日本大学生物2012年第2問
オワンクラゲは、光を当てたり、振動を加えるなど刺激すると発光する緑色蛍光タンパク質(GFP)をもつ。ゲンジボタルは、アミノ酸から生合成されたルシフェリンにルシフェラーゼがはたらいて発光する。こうした発光物質についての問い(問1~5)に答えなさい。
- 問1 オワンクラゲの遺伝子からGFPの情報をもつDNAを取り出し、ゲンジボタルからはルシフェラーゼの情報をもつDNAを取り出した。プロモーターをつけた各々のDNAを大腸菌ゲノムに組み込み、GFPやルシフェラーゼをつくることができるようになった「GFP-大腸菌」と「ルシフェラーゼ-大腸菌」 を作製した。各々の大腸菌を適温で培養し、培養液容器にATPを加え撹拌刺激を与えた場合、観察される結果はどれか。$\fbox{7}$
- (1) 「GFP-大腸菌」のみが光る。
- (2) 「ルシフェラーゼ-大腸菌」のみが光る。
- (3) 「GFP-大腸菌」も「ルシフェラーゼ-大腸菌」のどちらも光らない。
- (4) 「GFP-大腸菌」と「ルシフェラーゼ-大腸菌」のどちらも光るが、両者を混ぜると光らなくなる。
- (5) 「GFP-大腸菌」の培養容器に「ルシフェラーゼ-大腸菌」を培養した後の液体成分だけを抽出したものを加えた場合にのみ、「GFP-大腸菌」が光る。
- (6) 「ルシフェラーゼ-大腸菌」の培養容器に「GFP-大腸菌」を培養した後の液体成分だけを抽出したものを加えた場合にのみ、「ルシフェラーゼ-大腸菌」が光る。
- 問2 問1の結果の説明としてもっとも適当なものはどれか。$\fbox{8}$
- (1) 大腸菌を培養する条件では温度が高すぎて、酵素が失活している。
- (2) 大腸菌を培養する条件では温度が低すぎて、酵素が活性化されない。
- (3) ルシフェラーゼが大腸菌内で合成されても、単独では光らないが、GFPは単独で光る。
- (4) GFPが大腸菌内で合成されても、単独では光らないが、ルシフェラーゼは単独で光る。
- (5) 大腸菌を培養する溶液の塩分濃度では、クラゲのような海洋生物のDNAの遺伝情報は発現できない。
- (6) 大腸菌ではクラゲや昆虫のような真核生物のDNAの遺伝情報を発現させても、その生成物は活性をもたない。
- 問3 第19染色体上のインスリン遺伝子と共に発現するようにGFP遺伝子を導入したマウスを作製すると、すい臓に緑色蛍光を発する細胞が見つかった。この細胞はどれか。$\fbox{9}$
- (1) インスリン感受性外分泌細胞
- (2) インスリン感受性褐色脂肪細胞
- (3) ランゲルハンス島A細胞($\alpha$細胞)
- (4) ランゲルハンス島B細胞($\beta$細胞)
- (5) ランゲルハンス島A細胞とB細胞
- 問4 問3で示されたマウスから純系GFP発現マウスを作製した。ある種のサンゴの仲間からは赤色蛍光を発するタンパク質の遺伝子が単離されている。赤色蛍光タンパク質遺伝子を第2染色体上のグルカゴン遺伝子と共に発現するように導入したマウスを作製すると、すい臓に赤色蛍光を発する細胞が観察された。このマウスから純系赤色蛍光タンパク質発現マウスを作製した。この2系統の純系マウスを交配したF1マウスのすい臓を観察した場合、予想される結果はどれか。$\fbox{10}$
- (1) 一つの細胞内に赤色蛍光と緑色蛍光の両方を発する細胞を含むランゲルハンス島が観察される。
- (2) 赤色蛍光を発する細胞と緑色蛍光を発する細胞の両方を含んだランゲルハンス島が観察される。
- (3) 一つの細胞内に赤色蛍光と緑色蛍光の両方を発する細胞がランゲルハンス島の内と外に観察される。
- (4) 赤色蛍光を発する細胞を含むランゲルハンス島と緑色蛍光を発する細胞を含むランゲルハンス島が観察される。
- (5) ランゲルハンス島の内には赤色蛍光と緑色蛍光を発する別々の細胞が観察されるが、ランゲルハンス島の外には両方の蛍光を発する細胞が観察される。
- 問5 問4で示されたF1と同じ表現型の出現比率を1とすると、F1同士を交配してできたF2世代のマウスで以下の表現型が出現する比率はどれか。ただし、同じものを何度使ってもよい。
- ・純系GFP発現マウスと同じ表現型のマウスが出現する比率$\fbox{11}$
- ・蛍光を発する細胞をもたないマウスが出現する比率$\fbox{12}$
- (1) 16
- (2) 15
- (3) 9
- (4) 3
- (5) 1
- (6) $\dfrac{2}{3}$
- (7) $\dfrac{1}{3}$
- (8) $\dfrac{1}{9}$
- (9) $\dfrac{1}{16}$
- (0) 0