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杏林大学生物2012年第1問

心筋の収縮と弛緩は細胞内のCa2+濃度の上昇と低下により調節され、自律的な拍動を示す。摘出したラットの心臓に大動脈から37℃に温めたリンカー液を流し、左心室に圧力センサーを挿入して圧力の変化を記録すると、図1に示すように自律的な拍動が記録される。以下の問1~問4に答えよ。
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kyorin-2012-biology-1-2
  • 問 1 心臓の機能に影響を及ぼす薬剤の効果は、リンカー液に薬剤を加えた時の収縮一弛緩を記録することで調べることができる。図2は、2種類の薬剤をそれぞれ加えたリンカー液を流して変化が見られた後の記録を、リンカー液に何も加えないで灌流した時の記録(対照)と比較したものである。以下の(1)と(2)のどちらの薬剤を加えたときに、およびの結果が得られるか。

    選択肢
    • (1) アセチルコリン
    • (2) アドレナリン
  • kyorin-2012-biology-1-3
  • 問2 左心室内の圧力を縦軸に、左心室の容積を横軸にとり、心臓の拍動をプロットすると、図3の「圧-容積曲線」が描かれる。この図の一周は一回の拍動で得られる。では、二つの弁(大動脈弁と房室弁)が、以下のの四つの状態をとるのは、点(1)から(4)のどの時点か、それぞれ一つ選べ。
    • 大動脈弁が閉じる。
    • 大動脈弁が開く。
    • 房室弁が閉じる。
    • 房室弁が開く。
  • kyorin-2012-biology-1-4
  • 問 3 心機能に影響を及ぼす薬剤を加えると、「圧-容積曲線」は変形して現れる。では図4で、アドレナリンを加えたときの心臓の「圧-容積曲線」として(1)から(3)で最も適当なのはどれか。対照となる心臓の曲線は太い実線で示した。
  • kyorin-2012-biology-1-5
  • 問 4 心筋も骨格筋も筋収縮は細いフィラメントの主成分であるアクチン分子と太いフィラメントの主成分であるミオシンの頭部の相互作用によって引き起こされ、アデノシン5'-三リン酸 (ATP)の加水分解を伴う。1分子のATPの加水分解でミオシン分子が細いフィラメント上を60.0 nm移動することが観察されている。では、ミオシン分子がサルコメアの収縮距離に匹敵する1.20 μmを滑るとき、嫌気代謝に依存して消費するグルコースの質量(g)に最も近い値を選択肢(1)~(5)から選べ。ただし、水素の原子量を1、炭素の原子量を12、酸素の原子量を16とし、1モルを6.02×1023分子とする。
    • (1) 1×1021
    • (2) 2×1021
    • (3) 3×1021
    • (4) 6×1021
    • (5) 9×1021