杏林大学化学2012年第3問
次の文章を読み、問に答えよ。[解答欄 $\fbox{ア}$~$\fbox{ケ}$]
物質が酸素と化合することや、化合物から水素が奪われたりすることが酸化である。逆に物質が酸素を失うことや、水素と結合することが還元である。また、酸素や水素が関係しない反応では、電子の授受によって酸化と還元を定義する。この場合、電子を$\fbox{ア}$ことが酸化であり、その逆が還元である。より一般的には、酸化数の変化により酸化と還元を定義する。すなわち、酸化数が$\fbox{イ}$することが酸化であり、その逆が還元である。このような酸化と還元は同時に対になっておこり、合わせてこの反応を酸化還元反応という。
過酸化水素($\text{H}_2\text{O}_2$)は、反応する相手の化合物によって、酸化剤として機能したり、還元剤として機能したりする。その例を二つあげる。$\underline{(a) 硫酸酸性水溶液中で、過マンガン酸カリウム(\text{KMnO}_4)に\text{H}_2\text{O}_2を反応させる}$と、溶液の色が赤紫色からほぼ無色となった。このとき、$\text{H}_2\text{O}_2$は電子を$\fbox{ウ}$、$\fbox{エ}$として働いている。また$\underline{(b) 硫酸酸性水溶液中で、ヨウ化カリウム(\text{KI})に\text{H}_2\text{O}_2を反応させる}$と、水溶液の色が無色から褐色になった。このとき、$\text{H}_2\text{O}_2$は$\fbox{オ}$として働く。
- 問 1 $\fbox{ア}$~$\fbox{オ}$に適する語句を下記から選べ。
-
$\fbox{ア}$
- (1) 失う
- (2) 受け取る
-
$\fbox{イ}$
- (1) 増加
- (2) 減少
-
$\fbox{ウ}$
- (1) 失い
- (2) 受け取り
-
$\fbox{エ}$
- (1) 還元剤
- (2) 酸化剤
- (3) 触媒
-
$\fbox{オ}$
- (1) 還元剤
- (2) 酸化剤
- (3) 触媒
- 間 2 下線部aの反応で、1 molの$\text{KMnO}_4$と反応する$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量はいくらか。次の(1)~(9)の中から一つ選べ。$\fbox{カ}$ mol
- (1) $5$
- (2) $3$
- (3) $\dfrac{5}{2}$
- (4) $2$
- (5) $1$
- (6) $\dfrac{1}{2}$
- (7) $\dfrac{2}{5}$
- (8) $\dfrac{1}{3}$
- (9) $\dfrac{1}{5}$
- 問 3 下線部aの反応で、硫酸を加えずに行った場合、1 molの$\text{KMnO}_4$と反応する$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量は硫酸酸性下で行った場合と比べてどうなるか。$\fbox{キ}$
- (1) $\text{KMnO}_4$と$\text{H}_2\text{O}_2$との反応は全く起こらなくなる。
- (2) 硫酸酸性下と同じ反応が起きるので、等しい物質量である。
- (3) $\text{KMnO}_4$が$\text{Mn}$金属となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が増加する。
- (4) $\text{KMnO}_4$が$\text{Mn}$金属となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が減少する。
- (5) $\text{KMnO}_4$が$\text{MnO}$となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が増加する。
- (6) $\text{KMnO}_4$が$\text{MnO}$となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が減少する。
- (7) $\text{KMnO}_4$が$\text{MnO}_2$となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が増加する。
- (8) $\text{KMnO}_4$が$\text{MnO}_2$となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が減少する。
- (9) $\text{KMnO}_4$が$\text{Mn(OH)}_2$となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が増加する。
- (10) $\text{KMnO}_4$が$\text{Mn(OH)}_2$となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が減少する。
- 問 4 下線部aの反応を。硫酸の代わりに塩酸を用いて行った場合、1 molの$\text{KMnO}_4$と反応する$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量は硫酸酸性下で行った場合と比べ。どうなるか。$\fbox{ク}$
- (1) $\text{KMnO}_4$と$\text{H}_2\text{O}_2$との反応は全く起こらなくなる。
- (2) 硫酸酸性下と同じ反応が起きるので、等しい物質量である。
- (3) $\text{KMnO}_4$が$\text{Mn}$金属となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が増加する。
- (4) $\text{KMnO}_4$が$\text{Mn}$金属となるので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が減少する。
- (5) $\text{KMnO}_4$が$\text{HCl}$と酸化還元反応するので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が増加する。
- (6) $\text{KMnO}_4$が$\text{HCl}$と酸化還元反応するので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が減少する。
- (7) $\text{HCl}$が$\text{H}_2\text{O}_2$と酸化還元反応するので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が増加する。
- (8) $\text{HCl}$が$\text{H}_2\text{O}_2$と酸化還元反応するので$\text{H}_2\text{O}_2$の物質量が減少する。
- 問 5 下線部bの反応では、ヨウ素原子の酸化数は、どのように変化したか。$\fbox{ケ}$
- (1) 増 加
- (2) 減 少
- (3) 変化しない