日本大学生物2012年第3問
ヒトの生体防御の仕組みに関する問い(問1~5)に答えなさい。
- 問1 皮膚や粘膜は、病原体の侵入を防ぐ重要なはたらきをしている。これに関する記述で正しいものを二つ選びなさい。ただし、解答の順序は問わない。$\fbox{13}$、$\fbox{14}$
- (1) 血液凝固によって生じた血餅(けっぺい)には細菌の侵入を防ぐ作用もある。
- (2) 皮膚の角質層は、多くの殺菌物質を分泌するので細菌が増殖しにくい。
- (3) 皮膚の角質層は死細胞の層で、常に置き換わるので細菌が取りつきにくい。
- (4) 汗は病原菌を増殖させてしまうので、皮膚を常に乾燥させておく必要がある。
- (5) 鼻の粘液に含まれるリゾチームという酵素が、細菌の核酸を分解して感染を防いでいる。
- (6) 涙の中に含まれるリゾチームという酵素が、ウイルスの核酸を分解して感染を防いでいる。
- 問2 下の文$(\text{A}$~$\text{F})$は、皮膚や粘膜を突破して体内に侵入した病原菌が処理されるまでの経過を記したものである。生体防御の反応が進行する順序を示すものはどれか。下の解答群から選びなさい。$\fbox{15}$
- $\text{A}$ 抗原を認識したT細胞は増殖し、インターロイキンとよばれる物質を分泌する。
- $\text{B}$ 同じ抗原を認識するB細胞が活性化して増殖し、多量の抗体を分泌する。
- $\text{C}$ マクロファージが抗原を貪食(どんしょく)する。
- $\text{D}$ 抗原と抗体とが特異的に結合する。
- $\text{E}$ 分解された異物の一部がマクロファージの表面に提示される。
- $\text{F}$ マクロファージが効率的に抗原を貪食できるようになる。
- (1) $\text{A}\Rightarrow\text{B}\Rightarrow\text{C}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{F}$
- (2) $\text{A}\Rightarrow\text{C}\Rightarrow\text{B}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{F}$
- (3) $\text{A}\Rightarrow\text{B}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{C}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{F}$
- (4) $\text{B}\Rightarrow\text{A}\Rightarrow\text{C}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{F}$
- (5) $\text{B}\Rightarrow\text{A}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{C}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{F}$
- (6) $\text{B}\Rightarrow\text{A}\Rightarrow\text{C}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{F}$
- (7) $\text{C}\Rightarrow\text{A}\Rightarrow\text{B}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{F}$
- (8) $\text{C}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{B}\Rightarrow\text{A}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{F}$
- (9) $\text{C}\Rightarrow\text{E}\Rightarrow\text{A}\Rightarrow\text{B}\Rightarrow\text{D}\Rightarrow\text{F}$
- 問3 抗体産生細胞に関する以下の文で誤っているものはどれか。$\fbox{16}$
- (1) 抗体産生細胞には、粗面小胞体が発達している。
- (2) 1個の抗体産生細胞は、複数の抗原特異性をもつ抗体を分泌する。
- (3) 体内には、抗原特異性の異なる多種類のB細胞が多数存在している。
- (4) B細胞は細胞表面に発現している受容体を用いて抗原を認識している。
- (5) 抗原の刺激によって増殖したリンパ球の一部は、長期にわたり体内に残る。
- 問4 抗体分子に関する以下の文で誤っているものはどれか。$\fbox{17}$
- (1) 定常部はH鎖のみに認められる。
- (2) 抗体は免疫グロブリンというタンパク質である。
- (3) 可変部の立体構造の違いが、抗原に対する特異性を決める。
- (4) H鎖とL鎖が組み合わされた4本のポリペプチドからなる。
- (5) H鎖とL鎖のY字状に開いた側の先端部分は可変部とよばれる。
- (6) 抗体の遺伝子は頻繁に組換えられるため、多様な抗体が産生される。
- 問5 後天性免疫不全症候群(エイズ)では、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によってある種のT細胞(ヘルパーT細胞)が特異的に破壊される。 このことに関連した以下の文の中から、エイズ発症に伴なう現象の記述として正しいものを二つ選びなさい。ただし、解答の順序は問わない。$\fbox{18}$、$\fbox{19}$
- (1) 抗体の特異性が失われる。
- (2) 抗体が産生されにくくなる。
- (3) 体液性免疫は影響を受けない。
- (4) 自然免疫は正常にはたらかなくなる。
- (5) 細胞性免疫のみがはたらかなくなる。
- (6) ウイルスが感染した細胞は除去されない。