日本医科大学化学2013年第4問

下の文章を読んで、問いに答えなさい。

生体内に広く存在するグルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるペプチドであり、図のような構造をしている。

nihonika-2013-chemistry-4-1
  • 問1 グルタチオンが通常のペプチドと構造的に異なる点を50字以内で書きなさい。
  • 問2 グルタチオンは抗酸化物質としてはたらき、細胞内では主に上図に示すような還元型として存在している。細胞内が酸化状態になるとグルタチオンは還元剤としてはたらき、自らは酸化型となる。還元型のグルタチオンが酸化型になったとき、新たに生成した結合の名称を書きなさい。
  • 問3 グルタチオンの水溶液に以下の反応を行ったときの結果について、正しいものの番号をすべて書きなさい。
    • 1.水酸化ナトリウムの固体を加えて煮沸し、出てきた気体に湿らせた赤色リトマス紙を近づけると青色に変わった。
    • 2.濃硝酸を加えて熱すると黄色になり、さらにアンモニア水を加えて塩基性にすると橙黄色になった。
    • 3.水酸化ナトリウムの固体を加えて熱し、酢酸で中和した後、酢酸鉛(Ⅱ)水溶液を加えると黒色沈殿が生じた。
    • 4.フェーリング液を加えて熱すると、赤色沈殿が生成した。
    • 5.塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると青紫色に呈色した。
    • 6.ヨウ素と水酸化ナトリウムを加えて温めると、黄色結晶が生じた。
  • 問4 グルタミン酸、システイン、グリシンの等電点はそれぞれ3.22、5.07、5.97である。これら3つのアミノ酸について、pH2、4、7の水溶液でそれぞれ電気泳動を行ったとき、陰極に移動するものをすべて書きなさい。移動するものがひとつもない場合は「なし」と書きなさい。
  • 問5 pH12の水溶液中でのグルタミン酸の電離状態はどうなっていますか。電荷がわかるように構造式を書きなさい。ただし、グルタミン酸の電離定数$K_a$〔mol/L〕は、$6.5\times10^{-3}$、$5.6\times10^{-5}$、$2.1\times10^{-10}$である。
  • 問6 1.0gのグルタミン酸を100mLのエタノールに加え、少量の濃硫酸を加えて加熱した。反応が完全に進行したのを確認し、エタノールを蒸発させた後、塩基性水溶液で硫酸を除いて生成物を得た。この生成物の構造式を書きなさい。また、理論的に最大何gの生成物が得られますか。有効数字2桁で書きなさい。