日本大学生物2012年第1問

被子植物の種子の発芽に関する問い(問1~4)に答えなさい。
  • 問1 通常、被子植物の種子の発芽に必要な環境要因は水以外にどれか。もっとも重要な要因を二つ選びなさい。ただし、解答の順序は問わない。$\fbox{1}$、$\fbox{2}$
    • (1) 気圧
    • (2) 温度
    • (3) 二酸化炭素
    • (4) 酸素
    • (5) 窒素
    • (6) リン酸
    • (7) 硝酸(亜硝酸)
    • (8) カリウム塩
  • 問2 タバコの種子が水を吸収すると、胚があるホルモンを合成し種子の発芽が促進される。こうした発芽促進にはたらくホルモンはどれか。$\fbox{3}$
    • (1) アブシシン酸
    • (2) エチレン
    • (3) オーキシン
    • (4) サイトカイニン
    • (5) ジベレリン
    • (6) フロリゲン
  • 問3 タバコの種子内では問2であげられたホルモンの刺激によってアミラーゼが合成される。このアミラーゼの役割に関する正しい記述はどれか。$\fbox{4}$
    • (1) タンパク質合成を開始する。
    • (2) 種皮を消化し、発芽を促進する。
    • (3) 水と結びついて、種子内に水を取り込む。
    • (4) 重力センサーとなり、根と芽の伸長方向を決定する。
    • (5) 種子内のデンプンを分解し、成長に必要な糖を生成する。
    • (6) 休止していた細胞分裂を再開するシグナル物質を生成する。
    • (7) 種子内で濃度勾配を形成し、種子内各部位の発生運命を決定する。
  • 問4 次の文章を読み、AとBの問いに答えなさい。

    波長が10~400nmの光が紫外線、400~450nmが紫色、495~570nmが緑色、620~750nmが赤色、750~1,000nmが赤外線である。また、陽生植物であるタバコは光発芽植物でもある。タバコのような光発芽植物の場合、発芽するためには、問1で示された要因以外にも、可視光線のうち赤色の660nm付近の波長の光を受ける必要がある。また、似た赤色光でも遠赤色光である740nm付近の波長の光では、発芽が阻害される。

    • A 赤色光660nmの光がタバコの発芽にとって重要であることを説明する文章として適切なものはどれか。$\fbox{5}$
      • (1) ニコチンを活性化する波長の光である。
      • (2) ビタミンDを活性化する波長の光である。
      • (3) 種子植物で光合成を行うクロロフィルの吸収光である。
      • (4) カロテン(ビタミンA)の生成を促進する波長の光である。
      • (5) 紅ソウ類に多く含まれるフィコエリトリンの吸収光でない。
      • (6) pH依存的に変性し、赤や紫に変色するアントシアンと反応する光である。
    • B 740nmの波長の遠赤色光単独では発芽が抑制されることを説明する文章として適切なものはどれか。$\fbox{6}$
      • (1) 遠赤色光刺激は「Aで答えた物質」の生成を抑制するので、植物体の光感受性が悪くなるから。
      • (2) 赤色光が当たらない条件で発芽すると「Aで答えた物質」が活性化されず、必要なイオンが吸収されないから。
      • (3) 赤色光が当たらないために「Aで答えた物質」が十分に活性化されない条件で発芽すると、害虫の被害が大きいから。
      • (4) 酸性型の「Aで答えた物質」の比率が増加することで、土壌が弱酸性であるかどうかを確かめ、最適な時のみ発芽するため。
      • (5) 赤色光は「Aで答えた物質」に吸収されるので、種子に遠赤色光だけが届くということは上に他の植物の葉があるということだから。
      • (6) 波長が短い光は水に吸収されるため、水中の植物は「Aで答えた物質」をもつが、逆に遠赤色光しか届かないというのは水中にその種子が存在することを示し、タバコの生存には不利であるから。