日本大学化学2013年第1問

次の問1~問5に答えなさい。
  • 問1 次の(1)~(8)のイオンを含む硝酸溶液のうち、水酸化ナトリウム水溶液を加えると沈殿し、さらに過剰に加えると錯イオンを形成して溶解するイオンは、$\fbox{1}$と$\fbox{2}$である。ただし、原子番号の小さいイオンを$\fbox{1}$に示しなさい。
    <$\fbox{1}$、$\fbox{2}$の解答群>
    • (1)銀イオン
    • (2)銅(Ⅱ)イオン
    • (3)カルシウムイオン
    • (4)鉄(Ⅲ)イオン
    • (5)バリウムイオン
    • (6)アルミニウムイオン
    • (7)鉄(Ⅱ)イオン
    • (8)亜鉛イオン
  • 問2 次の(1)~(5)の反応速度に関する記述のうち、誤りを含むものは、$\fbox{3}$と$\fbox{4}$である。ただし、解答の順序は問わない。
    • (1)一般に気体の反応速度は温度一定のもとで反応系の圧力の増加とともに大きくなる。これは分子の運動速度が大きくなるためである。
    • (2)一般に気体の反応速度は反応物の濃度の増加とともに大きくなる。これは反応する分子どうしが単位時間に衝突する回数が増加するためである。
    • (3)一般に反応速度は温度の上昇とともに大きくなる。これは大きなエネルギーをもつ分子の割合が増加するためである。
    • (4)一般に可逆反応では平衡状態に近づくと反応物の濃度変化は小さくなる。これは正反応の速度と逆反応の速度の差が小さくなるためである。
    • (5)一般に触媒を用いると反応速度は大きくなる。これは反応の経路が変わって活性化エネルギーが大きくなるためである。
  • 問3 次の(a)~(h)の記述で正誤の正しい組み合わせは、$\fbox{5}$である。
    • (a)$\text{CaCl}_2$水溶液に$\text{Na}_2\text{CO}_3$水溶液を加えると、$\text{CaCO}_3$の沈殿が生じる。
    • (b)$\text{MgCl}_2$水溶液に$\text{Na}_2\text{SO}_4$水溶液を加えると、$\text{MgSO}_4$の沈殿が生じる。
    • (c)$\text{Na}_2\text{CO}_3・10\text{H}_2\text{O}$を乾燥した空気中に放置すると、水和水の一部が失われる。
    • (d)$\text{Mg}$イオンを含む水溶液の炎色反応の色は、赤紫色である。
    • (e)$\text{NaHCO}_3$を空気中に放置すると、$\text{Na}_2\text{CO}_3$が生じる。
    • (f)$\text{KOH}$を乾燥した空気中に放置すると、$\text{K}_2\text{CO}_3$が生じる。
    • (g)$\text{CaCO}_3$を強熱すると、分解して$\text{CaC}_2$と$\text{CO}_2$が生じる。
    • (h)$\text{BaSO}_4$は水に不溶性であるが、$\text{Ba}(\text{OH})_2$は水によく溶ける。
    <$\fbox{5}$の解答群>
    (a)
    (b)
    (c)
    (d)
    (e)
    (f)
    (g)
    (h)
    (1)
    (2)
    (3)
    (4)
    (5)
    (6)
    (7)
    (8)
  • 問4 銅の電解精錬について正しいのは、$\fbox{6}$である。
    • (1)電解槽には硫酸銅水溶液を加え、中性から弱アルカリに保つ。
    • (2)純銅板を陽極とし、粗銅板が陰極となるよう電源に接続する。
    • (3)粗銅中の金やニッケルなどの物質は電解槽の底に沈殿する。
    • (4)粗銅から、特有の赤味を帯びた高純度の銅が陰極に析出する。
    • (5)陽極では、陰極から流れて来た電子により$\text{Cu}^{2+}+2\text{e}^-\rightarrow\text{Cu}$の反応が生じる。
  • 問5 次の熱化学方程式(a)~(g)についての記述(1)~(8)のうちで誤りを含むものは、$\fbox{7}$と$\fbox{8}$である。ただし、解答の順序は問わない。
    • (a)$\text{NaOH}(固)+\text{aq}=\text{NaOHaq}+45\text{kJ}$
    • (b)$\text{H}_2(気)+\text{I}_2(気)=2\text{HI}(気)+10.4\text{kJ}$
    • (c)$\text{C}(黒鉛)+\text{CO}_2(気)=2\text{CO}(気)-172\text{kJ}$
    • (d)$\text{CH}_4(気)+\text{H}_2\text{O}(気)=\text{CO}(気)+3\text{H}_2(気)-250\text{kJ}$
    • (e)$\text{N}_2(気)+3\text{H}_2(気)=2\text{NH}_3(気)+92.2\text{kJ}$
    • (f)$2\text{NO}_2(気)=\text{N}_2\text{O}_4(気)+57.1\text{kJ}$
    • (g)$\text{N}_2(気)+2\text{O}_2(気)=2\text{NO}_2(気)-68\text{kJ}$
    • (1)(a)の反応では温度の上昇とともに水酸化ナトリウムは水に溶けにくくなる。
    • (2)(b)の反応では正反応の活性化エネルギーは逆反応の活性化エネルギーより小さい。
    • (3)(c)の反応が平衡にあるとき、圧力を高めると平衡が左に移動する。
    • (4)(d)の反応が平衡にあるとき、圧力を変えずに同じ温度の$\text{H}_2$を加えると温度が上昇する。
    • (5)(e)の反応が平衡にあるとき、少量の触媒を用いると平衡が右に移動する。
    • (6)(f)の反応が平衡にあるとき、正反応では1分子の$\text{N}_2\text{O}_4$が、逆反応では1分子の$\text{NO}_2$が生成する。
    • (7)(e)および(f)の反応では温度を一定にして圧力を下げると平衡は左に移動する。
    • (8)(g)の反応より$\text{NO}_2$の生成熱は-34kJである。