表すと( ウ )となる。( ア )~( ウ )に当てはまる単位を答えよ。
  • (4) メタンの生成熱が73kJ/molであるとき、メタンの生成熱を表す熱化学方程式を答えよ。
  • (5) メタンの燃焼熱を単位をつけて答えよ。
  • (6) 1Jのエネルギーを得るために必要なウランとメタンの質量はそれぞれ何gか。有効数字2桁で答えよ。